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第33話 ゼルティア vs ブン・オウ

 ゼルティアが持つ長い剣とブン・オウの持つ長い矛は交差したまま、互いに引けを取らなかった。


「……驚いたわね。アタシと武器を交えて吹き飛ばないヤツなんて、それこそどれくらい振りかしら……」

「こちらも驚きだ。人間という弱小種の中で、よくぞそこまで抜き出た腕力を身に着けたものだな……十英傑のひとり、ブン・オウよ」

「アラ、アンタはアタシのことを知ってるのね。嬉しいわ」


 ふたりは互いに交えた武器を弾き下げると、距離を取った。


「お姉さん、アンタのお名前はなんていうのかしら?」

「ゼルティア。私の名は魔王女ゼルティアである。次の魔王の座に就く者であり、天下無敵の猛将となる者だ」

「魔王……それに天下無敵の……猛将? ブォホッ……ブォホホホッ!」


 ……ふんっ、嗤うか。別にそれでもいいが。


「ブォホッ……いえ、ゴメンナサイ。別に嘲笑(あざわら)ったわけじゃないのよ?」


 顔をしかめたゼルティアへと、ブンは微笑みを向けた。


「ただその若さが羨ましくってねェ……アタシにもそんなキラキラした時期があったなァ、って」

「……ずいぶんと年寄り臭いことを言うんだな。貴様の全盛期は今ではないのか?」

「安心なさい、名実ともに今が全盛期よ。アタシに勝る者はこの世にいない、それくらいに思ってるわ。でもね、やっぱり夢って追いかけてる時の方が輝くものなのよね。全てを手に入れてしまうと……夢も、世界も、急速に色を失うモノなの……」

「そうか、それならよかったな」

「ン、何が?」


 ……何が? そんなの、決まってるだろう。


「ブン・オウ。貴様は今日、これまで手に入れたモノ、積み上げたモノ、その何もかも全てを……再び手放す羽目になる。私という存在を前にして、な」

「……言うじゃない、小娘が──ハッ!」


 ブン・オウの馬が駆けてくる。ゼルティアも手綱を取った。互いの馬が交差し、ふたりの武器が激しく打ちつけ合われる。


「力は……五分ってところねっ!」

「すさまじい腕力をしているな、本当に……!」

「ゼルティアちゃんもね……それゆえに、惜しいわ」


 ブンが大きく息を吸った。


「弓兵ェェェェェィ!」


 ……来たか。大量の矢。知恵者ブン・オウは必勝の土俵を敷いて戦うということは前もって聞いてた。


「武とは必ずしも個の力では決まらないわ。さっきの()もゼルティアちゃんも、兵を使うってことがなってないッ!」

「それは私の領分ではない……かといって、決してそちらの道を捨てたわけではないぞ?」

「……ンなっ!?」


 ゼルティアの背後から影が飛び出した。そしてゼルティアに降り注ごうとする矢、そのすべてを斬り落とす。ダークブラウンの鎧に身を包み、錆びた大剣を携えるその騎士は暗黒勇者ナサリー。


「ナサリー、ちゃん……っ!?」

「久しいな、ブン・オウ」

「アンタ、魔界側に寝返ったってワケ……!?」

「……詳しい説明を省けばそういうことになるな。私は新たに主人(マスター)を得た」

「厄介ねェ……!」


 ブンが舌打ちをする。


「ナサリーちゃんも含め2対1になるのはさすがにマズいわ。悪いけどゼルティアちゃん? アンタには早々にリタイアしてもらう必要があるわねっ!」

「やれるものなら──やってみろっ!」


 ブン・オウの振るう矛へと、ゼルティアは長剣を合わせる。激しく交差する武器と武器、そこにもう、ジャマは入らない。


 ……いけるっ! 戦えるぞっ!


 ナサリーは外野のゴショク兵たちの攻撃からゼルティアを守りつつ、確実に敵兵力を削いでいった。近い内に、戦況はこちらの有利に傾くだろう。


「くっ……しぶといわねェッ!」

「フッ、2対1の未来ばかり見据えていないで、今は私との戦いに集中したらどうだ、ブン・オウよ」

「言われずとも……ハァァァァァッ!」


 ブン・オウから繰り出される数々の猛撃、しかし、ゼルティアは防ぐ。防ぐ。防ぎ切る。


 ……嗚呼、ブン・オウよ。確かに貴様の腕力は比類ない。しかし、ひとつひとつの攻撃はナサリーの方がよっぽど速くて脅威的だったッ!


「セェェェイッ!」

「グッ……!」


 ガキンッと、ゼルティアの放った良い一撃がブン・オウの体をのけ反らせた。そしてそれと同時──ゴショク兵たちの陣が、ブン・オウの築いた土俵が崩壊していく。


「ゼルティア様ッ! ナサリー殿ッ! ただいま残りの予備戦力を率いて参上いたしました!」


 予備戦力2の将を任されたドッペルゲンガーのペルが、敵陣営の外側の1点を突き崩して戦場へと突入してきたのだ。


「なっ……第1陣の第2陣の突入からこんなにも早く……第3陣ッ!?」

「いや、これは第2陣だよ、ブン・オウ。私は言ったろう? 『兵を使う道を諦めてはいない』と」

「クッ……まさか、第2陣をあえて2つに分けていた……!?」

「そういうことだ」


 ブン・オウが築いた蛸壺型の防衛陣形、つまり【C】の字型のその陣形の内側から逃れるのは難しい。兵力を集中させて僅かに空けられている後方の1点から脱出しなければならないが、その際には手前と左右からの集中攻撃を受ける羽目になる。


「タケヒコたちの逃げ道を作る際、私とナサリーで陣形の入り口付近のゴショク兵を半壊にさせてきた。ゆえに、退路の確保は予備戦力の半分で充分だった」

「それで残しておいたもう半分でこの陣形の【弱点】を突いてきた、ってワケ!? あ、あり得ないわ……!」

「ふふん、どうだ。すごいだろう!」


 ……そう、ブン・オウが展開したこの蛸壺型の陣形にはとても脆い箇所がある。まあ、私が自慢げにすることではないのだがな。


 これは全てタケヒコの、ゼルティア軍が誇る軍師の策なのだから。

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