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私のアイドル  作者: 美海秋
二章 挑戦編

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一歩前に進むなら 3

何を言えば、天音は納得してくれるのだろう。

だって私は、アイドルになれるはずがないのだから…

そう思った私は、再度天音に声をかける。


「天音。さっきも言ったけどアイドルにはなれないよ」

「どうしてでしょうか?」

「だってそれは、病気をもっている私がアイドルをしてしまったら、アイドルを頑張っている人にも、アイドルを目指している人にも迷惑をかけるから…」

「それは、誰が決めましたか?」

「それは、その私が…」

「でしたら私が言います。花澄がアイドルにならないのなら、私が困ってしまいます」

「どうして?」

「だって、私がアイドルとして最初のステージをこなせたのは、花澄がいたからです」

「わかんないよ。天音だったら、うまくできていたかもしれないよ」

「そんなことありません!」


天音が大きな声でそう言う。

私はびっくりしてしまう。

驚く私に対して、天音はさらに言葉を続ける。


「私は、あの日…別のことを考えていました。花澄が私の家で見た親のことです。どうしていいのかわからなくなって、気づけば花澄とやっていたダンスも忘れてしまうくらいでした。だから、ステージがうまくいかないというのは当たり前だったはずです。でも、花澄が来てくれました!だから、私は頑張ろうって思うことができたんです」

「そうなんだ…」

「私は、花澄のおかげでステージを成功させて、親に言えました。今度は見に来てくださいって…だから、花澄!」

「…」

「私を助けてください!」

「…」

「花澄がなれない理由を言うのなら、私は花澄がなれる理由を言い続けます」

「どうして…」

「花澄がステージで踊っている姿を見たいからです!」


天音の言葉はただ、真っすぐだった。

私の言葉はどうだっただろうか?

何かを挑戦するたびに、私は病気だからと言ってしまうの?

それで、本当に私は後悔しないの?

本当はやりたい…

でも…


「ごめん、ごめんなさい。天音…私は…」


そんなあいまいな言葉しか出てこない。

私だって、本当はやりたい。

それは、天音のステージに乱入してしまったときに感じた高揚感だった。

みんなが盛り上がっている。

それを肌で感じて、余計に盛り上がる。

あれを知れば、私はもっともっとやりたいと思ったのに…

それを感じれば感じるほど不安も大きくなる。

心臓がぎゅっと掴まれてしまうような不安が…

いつ、私の病気が自分自身に牙をむいて、踊れなくなってしまうんじゃないのかって…

天音が言ってくれる言葉は、嬉しい。

私だって、わかっている。

でも、私がアイドルにもしなってしまったら、迷惑をかけてしまうんじゃないのかって、いつも思っている。

だから…

いつの間にか、私の目から涙があふれていた。


「ごめんなさい、ごめんなさい。花澄…」

「ううん、私が…」

「いいえ、無理に誘った私が悪かったのですから…だから、明日の放課後時間を私のためにください」

「どういうこと?」

「それは、そのときのお楽しみです」


天音はそう言葉にすると、私の顔を優しくハンカチで拭う。


「花澄。かわいい顔が台無しですね」

「天音には、言われたくない」

「そうですね。では、私は帰らせていただきます」

「うん…」


天音は、何かを決心したようにして帰っていく。

私は、それを見送った。

その日は、それ以降ダンスもする気がおきなくて、ただ私がどうすればいいのかを考えていた。


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