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安易にモテたいと願った結果、人外にしかモテなくなった俺の日常  作者: ヤマグチケン


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第7話 天使に自覚させるものじゃない

『夕食前にパフェなど食べてくるから、ちゃんと食べられないのですよ』


 マリーさんから子どものような理由で怒られているリエさんは、勿体ないの精神でご飯を食べている。お残しは許されないらしい。


「我が代わりに食うてやろうか? ん?」

「必要ありません。貴方は悪魔らしく残飯でも漁っていたらいいのです」


 悪魔だって残飯なんか食べたくないだろうに、ひどい言われようだ。

 しかしこれはパフェを奢ってしまった俺にも責任がある。リエさんがなんでもおいしそうに食べるから、てっきりそれなりに食べられると思っていた。思いのほか普通だった。


「マリーさん、リエさんが食べられないのならラップかけて冷蔵庫に入れておいて。後で温め直して俺が食べるから」

『いけません。甘やかしては、この地味オカルト様がつけあがります』


 まるで教育しているかのような言い方。我が家の台所を預かるロボットは強い。


「つけあがりませんし自分で食べます! でもすみません、少し横になっていいですか? 休憩を……」

「そうですね。のんびり本でも読んでてください。俺は風呂にでも入りますんで」

「では我も」

『正之助様と入れるのは、そういう行為に及べない私こそ。貴方は油断なりません。正之助様、ユーザーは道具の手入れをするべきです。私のボディを隅々まで綺麗に』

「貴様、セルフメンテナンス出来るのであろう? 外装を拭くくらいで正之助の手を煩わせるでないわ。さ、我が正之助を隅々まで綺麗にしてやるからの」

「えーっと、俺はいつも通り一人で入りたいんだけど……」


 なんで風呂に入ると言うだけで、こんなやりとりが発生するんだ。お約束ボケか何かなのか?

 しかしミオさんに洗われたいかと言われると、それはもう洗われたいに決まっている。しかしここは我慢だ。公序良俗に反することをしたら、騒ぎ立てる人がいる。いや、今はお腹が重くてダウンしているので、チャンスなのだろうか。


   ***


 風呂上がり、風呂は必要ないというミオさんが続いて入った。何やらよだれを垂らしてゲスい笑みを浮かべていたが、心の平穏のために見なかったことにする。それさえなければ、普通に美人が風呂に入るだけなのに。

 着替えはどうするのかと思ったが、ミオさんは魔力を操って服を具現化したりというのがうまいみたいで、どうにかなるとのこと。そういえばカフェに来た時も普通の人間そのものだった。服にお金がかからなくてうらやましい。


「不覚……悪魔に遅れを取るとは……」


 俺が風呂に入っている間に晩ご飯を食べ終えたのか、テレビを見ながら悔しがっている。風呂の順番くらいどうでもいいと思うのだけど。


『水道代が勿体ないので、入らないでいただけると助かります』


 マリーさんは本当に転がり込んできた二人に厳しいな。


「私だって好きでここにいるわけじゃありません。あの悪魔が正之助さんにしょうもない呪いをかけるから!」

『その呪いで貴方も正之助様に惚れてしまったのですね。つまり私の敵です』

「ち、ちが……わない……ですけど……貴方と敵対する気もなくて……」


 肯定するのが悔しいらしいリエさんは、顔を真っ赤にして、徐々に声が小さくなる。こちらとしてはもう今更だ。

 モテて嬉しいと言えば嬉しいんだ。でも人からはモテないんだ。そりゃ天使、悪魔、ロボット、動物と来たら天使が一番マシだろうけど、この天使はかなりのポンコツだ。

 というか同じ種族がいい。


『正之助様の生活を補助している私こそ、恋人候補として最適です。将来のことまで考えたら絶対に私です。私しかあり得ません』

「いえ、だからですね、そういう話でなくて、あの悪魔の呪いを解いて、正之助さんに普通の生活をですね」

『そんなことを言って、私が普通のロボットに戻ったところで正之助様をかっさらうつもりですね? そうはさせません』


 まあ、マリーさんとはキスすら出来ないんだけどな。ロボットとかどうしろってんだよ。とんだ特殊性癖だよ。


 大体、ミオさん自身が俺に惚れることで願いが叶ったのなら、簡単に呪いを解いてくれる訳がない。

 しかも、モテたいというだけで彼女がほしいとも出来るとも、俺もミオさんも言っていない。テンパっていたとは言え、これは完全にやらかした。


 しかしなあ、リエさんは痛々しいけどちゃんとしたらかわいいし、ミオさんも美人でスタイル抜群だし。

 まあ、マリーさんは人外どころか生物ですらないんだけど。


「だからですね、私の目的は呪いを解いて悪魔を地獄に帰らせることなんです」

『正之助様のことは二の次なのですね』

「で、あるなら貴様はここで脱落だのう。やはり根幹に関わっておる我こそ、正之助の伴侶にふさわしい」


 わあびっくりした。いつの間に戻ってきたんだ。というかタオルじゃなくてちゃんと服を着て。直視できない。いやじっくり見るんだけど。眺めさせていただくんだけど。


「あーもう、そうじゃなくて! ちょっとお風呂に入ってきます! 貴方はちゃんと服を着てください!」

「どうせ後で脱ぐことになるのでな。のう、正之助」

「え、ミオさんとそういう?」

「当然であろう?」

「正之助さん、にやけないでください!」


 おっといけない。魅力的すぎる話に種族の壁を越えてしまうところだった。


『正之助様、奥様より連絡が入っております。今週末はご夫婦で戻られるそうです』


 待て、そんな急に帰ってくるなんて計算外だぞ。てっきり盆あたりだと思ってたのに。

 人外二人を居候させてるなんてどう説明するんだ。

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