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モブを自称するモテモテハーレム主人公君の友達役になった俺は彼を観察するのが趣味の1つです。  作者: ムラタカ


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13話  九条茜の思惑



Vチューバを始めたきっかけは雅君…宮藤雅人君に振り向いてもらうというのがきっかけだった。


でも彼は一切興味や関心を向ける事無く自分の推し、”詩羽ちゃん"にお熱だ。

別にその事を咎めるつもりも責めるつもりも無い。

そんな権利…私には無いし、雅君が誰を応援しようとそれは雅君の自由だ。

でも…意地汚い私はこう思ってしまう…。

少しは私にも興味を持ってよと…。

でないと…でないと…私は貴方を好きで居続ける自信がないから…

貴方を好きだって感情を繋ぎ止めていられなくなるから…。


でもそれも私の自由だよね?

雅君が推しの応援にお熱なように、

私が雅君への気持ちが薄れていくのもまた自由だよね?


雅君と違い、私のVチューバの姿、雨白アテナを見て応援してくれていた彼、足立智春君。

なんの知名度も人気も無く私自身、特に拡散や宣伝もしてないので人気という言葉とは程遠いVチューバ。

彼はそれを自力で見つけ"推し”にしてくれた。


雅君は見向きもしてくれなかったのに…。

認められた気がした。

許された気がした。

それから私は彼の事を観察する事が増えた。

彼は私が雅君に恋してると思ってる。 

他の女神って呼ばれている子達と同類だと思われている。

今のままじゃ駄目だ。 

同類と思われているままじゃ駄目だ。

私は足立君と仲良くなりたい。

足立君ともっと親密になりたい。


そのためには足立君の勘違いをなんとかしなくちゃ…。

だから私は雅君のお世話をするのを辞める事にした。 

ちょうど本人も私の事をうざがっているから良いよね…?

 

お弁当も作らないし迎えにも行かない。

雅君の為に作ったお弁当は食べてもらえない事の方が多い。

他の子達…蔵王先輩や足立桜花先輩や花楓ちゃんを優先して、私のお弁当は後回しにされ、食べてもらえたところで素っ気無い反応しか返してもらえない。


でも足立君は美味しいと…私にも笑顔をくれた。

彼と一緒にいると心が暖かくなる。

ほわほわとした気持ちになれる。

こんな気持ちは雅君の時でも抱いた事がない。

だからそんな夢の様な時間を邪魔された事が少し許せないって気持ちになる。


女神の1人の冬真静留さん。

黒髪が綺麗で知的そうな人、皆と同じ様に雅君に恋する1人の女の人。

今まで話した事はろくにない。

そんな彼女は雅君と距離を詰める為に足立君を利用しようとしている。

足立君は何故か雅君と仲がいいから…それを利用しようとしているんだ。


勇気を出してお昼休みに足立君を食事に誘った。

私の差し出したお弁当を食べてくれてる。

もともと雅君の為に作ったものだと理解しながら彼はそれに嫌味や文句を言うこと無く食べてくれる。

でも実はこのお弁当は雅君ではなく足立君の為に作ったんだ。


どうせ雅君は食べてくれない…なら足立君に上げればいいんじゃない?

そう思うと作るのが楽しくなって卵焼きに一工夫したりついつい力がこもった。

それを美味しいと食べてくれる彼。

ともて幸せな時間。

そんな大切な時間は唐突に終る。

そこに現れて身勝手な事を言う冬真さん。

そして彼女の口から出る身勝手なお願い。



「どうしよう?足立君…?」




「お…俺に聞かれても…」




「なら…交換条件と言うのはどう…?」




「え…?」




「交換…?」



彼女は私にのみ聞こえる声量で耳元に口を寄せて直接その条件とやらを言う。

身勝手に…一方的に。



「貴方足立君の事が…好きなんでしょ?」


「え!?ちっ違っ…私は…」


「隠さなくても解るわ…貴方分かりやすいもの…まぁ……宮藤君より足立君を選ぶ貴方の好みは理解し難いけれど、人の嗜好にとやかく言う資格なんて私には無い訳だし?

どうかしら?私の手伝いをしてくれるのなら足立君の好みや嗜好を教えてあげるわよ?」


「貴方が?どうして足立君の好みや嗜好を知ってるんですか?」


「簡単よ…私は元々彼の恋人…所謂元カノってヤツだからよ。」


「は……?元カ…ノ…?」



「ふふ、ええ…元カノ…元…彼女、私は半年くらい前まで彼と付き合ってたの…でも私は宮藤君を好きになっちゃったの…宮藤君に誠意を示すためにも足立君と付き合い続けるわけにはいかないの、だから彼と別れたのよ。」


「そ……そんな…」


「足立君には辛い決断を迫ってしまったことは自覚してるわ…でもね?私の心は既に宮藤君の所にあるの…こんな気持ちのまま彼と付き合い続けても意味はないし、彼の為にもならない…別れるのが正解なのよ…、理解出来るでしょ?」


「…………。」



もし許されるなら私は眼の前にいるこの女を殴り飛ばしてやりたい。

でもそんな事は出来ない。

それが分かってるからこの女はこんな話を私にしているのだろう。



「どう?私なら足立君の事はある程度わかるから貴方にとっても有意義な情報を提供出来るし、恋愛を優位に進める事も出来るわよ?悪い話じゃないと思うけど?」


「そうだね…うん…わかったよ…私も貴方の事…応援するわ…」


「っ!ふふ…ありがとう…私達…きっと良い友達になれるわね。」


「…そうだね、」



冗談じゃない…こんな自分本意な人とは絶対に仲良くなんてなれっこない。

自分本意か……もしかしたらこの人はある意味では雅君とよく似てるし、お似合いかもしれないね。


足立君はこの人と付き合っていた。

なのに雅君を好きになったって理由で捨てられた。

なら足立君はこの人に心を沢山傷つけられたんだ。

それなのに今度は利用されてる…そんな事あって良い訳が無い。


この女から足立君を遠ざけないといけない。

そうしないとこれからもずっと足立君はこの人に傷つけられ続ける事になるんだ…。

それにどうせ誰も雅君と付き合えたりしない。

仮にこの人が雅君と付き合えても絶対に幸せになんかなれないし、上手く行かない。いきっこない。


自分本意で身勝手で自己中な者同士。

そんなの上手くいくわけないのだから…。




「本意じゃないけど…私冬真さんの応援をする事にしたよ」




「ま…マジかよ…」




「そういう事よ、これで貴方との関係も本当にこれっきりよ?良かったわね…」




足立君は少し悲しそうな顔をする。

気丈に振る舞っていてもやっぱり未練がある。

割り切れたつもりでもまだ引きずってる。


足立君みたいな良い人がこんな人に苦しめられるなんてそんなの駄目だ。



「心配しないで…足立君。」


「九条…さん?」


「私は…私は…うぅん…それよりお弁当…食べて欲しいな…」


「あ…そうだな…頂くよ…」



もう自分を騙し続ける事なんて出来ない。

私の気持ちはもう決まってる。

私は足立君の事が好き。

好きになっちゃってる。

あの女との話で気付かされたのは嫌だけど…

それでも感謝しないといけない。


だから精一杯恩返ししてあげる。

雅君と幸せになれたらいいね。



冬真さん。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに二股しないだけマシなんだよな、元カノ。 (NTRざまぁ小説に毒され過ぎてる自覚はある)
[良い点] ハッピーバースデー、九条茜さん。貴方の恋心、恋愛感情の発露を、私は心より祝福させて頂きます。願わくば、数多のヒロインの屍が転がる戦場を対岸の火事として、幸せになることを祈ります。 [一言]…
[良い点] 流れが変わった
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