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モブを自称するモテモテハーレム主人公君の友達役になった俺は彼を観察するのが趣味の1つです。  作者: ムラタカ


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30話  どん底から…

もう嫌だ…もう沢山だ。


いつも…いつもそうだ。


女って生き物は良くわからない。

最初は気前よく近づいて来て僕と仲良くしたそうに手を伸ばしてくる。

そのくせ僕が手を伸ばすとそれを払い除ける。


ただ払い除けるだけならまだ良い。

キツイ暴言を吐かれたり最悪暴力沙汰に発展する。

僕が何したってのさ!

僕は彼女等が構ってきたから手を出しただけ!

なのに…、

それなのに僕がいつも悪者だ!

いつだって悪いのは僕だけだ!



小学校…いや、幼稚園の時から変わらないんだ。

僕のまわりには可愛かったり、綺麗だったり…とても印象的な女の子が寄って来る。

彼女達は僕の事をチヤホヤしてくれる。

なんの才能も無い、頭の出来も、運動神経も並な僕なんかに彼女達は構ってくれる。

嬉しく無いわけがない。

僕だって男だ。

可愛い女の子に囲まれたら鼻の下だって伸ばす。

好意を寄せられたらそれに応えたくなる。


でもそれは取っておきの罠なんだ。

彼女達は僕の事が好きなんじゃない。

僕って言うブランドが好きなんだ。 


とはいえ、僕なんかにブランド価値なんてあるとは到底思えない。

でもそれ以外に見当がつかない。

彼女達にしか解らない、彼女達に共通する何らかの価値が僕にはあるんだろう。

でもそれはハリボテ。

近づいて目を凝らせばハリボテだって気付くんだ。


本気になったら痛い目をみる。

冬真さんが初めてじゃない。

昔からそうだ。

僕が手を出したらその娘はそれまでの態度を変えて僕を攻撃してくる。

口汚く罵られたり、頬を引っ叩かれたり、ストーカー扱いされたり…だから僕はもう信じない様にする事にした。


告白?

はっ!

嘘告に決まってる…。

その時の告白は本物の告白かもしれないけど…どうせ実際に付き合いだせば手のひらを返してその女も僕を馬鹿にするんだ…。



義妹の花楓も僕に気があるみたいだな…。

でもこれは絶対に手を出したら駄目だ。

僕等は家族だ。

家族仲が破綻する様な事にだけはなってはならない。

唯一の安住の地である家まで地獄に変えられてしまうから…例えどんなに義妹が甘い声で誘惑してきても本気にしてはならない

我慢してればいつかは近づかなくなる。

他の女がそうだったから…


僕には…


茜さえいてくれたら良い。

幼馴染として…彼女さえいてくれたら僕は何もいらない…。

なのに、その茜すらいなくなった。

僕は本当の意味で1人だ。



【みんな〜こんにちうたうた〜歌うのが大好き!アークスター所属のアイドル候補生!星乃詩羽だよぉ!】





アークスターの星乃詩羽ちゃん



彼女こそ僕の生きる意味。


彼女だけが僕の癒やしだ。

彼女だけは僕を裏切らない。

彼女だけは僕に手を出してこない。

どれだけコメントしょうがいいねしようがフォローしようが彼女は決して僕個人に媚びないし、手も出さない。


だって彼女たちはアークスターが誇るトップアイドル。

数多いるファンに向ける彼女の笑顔は僕個人が独占して良いものではないし、また、独占出来るモノでもない。



彼女にとって僕は数多いるファンの1人に過ぎない。

彼女こそ至高の一番星、星乃詩羽ちゃんだ!

僕の最高の推しだ。


 しかし。



それでは




僕の孤独は癒えない。

向こうが手を出してこない様に…


こっちからも手を出すことは出来ない。

所詮は画面の向こうの存在。

それでも…

そうと解っていても…

もう僕には詩羽しかいないんだ…。




放課後の学校。


あれほど賑やかだった僕の周囲には誰もいなくなった。

2人の先輩も…1人の後輩も…幼馴染も義妹も…

唯一の男友達も…


誰もいなくなった。



「よお、お前いつも1人だな?暇じゃねーの」


「え?…と…君は?」


「え?おいおい!クラスメイトの名前くらい覚えてろよ?」


「ご…ごめん…えと…人の名前覚えるの苦手で…」


「はは!まぁそーゆーこともあるか、俺は大地智樹だ、まぁ気が向いたら覚えてくれや」


「あ…うん…」





それなのに…彼は僕なんかに話しかけてくれている。


このまま行けば学校になんて来たくなかったけど…まだ…来ても良いかもしれないな…。










最近、智樹と宮藤が話してる所を良く見る様になった。

アイツ…前までは宮藤なんかに見向きもしてなかったのに何故だ?



友人の奇行?を片隅に捉えながら俺は最愛の彼女、茜が作ってくれた弁当を頬張っていた。

やはり彼女のお手製弁当とはそれだけで絶大な意味をもつ。

あの細くしなやかな指で俺の食う弁当を俺だけの為に作ってくれているのだ。

これが特別と言わずしてなんと言おうか!



「大袈裟だよぉ〜もぉ〜、ほらゆっくり食べて」


「いやいや、生まれてこの方母親以外の異性から手作り弁当なんて貰った事無いから感動するなって事の方が無理だよ」


「ホントに大袈裟だよ、お弁当なんていくらでも作ってあげるから」


「あ〜、神様茜様〜」


「も〜智君のお調子者!」


「あはは〜」



こんな平和な毎日でいいんだろうか…

余りにも平和過ぎて眠くなって来るぜ。

これが平和ボケというヤツだろうか?


別に一学生に過ぎない俺が平和だなんだとかおかしな話だ。

高1で心機一転、彼女とかがいる色のある学生生活を夢見て、思い切って入学式での一目惚れから片思いをしていた相手に告白して、受け入れたのも束の間、半年足らずでフラれ、傷ついたり落ち込んだりして、それでも今は当初の目的だった彼女…しかも天元突破級に可愛い彼女をゲットし、俺の青春は間違いなく絶好調を地で行っている。


ここまで好調だと警戒するなって方が無理な話だ。

何事もうまく回りだしてからが最も警戒しないといけないって昔の偉い人が言ってた気がするしな。


とりま、やっぱり一番に警戒するべきは宮藤だ。

ヤツのハーレム主人公バフは決して無視していい代物ではない。



だからだろうか…、俺には大地智樹の行動がひっかかって仕方なかった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おお?? 主人公が増えた? というより元は同じ主人公が目的別で分裂してた?
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