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2日目

毎日更新(の予定)

翌朝、いつものように目を覚ます。視界には依然として「魔王復活まで:99日」という表示が浮かんでいた。時間は着実に減っている。その事実が、胸に重くのしかかる。


 昨日、町中を巡ったが明確な答えは得られなかった。今日は別のアプローチを試す必要がある。

 まず、俺は町の北にある冒険者ギルドを訪れることにした。このギルドは近隣の村からの依頼を取りまとめており、旅人や冒険者が多く集まる場所だ。ここなら、外部から来た者が持つ新しい情報を得られるかもしれない。


「いらっしゃいにゃ、何か依頼探してるにゃ? お困りのことがあったら何でも聞いてにゃ」

 ギルドの受付で対応してくれたのは、ネコ耳が特徴的なネコ獣人の女性だった。ふわふわの尻尾がゆらゆらと揺れ、柔らかな笑顔を浮かべている。俺は視界に浮かぶ異変については伏せ、最近の魔物や不穏な出来事について尋ねる。


「魔物にゃ? そういえば最近、南の山嶺地帯で目撃例が増えてるって話は聞くにゃ。ただし、それが直接君に関係するかどうかは……」

 ネコ獣人の受付嬢が話している間、背後から声がかかる。


「南の山岳地帯? あそこなら俺も気になっていたところだ」

 振り返ると、年季の入った、手入れの行き届いた装備を身にまとった中年の冒険者が立っていた。彼はギルドで話を聞いていたらしい。ガレスは、自分自身も南の山岳地帯に関心を持っていると話し始めた。その理由の一つは、かつて彼が受けた依頼に関連していた。山道で魔物に襲われたという報告を受け、調査に向かったが、それ以上の情報を得られずに戻ったという。あの時の痕跡がどうしても気になる、と彼は言葉を続けた。


「それに、あの山には変わった隠れ里があるって噂も聞いたことがある。長老みたいな賢い奴が住んでるらしいんだが、俺はまだ会えたことがない。お前さんの目的に合う情報が見つかるかもしれない」

 さらに彼は笑いながらこう付け加えた。


「若い奴が山道で痛い目を見るのを放っておくほど冷たくはない。俺もな、昔は無茶ばかりしてたからな。そのツケを払うのはゴメンだが、忠告くらいはしてやるさ」


 その物言いには少し皮肉っぽさが混じっていたが、どこか面倒見の良さを感じさせるものだった。

「もし君が調査に行くなら、俺も同行してやる。最近の山道は一人で行くには危険すぎるからな」


 思わぬ申し出に驚きながらも、俺はその冒険者と話を進めることにした。名前はガレスと言い、この地方で経験豊富な冒険者らしい。


「情報を集めるのが目的なら、俺が見つけた痕跡も案内してやる。ただし、山を越えるとなるとそれなりの準備が必要だ」


 俺たちは、翌日から山岳地帯の調査に向かう計画を立てることにした。その日は装備や食料を整えつつ、ガレスから過去の目撃情報を詳しく聞くことで終わった。


 視界に浮かぶカウントダウンが、一日ずつ減っていく。その事実に焦りを覚えながらも、俺は次の一歩を踏み出す準備を整えていた。

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