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モブを自称するモテモテハーレム主人公君の友達役になった俺は彼を観察するのが趣味の1つです。  作者: ムラタカ


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12話 宮藤と話してみた


5時限目と6時限目の間の休み時間、流石にこんな短い休み時間の間にハーレムメンバーの誰かが教室に転がりこんで来る事はなく、宮藤は1人暇そうにスマホを見ている。

九条も女友達と楽しそうに談笑していて宮藤を気に掛ける素振りはない。


チャンスと思い俺は思い切って宮藤にどう思ってるのか聞いて見ることにした。



「よお!宮藤あと1時間で帰れるな!毎日長くてヤになってくるな」


「あっ!足立君…そうだね!でも後1時間だし、我慢してれば直ぐだね、授業中は詩羽の今日の配信の事でいっぱいだよ!詩羽は…」


「そういや宮藤はモテモテだな!先輩に後輩に選り取り見取りじゃないか?誰が本命なん?な?やっぱり俺の姉ちゃんか?」


「へ?え?…どうしたのいったい…」


「どうしたのじゃね〜だろ?毎日学園の女神に取り囲まれてお前だって気付いてるだろ?このハーレム主人公がよ!憎いね!このこの!」


「あ……あはは…や…やめてよ…みんなそんなんじゃないよ…みんな良い人たちだから僕みたいなモブにも優しくしてくれてるんだよ…」


「良い人ってだけで人は誰かにあそこまで執着しないぞ?副会長なんて毎日昼休みに来るしお前の義妹だって毎日弁当作ってくれてるじゃん?」


「それは妹だからだよ…花楓は優しいからね…僕のもついでにつくってくれてるんだ…蔵王先輩も僕がだらしないから気を使ってくれてるんだよ…はは、皆には迷惑かけてばかりだ…」


「…………。」


「足立君?」


「え?ああ…ごめんごめん、でも普通そんな理由でカマッたりしないと思うぞ?やっぱりフラグがたってんだって?な?勝ち目のある勝負なんだって!で?お前は誰が本命なん?」


「あはは…もうだからそんなんじゃないってもお!あはは!」



いやいや、素晴らしいレベルのフラグブレイカーだ。

全く進展がない。

自分がモテていると全く自覚がない。

改めて思ったがこれは一種の防衛本能から来る自己催眠みたいなモノなのかもしれないな。


昔に何かトラウマでも受けたのだろうか? 

まぁ…どうでも良いけど…。


俺がこれまでコイツにぶっちゃけトークみたいなのを聞いてコイツの反応を伺ってたのは、ある事が聞きたかったからだ。

ジャブで聞いて良い空気を作り、もっとも聞きたい事をコイツの口から直接聞いてみたかったんだ。



「で?九条は?同い年の美少女幼馴染とかギャルゲのヒロインによくあるあるじゃん!お前的には九条が本命なん?」


「あはは!だからありえないって…茜は幼馴染だし、向こうも僕の事なんて弟みたいにしか思ってないよ〜あははは〜」



まぁ…思ってた通りの返しだな。

特に驚きもしない。

だからもう少し突っ込んでみる事にする。



「何なに?やっぱ幼馴染は負けヒロインなん?

そんな事言ってるけど九条さんに彼氏とか出来たらどうすんだ?美人だしあり得ないって事は無いんじゃね?」


「え?う〜っまぁ…良いんじゃない?そこは茜の自由なんだし…そりゃ…すこしは寂しいけど…僕に束縛する権利なんてないんだしね…」


「おお、つまり取られても大丈夫と…流石エロ漫画マスターだな!NTR耐性バカ高いじゃん!」


「いやいや、全然高くないよ!もし推しの詩羽が裏で男性Vと個通とかしてたら僕病んじゃうよ」


「とか言って!推しのNTRモノでぬいてんだろ?このエロ魔人がよ!」


「もう!そんな事しないよ!推しは神聖な存在なんだからね!」



わかってはいたつもりだが九条さんの気持ちに1ミリの理解も示してはいない。

コイツの中で彼女は隣の家に住んでいる幼馴染でしかなく恋愛の対象にはなり得ないらしい。

いや、全ての女性が対象になりえないのかもしれないな。

コイツは自己の肯定感が極端に弱い。

誰かの気持ちに気づく前にどうせとか僕なんかって考えが他者への理解の阻害をしている。



「そ…そんな事よりさ!今度アークスターの合同ライブがあってね…よか…」


キーンコーンカーンコーン


「じゃな、席に戻るわ」


「あ……うん。」



予冷の鐘の合成音に助けられた。

そろそろ引き上げたかったのでタイミングは神だ。

俺は自分の席に戻りテキパキと次の授業の準備を進める。

Vのライブにいきたいなら1人で行けば良いだろ。


なんならハーレムメンバー連れて行くのもありだろ。

まぁ綺羅びやかな美少女を数人引き連れてVのライブになんていったら最悪殺され兼ねないが、下手したらアイツはその理由さえ解らないのかもしれないとおもうと恐怖すら感じる。



そうして6時間目の授業も恙無く終わり、放課後となった。いつも通り宮藤の周りを4大女神が囲っている。

そう、九条が抜けて、いつの間にかそこには冬真も加わり新たな構成となっていた。



「上手いこと入り込めたみたいだな…アイツ…これも九条が裏で手を回した成果かな…?」



冬真の恋が実るのは正直面白くないがその可能性もまた恐ろしく低いのだ…、まぁ傍観でいいだろう。

あの奥手な冬真では鉄壁の鈍感力を持つ宮藤の壁は万に一つも超えれる可能性は無いだろう。

俺はそれだけ考えるとカバンを持ち教室から出て行こうとする。

しかしそんな俺に声をかける女子の声



「まって…足立君…その…良かったら一緒に帰らない?」


「九条…?」


「その…お昼休みは中途半端だったから…」


「そうだな…う…うん…わかった…」


「ふふ…じゃっ…行こう?」



こんな日が実際に訪れるなんて思わなかった。

冬真にフラれたその日から女子と付き合うなんて当分のうちはゴメンだと…。 

しかし男の子とは単純な生き物で女の子…それも美人から誘われてしまえばそれを断るなんて選択は無くなってしまう。


というわけで俺と九条はこっそりと教室を後にする。


俺は気づいて無かった。

4大女神に囲まれながらもコチラをしっかりと伺っていた宮藤の視線に…。






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― 新着の感想 ―
[一言] 当たり前だと思っていたものが急に無くなったとき、それが大事な物だったんだなぁって 気付いたときには大体手遅れ何ですよね。                         いやまぁ 独り言です…
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