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モブを自称するモテモテハーレム主人公君の友達役になった俺は彼を観察するのが趣味の1つです。  作者: ムラタカ


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9話




俺は今日も教室の中に充てがわれた自分の席からある珍事を傍観する。

その空間は異質だ。異質だからこそその空間には誰も入らないし介入しない。

もしそれが可能な奴がいるならそれはあの空間を支配している奴等と同じ影響力を持った者だけなのだろう。



「雅兄どうどう?自信作なんだ〜この卵焼きとかママに教えてもらって作ったの!ママったらね?彼氏に作ってあげ…」


「え?花楓彼氏いんの?」


「違う違うって!花楓彼氏なんていないよぉ!ママが勝手に勘違いしてるだけで花楓は最初から雅兄の為に作ってるんだよ!」


「ふふ、花楓さんったら…雅人君…よかったら私のお弁当もどうでしょう?自分の分を作っていて多く作り過ぎてしまってもし良かったらでいいのですが?」


「え?桜花先輩のお弁当をですか?頂きます!是非!頂きたいです!」


「あらあら…ふふではどうぞ」


「むぅ~雅兄!花楓のも食べて!唐揚げ好きでしょ?」


「ふふ、駄目だな二人共、肉モノばかりじゃないか…栄養バランスが偏るよ?しっかりと野菜も取らないと将来大変な事になるよ?そう言う事もしっかりと考慮に入れてあげないと」


「ほう?では萌芽はどんなお弁当を用意したのかな?」


「ふふ、よく聞いてくれた…流石親友桜花だ。

見たまえ!」


「おお〜!」


「うわっ流石先輩!料理も美味しそう!」


「凄い華やか……負けた……」



一体どんな弁当を生徒会副会長様は作って来たのだろうか…やや気になるがそれを見るためにあそこに行こうという猛者はこの教室の中にはいない。


ただほぼすべての生徒がそんなやり取りを遠巻きに見ている。

ある者は切望の眼差し、ある者は増悪の眼差し。

誰もあのハーレムを許容してはいない。

ただ傍観するしかないだけで許容なんてしてはいないだけなのだ。


しかし、未だに冬真の姿形が見えない…。

あの女は態度こそデカいがそれはある程度気心知れた相手の前でだけ出す傾向がある。


多分あの中に入るには未だに心の準備期間が必要なのだろう。

じれったい…

今のところハーレムは順調に維持され崩壊も決裂もする気配がない。

もっと劇的なカンフル剤を投入しないと駄目みたいだが…一応姉や冬真をけしかけてるがどうも効果が薄いようだ。


はぁ…とため息を吐き出し、引き続き傍観しているとある事に気づいた。

九条がいない。


教室の中を見渡すと彼女はハーレムメンバーと関係ないところで女友達となにやら談笑していた。

しかしそちらも直ぐに終わったみたいでバイバイと互いに手を振り合いながら別れを告げる。

するとおもむろにこちらに振り向き思わず目があってしまう。

すこし躊躇しているような顔をした後、彼女はなんとこっちに歩いてきた。

なんだ?

見ていた事を怒られる?

そりゃ…女の子をじっと見てるとか良くないだろうけど…え…なに…怖い。



「あ…あの…」


「ひぃ!ごめんなさい…」


「え?」


「え?……え?」


「ふふ、どうして謝るの…?へんなの…」


「あ……あはは…だよね…てっきりじっと見てたから怒られるのかなって…」


「もう!そんな事でおこらないよぉ!…その足立君は今…暇?」


「え…まぁ…暇だけど…」


「その…もう学食行った?」


「いや…まだだけど…」


「そちぁか……良かったら私が作ったお弁当、…食べる?」


「はい…?」



どういう事だ?

何故俺に?

そのお弁当は宮藤の為に作った物だろう?

どうして俺に振る舞うのか?

しかしそんな疑問に彼女は直ぐに答えてくれた。

まぁ理由を聞いてもわからない事だらけなのだが…。



「雅君に作って来たんだけど…あはは…もう必要もないし、捨てるのも勿体無いからさ…せっかくだし…誰かに食べて貰おうかなって…」


「え…と…どうして俺に?」


「え?え…え〜と…その……たまたま…そう!たまたま目があったから……だよ…」


「お……おう…そっか…」


「そ…そう…。」



候補とはいえ、女神の1人からお弁当を提供してもらえるとか普通にご褒美だろう。

特に良い行いとかしてないのに神様は俺が思ってるよりも気前がいいらしい。


たまたまの奇跡にマジ感謝だ。

とはいえ彼女も女神の1人だ。

教室で馬鹿みたいに彼女がくれた弁当を食らったりしたら非難の目は避けられない。

だから俺は彼女に校舎裏の庭に行く事を提案すると彼女はそれに快く肯定してくれた。


てかついて来るのか?

何故に…?

てっきり彼女の弁当を1人でコソコソ食べる事になると思ってたものだから意外に思う。

まぁ感想とか聞きたいだろうし…気の利いた事を言わないとな…、



そうして彼女の弁当をたべたのだが…



「うわ…思ってたより普通に美味しい。冷めてるのにふんやりサクサク…のフライ…家の母さんのフライなんて冷めたらベタベタだぞ?」


「え?あ…その…コツがあるんだよ…」


「ふーんそっか…、この卵焼きなんてネギが混ぜ込んである!うまっ!味付けもうまっ!」


「え…えへへ…」



美人で料理上手とか天使かな?

こんな子がいるのにハーレム侍らせてるとか宮藤マジクソだわ…。



「でも俺が食べても本当によかったのか?」


「いいよ…うん、全然いい。…ねえ?」


「え?」


「その明日も…」


「こんな所にいたのね…」


「「え?」」



九条さんが何かを言おうとしたがそこに新たな声が差し込まれ、俺は彼女の言葉の続きを聞く事が出来なかった。

声の主は…



「冬真…さん?」



九条が訝しげに彼女の名前を呼ぶ


そこにいたのは元カノの冬真静留だった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒェッ…俺のヤンデレセンサーが冬真にビンビンに反応してやがる…
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