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第八話 訪問、冒険者ギルド


 エンリィとカレンが初めてのモンスターを倒したその足で俺はあるところへ向かう。


「ナオユキ先生。今からどこに行くんですか?」


「内緒だ」


「ひょっとして美味しい店?」


「ついて来ればわかる」


「ナオユキ先生の意地悪!」


 カレンが頬を膨らませていると俺は足を止めた。


「着いたぞ。ここだ」


「ここって冒険者ギルドじゃないですか」


「冒険者ギルドって勇者の御用達の場所なのでは?」


「二人は来るのは初めてか?」


「勿論です。来たことありません」


「なら好都合だ。行くぞ」


「あ、待って下さい。ナオユキ先生」


 カランカランと鈴の音色とともに建物の中へ入る。

 ここは飲み屋と合併しているため、酔っ払いが多数いる。


「わわわ、なんか怖そうな人ばかり。ナオユキ先生。こんなところ、私たちには不釣り合いですよ」


「安心しろ。エンリィ。俺がついている」


 二人が不安に感じるなか、一人の人物が俺に駆け寄る。


「おや、ナオユキさんじゃないですか」


 いつもの笑顔でイロハちゃんは俺に手を振る。


「よう! イロハちゃん。しばらくぶりだな」


「おや、今日は連れがいるんですね。もしかして生徒さんですか? 可愛い」


「あぁ、もんだ……優秀な生徒のエンリィとカレンだ」


「ナオユキ先生。今、問題児って言おうとしましたよね」


「私たち、問題児ですか?」


 俺はニヤリと笑って誤魔化した。


「エンリィちゃんとカレンちゃんか。うん。将来の勇者として見込みがあるよ」


「「本当ですか?」」


「何百人も勇者を見て来たからこの目は確かだよ」


「あ、あの! もしかしてナオユキ先生のか、か、彼女ですか?」


 何を血迷ったのか、カレンはイロハちゃんに思いもよらない質問を投げ掛けた。


「バカ。違うよ。すみません。生徒が勝手なことを」


「いえいえ、でもそうだったら良かったんだけどね」


「は?」


「冗談ですよ。それよりナオユキさん。今日はどういったご用件で?」


「あぁ、実はこいつらにモンスターを倒させたんだ。勇者登録していないけど、頼めるかな?」


「あぁ、そういうことですか。本来なら勇者登録が必要になりますが、今回はナオユキさんに免じて登録なしで構いませんよ」


「そうか。助かる」


「ナオユキ先生。どういうことですか?」


「エンリィ。カレン。お前らが倒したモンスターの一部を差し出すんだ」


「は、はい」


「これのこと?」


 エンリィとカレンは言われた通りにモンスターの一部を差し出す。


「はい。確かに。ウサポンとバルーンですね。では、討伐の報酬としてそれぞれ銀貨五枚を差し上げますね」


「え? お金貰えるの?」


「銀貨五枚? やった!」


 二人は受け取った銀貨を噛み締めて大喜びをする。

 その姿を横目に俺はイロハちゃんに耳打ちする。


「イロハちゃん。普通、あの程度のモンスターでは銀貨一枚か二枚が相場だと思うんだが、少しやりすぎじゃないか?」


「まぁ、確かにそうですが、初めて記念のサービスです。安心して下さい。サービス分はナオユキさんから差し引いておきますから」


「お前、そこはチャッカリしているな」


「これも可愛い生徒のためだと思って下さい」


「まぁ、これも背に腹は代えられないか」


 大人の話とは裏腹に二人の生徒は浮かれている。


「ナオユキ先生。私が自力で稼いだお金、何に使ったらいいですか?」


「カレンの好きなものを買えばいいさ」


「これでアイスでも買おう。エンリィは何を買うか決めた?」


「私は貯金かな」


「はぁ? 夢なさすぎでしょ」


「だ、だって使うのが勿体無いし」


「使わない方が勿体無い!」


 相変わらずこの二人の性格は正反対だ。それがイイ味を出しているのだが、たまに喧嘩になるんだよな。


「コラコラ。くだらないことで揉めない」


「ねぇ、ナオユキ先生は初めて自分で稼いだお金って何に使ったんですか?」


「覚えてないよ。そんなこと」


「えぇ、寂しい!」


 正確に何に使ったか覚えていないが、おそらく食べ物系に使ったに違いない。

 当時の俺はその日暮らしをしていたような奴だったから。

 そんなことを考えていた余所目に二人を見ると何か食べている。


「カレン。何を食べている?」


「アイス」


 冒険者ギルドにはアイスも販売している。

 稼いだお金をその場で使うスタイルか。まぁ、別にいいんだけど、手元にあった時間は限りなく短かったと思う。


「エンリィは貯金するんじゃなかったか?」


「そのつもりだったけど、カレンちゃんが食べている姿を見たら欲しくなっちゃって」


 お金の使い方は自由。美味しそうに食べるのも自由。それで十分だ。

 自分で働いて稼いだ金を使う。それを学べただけでも良しとしよう。


「なぁ、イロハちゃん。この二人の判定って出来るか?」


「はい。出来ますよ」


「判定って何ですか?」と、アホな顔をしながらカレンは聞く。


「まぁ、簡単に言えばお前たちがどの系統の勇者に向いているか調べてもらうわけだ。魔道士、闘士、弓使い、アサシンなどどれが向いているか」


「まぁ、必ずその職業にしなくてはならないってわけじゃないのよ。参考程度のもので占いみたいな感覚かな」と、イロハちゃんは説明を加える。


「はい、はい! 私からお願いします」


 名乗り出たのはカレンだ。こういうことは率先して立候補するのが彼女だ。


「では手のひらをこの石盤に置いて下さい」


 イロハちゃんは台の上に石盤を置いた。


「へーこんなんで系統が分かるんだ」


 信じていない様子のカレンだったが、素直に手のひらを石盤に置く。

 すると、石盤は光り輝き、空中に文字を浮かべた。


【あなたの系統は剣士です】


 結果は剣士。カレンの性格上、ピッタリの選定と言える。

「私、剣士か。やっぱり勇者といえば剣士でしょ!」

 自分の結果にカレンは満足そうである。


「次はエンリィちゃんね。同じように手を石盤に置いてみて」


「は、はい。お願いします」


「私の予想だとエンリィはヒーラーとかがお似合いかもね」


「カレンちゃん。酷い。私だって勇者属性はあるもん」


「まぁ、まぁ。結果はすぐに出るから」


 エンリィが手を置いた瞬間、警告音が鳴る。


 ビッビッビッ!


「こ、これは……」


 空中に浮かび出た文字は【エラー。判定不能】と表示された。


「判定不能?」


「おかしいわね。こんなことは今までなかったのに。どうして?」


 イロハちゃんは予想できない事態に首を傾げる。再度、同じように判定をおこなってみるが、やはり結果は同じ。判定は出来なかった。

 石盤の故障なのか、それともエンリィが原因なのか。それは判断できなかった。


ーー作者からの大切なお願いーー

「面白い!」

「続きが気になる!」

「早く次を更新希望!」


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