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私のアイドル  作者: 美海秋
二章 挑戦編

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一歩前に進むなら 1

「今日も一応安静に」

「わかってるよ、お姉ちゃん」


お姉ちゃんに言われた私は、家から出ていくのを見送る。

昨日あんなことがあったこともあり、今日は安静にすることになった。

だけど、体はそれなりに回復していることもあり、暇になっていた。


「何しよう」


シーンとした家の中で、独り言をつぶやいた私は、考える。

どうせなら、何か自分の中でやりたいことを…

そう考えたところで思いついたのは、昨日できなかったことだった。

今日は忘れずに薬を飲んでいる。

だったら、落ち着いてやればなんとかなるはず。

私は、動きやすい服装に着替えると、ゆっくりと動きを確認するようにしてダンスをする。

お姉ちゃんが、アイドルということもあり、ダンスなどの練習を少しでもできるようにと、大きい鏡があり、私自身もそこを使って練習する。

こんな感じだったはず…

覚えていた内容を体で表現していく。

うまくできている感じはないけれど、ある程度が完成すれば、次に通しで行う。


「♪」


歌は、すでに音楽サイトで購入済みなので、イヤホンで聞きながらも口ずさみながら動いていく。

リズムは完璧なはず…

そうして一曲を通しでダンスを踊った。

でも、自分の中にある感想は一つだった。


「全然うまくいってる気がしない…」


昨日の信さんが踊っているところをトレースするイメージで踊ったというのに、イメージと実際踊った感じは全く違っていた。

なんとなくずれている。

そう感じてしまう。

どこかずれているのかはわからない。

でも、うまくいかないというのに顔はにやけてしまう。

うまくいっていないというのは、今後練習次第でうまくいく可能性があるということで、どうすればうまくいくのか?

それを考えるだけで、わくわくしてしまう。

今日は学校を休んでいるからこそ、時間はたくさんある。

今からならたくさん練習できる。

少しでも、信さんが見せてくれたあのダンスに近づくためにも、繰り返し確認をしながら練習するというのは大事なことでもあるし、昔を思い出す。

病気のせいというべきか、おかげというべきなのかは私にはわからないけれど、昔の私は時間があればアイドルのダンスや歌を研究して真似をするということをやっていた。

それは、アイドルが好きだったということもあるけれど、病気が治ればできるようになると思っていたからで、そのときは一つ一つの動きがうまくつながって一つの曲となっていくようで、完成させたときの達成感と喜びはいつも最高だったりする。


「ふふーん…今日は、どれくらいでものになるかな!」


嬉しくなり、私はそう口にする。

まずは動きの洗い出しをするために動画を取る。

私が覚えている動きというのを再現するためという理由もあった。

そして、何がおかしいのか、どの動きであればおかしくないのかということについてを動画を見ながら一つ一つ潰していく。

これはあってる。

これは間違ってる。

そんなふうにして、動きを確認する作業というのは、地道だけど再現するためには必要なことだった。

次にメトロノームを用意して、再度新曲を流しながら、それをメトロノームにてリズムを取っていく。

そして、そのリズムに合わせるようにしてダンスを合わせていく。

作業をして、気づけばお昼になりお腹が空いているのを感じた私は、冷蔵庫にあるもので簡単に昼食を済ませ、薬もアラームを設定しておいたおかげで飲み、さらに作業に熱中する。

そんなことをしていたからだろう。

気づけば時間はかなり立っていたようで、喉が渇いてきていた。

一息つくために立ち上がったところで、玄関のチャイムが鳴る。


「誰だろう?」


三時になる前のまだまだ早い時間に、チャイムが鳴ったことに驚きながらも、ピっと操作をして外に誰がいるのかを確認する。


「なんで?」


外にいる人物を見て、私は思わずそう言葉にしてしまう。

誰が外にいたのか?

それは、天音だった。

どうして家に?

頭の中は疑問に思っていると、天音の口から独り言なのか、声がインターホンを通じて聞こえてくる。


【しんどいから休んでるって話でしたよね。もしかしたらまだ寝ているということでしょうか?それなら、お見舞いの品だけ置いて帰るというのも…いえ、こんな誰が置いていったのかわからないものを置いていくというのは、さすがに迷惑すぎますよね】


どうやら、内容から察すると、私のことを心配して来てくれたみたいで、どうしようかと迷っているのか扉の前でうろうろとしているのが、見える。

私は、その動きを見て、思わず笑ってしまうのをなんとか堪えながらも、扉に向かうと、ゆっくりとその扉を開けるのだった。


「あの、えっとですね…」


急な登場に驚いている天音に、私はいつものようにかわいいと思いながらも、言うのだった。


「上がっていく?」

「は、はい」


緊張した様子ながらも、天音はそう言葉にすると、二人で家に入るのだった。


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