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第四話 没落、その後の旅路の果て① ※ダイガ視点


 俺、ダイガ・ブライナはとある勇者パーティーのリーダーを務めるベテラン勇者だ。

 三人の仲間、コースケ、ゴーリキ、アミカゼと共に日々、勇者として奮闘中である。


「ふぅ。ようやく俺たちもAランクに昇格したな」


「ですね。ここまでの道のりは長かったです」


「確かに時間は掛かりましたが、コツコツと努力を重ねた甲斐がありました」


 元祖メンバーであるコースケとゴーリキは苦労を分かち合えたが、新入りのアミカゼは浮かない顔をする。


「どうした。アミカゼ」


「いえ。別に。私が入ってから足を引っ張っていないかと心配になっただけです」


「何を言う。アミカゼが入ったことでうちの勇者パーティーは急成長したよ。むしろその存在には感謝しかないさ」


「リーダー……私、お役に立てているようで嬉しいです」


 メンバーの不安を取り払うのもリーダーの務めだ。


「そういえば、アミカゼが入って約三年。ナオユキは今頃何をしているんですかね」


 ふと、ゴーリキは思い出すように呟いた。

 その発言で場の雰囲気は少し重くなる。


「ナオユキか。そんな奴もいたな」


「リーダー。辛口ですね。仮にも一緒に冒険した仲だと言うのに」


「ふっ。あいつはいつか足を引っ張ると結成当初から感じていた。まぁ、結果的に追放して正解だった訳だ」


「そういえば、その後のナオユキですが、勇者アカデミアを設立したって聞いた気がします」とコースケは思い出すように呟く。


「勇者アカデミア? 何だ、それは。誰情報だよ」


「ほら、冒険者ギルドの受付嬢のイロハが言っていたんです。なんでも新人勇者のための施設で基礎を学んで勇者として駆り出すみたいです」


「ふーん。まぁ、あのナオユキの教えで卒業したとしてもたかが知れているだろう。その卒業生も災難だな。あんな器用貧乏の知識でしか勇者を学べないんだから」


「リーダー。酷い言いようですね。そんなにナオユキのこと嫌いなんですか?」


「別に嫌いとか好きとかではない。あんな尖った才能もない奴が勇者として名乗っていたのが恥ずかしいだけだ」


「それを嫌いというのでは?」


「どっちでもいいさ。それよりAランクになったんだ。早速、Aランク御用達のダンジョンに乗り込むぞ」


「はい。行きましょう」


 俺たちは最も危険と言われるダンジョンの近くに来ていた。

 今までランクが低いことから避けて来たが、今の俺たちは楽勝に攻略できるだろうと鷹を括っていた。

 いや、むしろ楽勝に攻略できなければ困るのだ。仮にも俺たちは勇者として何年も活動してきたんだ。少し難易度が上がった程度で攻略できないわけがない。


「よし。皆で協力して絶対に攻略しよう!」


 そんな時だ。俺たちが乗り込もうとしていたダンジョンの近くに四人組の若い少年少女が通って来たのだ。

 見た目からして勇者として未熟な顔立ちだ。まさかと思い、俺は思わず声をかけた。


「ちょい、ちょい、ちょい。君たち!」


「え? 何ですか?」


「何ですかじゃないよ! 君たちまさかあそこのダンジョンを攻略しようとしに来たわけ?」


 少年少女は互いの目を合わせながら「そうですけど」と当たり前のように言い放つ。


「いや、いや、いや。あそこがどういう場所か分かっている? Aランク勇者が攻略するようなダンジョンだよ? 君たちのランクは何? 見たところ新人でしょ? 勇者歴何年よ?」


「えっと、僕たちはFランク勇者です。勇者歴は二ヶ月ほどですけど」


「Fって最下層じゃん。見た目からしてそうだと思ったよ。明らかに素人丸出しだし、二ヶ月で乗り込むダンジョンじゃないから。勇者歴十年のベテラン勇者の俺から言わせてもらうと完全に舐めているよね? 君たち!」


「でも先輩。ダンジョンの攻略にランクは関係ありませんよね?」


 ああ言えばこう言う。生意気な新人で一番嫌いなタイプだ。

 こういう腑抜けにはしっかり言ってやらなければ俺の気が収まらない。


「だから今の君たちでは死にに行くようなものだから。少しは自分の命を大切にしろよ」


「ご親切にどうも。でも、僕たちはしっかりと勇者アカデミアを卒業しているので心配には及びませんよ」


「何? 勇者アカデミアだと?」


「はい。ナオユキ先生の教えを受けていますので」


「ナオユキだと? お前らナオユキの教え子なのか?」


「え? ナオユキ先生のことを知っているんですか?」


「あぁ、元々ナオユキは俺たちの勇者パーティーに所属していたからな」


「え? 本当ですか? おい! 皆! この人たち、ナオユキ先生の元仲間だって」


「あのナオユキ先生の元仲間?」


「すげー。ナオユキ先生の仲間に会えるなんて感激だ!」


 何だ。こいつら。

 何でナオユキをここまで讃えているんだ。意味が分からない。

 あいつ、生徒相手に嘘偽りでも教え込んだのか?


「あの、ナオユキ先生は当時から優秀だったんですか? 私、先生のこと尊敬しているんです」


「ナオユキ先生はどんな活躍をしていましたか?」


 新人勇者たちの質問攻めが続く。

 だが、俺はあいつに関しては答えたくなかった。と、言うより、忘れたかった。


「聞け! 新人勇者たちよ。悪いことは言わない。お前らにダンジョンはまだ早い。おとなしくその辺の下級モンスターでも倒していろ」


 喝を入れるように言い放つ俺だったが、ポカーンと新人勇者は呆然とする。


「うーん。なんかナオユキ先生のイメージと違う。この人たち、本当にナオユキ先生の元仲間?」


「確かに嘘っぽいよね」


「というよりむしろ弱そう?」


 ボソボソと新人勇者は陰口を言う。


 丸聞こえだ。バカにしやがって。先輩の言うことは絶対だ。それなのにこいつらと来たら教育がなっていない。さすが、ナオユキの教え子といったところだろうか。今すぐその生意気な態度を正してやりたい。


「リーダー。ちょっといいですか」


 耳元でコースケに声をかけられる。


「何だ?」


「ナオユキの教え子なのは確かかもしれません。だったらこいつらを利用しちゃいましょうよ」


「利用だと?」


「はい。先輩の凄さを見せてこいつらをまとめてパシリにしちゃいましょう。どうせナオユキの教えならこの新人たちは大したことないですよ。このダンジョンで少し痛い目に合わせれば僕たちの言うことを聞き入れますよ」


「なるほど。お前もいい考え方をしているな。なら早速、利用してやろう」


「はい」


 コースケと悪巧みをした俺は新人勇者に提案をする。


「君たち。ダンジョンは初めてだろ? ならここは先輩の背中を見せてやろう。見本をみるのもイイ経験になると思うんだ」


「ベテランの先輩方が見本を? いいんですか?」


「あぁ、勿論だとも。この目でしっかり焼き付けるといいぞ」


「ではお言葉に甘えて見させてもらいます。先輩」


 ククク。うまくいったな。

 後はダンジョンの中で怖い目に合わせて俺たちが助けることによって絶対服従の関係性に変わることだろう。

 俺は悪巧みをして新人勇者をダンジョンに引き込んだ。


ーー作者からの大切なお願いーー

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