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私のアイドル  作者: 美海秋
二章 挑戦編

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望まない人気 5

「由紀、誰がやったのか、わかってる?」

「社長。もちろんです」

「だったら、すぐに社長室に連れてきて」

「わかりました」


七海は、すぐに秘書である由紀に言うと、由紀は部屋から出ていき、ある一人をすぐに社長室に連れてくる。

由紀と一緒に入ってきたのは、少し予想はしていたけれど、一緒に面接をした彼女だった。

名前は指田言葉(さしだことは)

いつも可愛く着飾っている彼女は、アイドルになりたいけれど、なれないから、それをサポートするためにマネージャーとしてこの会社に入社した。

そんな彼女は、今もアイドルに憧れているということなのだろう。

もしかしたら、そのせいで幸來ちゃんたちに嫌がらせのようなことをしたというのだろうか?

そんなことをしても、自分にメリットは何もないというのに…

部屋に入ってきた彼女は、こちらの視線によって、何かに気づいたのだだろう。

これまでこちらに向けてきていた殊勝な態度とは裏腹に、少し不貞腐れているような感じになっている。

そして、彼女はそんな態度のまま話す。


「ああ、なんだ、ばれたんですか」

「呼ばれた理由がちゃんとわかってるってことね」

「もちろんわかってますよ。だって、最初からそうなると思ってやっていましたからね」

「どうして、そんなことをやろうと思ったのか、聞かせてもらってもいいかしら?」

「わかりませんか?簡単なことですよ。受かった彼女のことを、社長はどう思っていますか?」

「それは、もちろん。わたしが受からせたんだから、アイドルができると思っていますけど」

「本当ですか?あんな病気をもっている人を?」

「どういう意味かしら?」

「いえ、そういうことなら、わかりました」

「何が言いたいのか、はっきりしなさい」


七海がそういうと、彼女はさらに嘲笑する。


「決まっていますよ。同情を誘うためにと決まっていますよ」

「同情ですって?」

「そうじゃないですか?そのために、彼女をアイドルにさせたんじゃないんですか?」

「本当にそう思ってるの?」

「違いますか?見ていただけでは、そう思っちゃいましたけど」


彼女はそう言って、悪びれることもない。

言いたいことというのを、七海は理解できてしまう。

どういうべきなのかと七海は考えているが、口から何かいい答えがでることはない。

そう思っていたときだった。

七海の代わりに由紀が口を開く。


「いえ、指田さん。それは違います」

「は?由紀さん、何を言ってるんですか?」

「何をと言われましても、こちらとしては彼女が入るというのは、当たり前のことだと思いました」

「あんな病気をしているやつを?」

「病気、確かにそれは紙にも書かれていましたね」

「そうよ。病気があるやつをいれるなんて、同情を誘うためでしょって言ってるの」

「確かに、紙だけを見れば、そう思うのもわかります。ただ、ここにいる全員が彼女の、幸來さんの歌をダンスを見ましたよね」

「そうだけど」

「指田さんは、幸來さんのそれを見て、どう思いましたか?」

「そんなのは、どうも…」

「思っていませんか?本当に?」

「何よ、何が言いたいのよ!」

「指田さん。あなたは嫉妬しているだけですよ」

「なんですって?」

「幸來さんの歌とダンスを見ても、何も感じないというのであれば、こんなことはなくてもよかったはずです。でも、あなたは嫉妬した。どうして病気をもっているのに彼女は、ここまでのことができるのか…そうじゃないですか?」

「…だったら、どうしたっていうのよ」

「幸來さんがどれほどの努力を重ねてきたのは、あなたは知りませんよね?」

「知らないけど」

「でしたら、こちらが判断できるのは、あのときの歌とだんすダンスだけです」

「だったら、どうしたっていうのよ」

「あのときに、不満がなかったというのであれば、あなたも幸來さんの歌とダンスを見て、納得はしたはずです。それなのに、嫉妬をしてこんなことをやるというのは、おかしいと思っているだけです」

「確かに、おかしいかもね。こんなことをしても、何にもならないってことはわかってたけど。抑えがきかなかったんだから、仕方ないでしょ」

「そうですか…でしたら、あなたは選択肢はこの会社から去るということだけですね」

「いわれなくても、そうするわよ」


彼女はそう言って、踵を返す。

ただ、社長室を出る前に、指田は七海たちのほうを振り返る。


「これからが、楽しみですね」


そして、笑いながら指田は出ていく。

それを見て七海は小さな声で言う。


「由紀、大丈夫かしら?」

「社長。そこは、幸來さんたちを信じるしかありませんよ」

「そうよね…あとは、マネージャーについても…」

「それには考えがあるので、大丈夫ですよ」


そう言葉にして由紀は、履歴書を七海に渡す。


「これは…」


書いてある内容に目を通した七海は、ただ驚くのだった。

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