1話 冤罪なんですけど?
新作です!私は怒ってないです。
よろしくお願いします!
甲・メアリー=アールルード(以下、甲)の訴えにより、乙・エリス=ダイナゴク(以下、乙)はベリアル修道院へと移送されるものとする。
乙は甲の証言により、甲の誘拐拉致監禁及び暴行指示の疑いがあり、立証された。よって、前のような処罰が妥当とされ、本日を含め3日間以内にベリアル修道院へと護送されるものとする。
はぁ?冤罪なんですけど?
「お父様!どういうこと?この訴状は!」
「まあ、そういうことになったんだ」
お父様のことなかれ主義にも困る(主に私が)。
「修道院には一月くらいいてもらうが、その後は寄付金で還俗という形になるから安心しなさい」
安心なんかできるわけないじゃない!一度修道院に入った令嬢と婚約しようなんて誰が思うの?お父様はそこまで考えていないのかしら?
まだ小さいとはいえ、我が家には跡継ぎがいるし、私がどうなろうとどうでもいいとか?それならわざわざ還俗させないわよね。お父様は謎だわ。
ちなみにお母様は弟・ローランドを出産の時に亡くなりました。ローランドはそりゃあ可愛いけど、わだかまりがないとは言えないのよね。年が離れてるのもあるし。
「ねーさま、とおくにいっちゃうの?」
うーん、やっぱり可愛いなぁ。
「しばらくしたら、帰ってくるからいい子で待ってるのよ?」
「ろーらんどはいいこだもん!しようにんのみんなもいいこっていってくれるもん!」
ぷくっと頬を膨らませるのも可愛いんだけど、あんまり甘やかすとワガママっ子になるから、将来が心配だなぁ。きちんと跡継ぎに育ってほしいなぁ。
3日間以内って書状に書いてあったのに、翌日即護送?早すぎない?こっちだって心の準備とか支度がさぁ。
「さぁ、エリス様。この馬車にお乗りください」
その馬車はまるっきり罪人を護送するためのものだった。内装に血の跡とかあるし、椅子の座り心地も悪いし嫌だなぁ。
嫌だったはずなのに、何故か寝入ってしまっていたようで気づいたらベリアル修道院に到着していた。
「ここではその長い髪は不要です」
私の意見は通らず、私は髪を切られ(ダイナゴク伯爵家の侍女達が泣き喚きそうだなぁ)、私の髪の長さは肩までとなった。
これもあの冤罪のせい。
私は正直、‘メアリー=アールルード’という令嬢を知らない。書状をもらった後にお父様に伯爵家の令嬢だと教えてもらったほど。
私はここまでされるほど彼女に恨みを買ったのだろうか?
というか、証拠って何だろう?
私はこれでも日々をボケーっと過ごしているわけではない。かといってセコセコ動いているわけでもないけど。
あんな日付も場所も書いていない告訴状鵜呑みにしちゃう法制度もどうかと思う。
私は時にはお父様の代理として領地に行ったりしています。
だからこそ日付を明らかにできなかったんじゃないかなぁ?
エリスちゃん、激おこですねー。髪も切られたし?人生、冤罪で丸つぶれなんですけど?と。今後の活躍に期待してください。




