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第二十話 行事、ボランティア活動

 

 俺は全ての生徒を連れ出して街に来ていた。

 生徒は皆、ゴミ袋とゴミ取りトングを手に班に分かれて街を周回する。

 そう、俺たちは生徒全員で街の清掃活動をしているのだ。


「ナオユキ先生。これは授業ですか?」とエンリィは疑問をぶつける。


「いや、全く授業とは一切関係ない」


「え? じゃ、何でこんなことをわざわざするんですか? 私たちが捨てたゴミでもないのに理不尽です」


「まぁ、そう思う気持ちも分からなくもないが、これにも意味がある」


「意味?」


「それは捉える人によって違う。まぁ、この活動を終えてから聞かせてくれ」


「またナオユキ先生はちゃんと教えてくれない」


 エンリィが頬を膨れる中、ルリディアはそっと近付く。


「きっと、ナオユキ先生はあえて考えさせているんだと思いますよ」


「考えさせる?」


「教えたらその場限りですけど、自分で考えればずっと身に付きます。それを考慮していると私は思います」


「じゃ、ルリディアはこの活動の意味は理解出来たの?」


「いや、私も正直あまり理解できていません。でもナオユキ先生は意味のないことはしない人です。だからきっとこの活動にも意味があると思います」


 ルリディアはこの活動の意味に気付き始めている。エンリィにもその感情は同調され始めているようだ。

 それに比べてカレンは言えば。


「ウオォォォォォ! ドンドン集めるぞ!」


 手際よくゴミを背中で背負っているカゴに入れる。

 他の生徒とはレベルが違うゴミ拾いをしている奴がいる。

 あんなカゴ、どこから持ってきたのだろうか。

 カレンは意味を理解しながら清掃活動をしているというより心から楽しんで活動している様子だった。


「カレン! 先に進まないでよ。私たち同じ班なんだから勝手な行動しないの」


「もう! エンリィとルリディア。遅いよ。それより見て。私の方が多い。勝った」


「いつから勝負しているんですか」


「じゃ、私の勝ち。エンリィの負けってことで」


「誰が負けですか」


 ムキになったエンリィはカレンに負けずとゴミ拾いに精を出す。


「ちょっと。二人で先に進まないで下さい。私も負けませんからね」


 見た目は大人でもルリディアはまだまだ子供っぽさを兼ね揃えていた。

 嫌々でやる生徒もいればカレンのように楽しんでやる生徒もいる。

 どちらかと言えばカレンのように楽しんでやってもらえれば俺としては嬉しく思う。




 約束の時間になったことでボランティアに参加した生徒は着々とゴミ袋いっぱいにして待ち合わせの広場に集まる。


「一つの街でここまでゴミが溢れているとは……。ある意味恐ろしい」


 生徒の点呼を取る中、数が足りていないことに気付く。

 エンリィ、カレン、ルリディアの班がいない。

 あいつら、どこまでゴミを拾いに行ったんだ?

 俺は集まった生徒たちを置いて三人を探しに街を探した。


「これだからあいつらは問題児なんだよな」


「あ、ナオユキ先生!」


 するとエンリィが走ってきた。

 良かった。まずは一人。


「エンリィ。どこまで行っていたんだ。他の二人は?」


「それが大変なんです。すぐに来て下さい」


 エンリィの慌てた様子を見て何かトラブルに巻き込まれたことを察した。


「カレン! ルリディア!」


 カレンはその場に倒れており、ルリディアは男に乱暴されている光景が俺の目に映った。


「お前ら! 何を……」


「動くな! こいつがどうなってもいいのか?」


 男はルリディアにナイフを向けた。人質か。

 男は八人。見たところ盗賊グループの連中だ。

 ルリディアを人質にとって優位に立っているつもりだろうが、俺の生徒に手を挙げたことが地獄を見ると教えてやる。


「ルリディア。そこから逃げられるか?」


「はい。私のせいで迷惑を掛けられません」


 ルリディアは軽い身のこなしで男の手をすり抜けた。


「よし! 後は任せろ」


 俺は火炎魔術を放った。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッと‼︎


 周辺にいた男たちは焼き払われる。


「まだまだ!」


 あらゆる属性の魔術を巧みにこなして敵を圧倒する。

 敵は最後の一人まで追い詰めた。


「た、頼む。見逃してくれ。魔が差しただけなんだ」


「魔が差しただけ? 俺の生徒を手に掛けた時点でお前は終わりだ」


「ま、待ってくれ。話を聞いて……」


 ザザザッ! と、男は俺の斬撃によって絶命した。


「清掃活動をしていたのにゴミを増やしてしまったな」


「ナ、ナオユキ先生。容赦ないですね」


「怖いか?」


「いえ。悪人がどうなろうと気にも止めません」


「まぁ、俺は生徒のためであればたとえ汚れ仕事になったとしても命懸けで守るつもりだ。すまなかったな。危険な目に遭わせてしまって」


「いえ、この程度の危険は昔と比べれば大したことありません」


「それもそうか。生きるか死ぬかの世界だったんだろ?」


「……えぇ」


 俺はルリディアの過去の経緯について詳しく知っているわけでもない。

 聞くことも本人から話すこともない。過去より現在が大事であると俺もルリディアも分かっている。だから言葉なんて必要ないと思っていた。


「そうだ。カレン! 大丈夫か? しっかりしろ」


 駆け付けてからピクリとも動いていない。まさか死……。


「あ、ナオユキ先生。カレンは……」


「寝ているな。ビックリさせやがって。何でこんな道のど真ん中で寝ているんだよ」


「実は意識を失うように寝てしまいまして」


「ん? ルリディア。カレンに変なことはなかったか?」


「変なことですか? そう言えば街の商人がゴミ拾いのお礼にって色々もらっていましたね。私も貰いましたけど、カレンは清掃活動の途中でつまみ食いしていました」


「それってどんなものだ?」


「ただの飴玉ですよ。ほら」と、ルリディアはポケットから取り出す。


「ちょっと見せてくれないか?」


「えぇ、構いませんけど。ナオユキ先生も食べますか?」


 俺は包み紙を開いて中身を確認する。


「これを食べたのはカレンだけか? ルリディアとエンリィは食べていないか?」


「えぇ、私もエンリィも後で食べようとポケットに入れていますよ。それが何か?」


「それ、絶対に口にするなよ」


「え? どういうことですか?」


「毒だよ。命に掛かるほどのものじゃないけど、大量に摂取すると危険なものだ」


「え? じゃ、カレンは?」


「この程度の毒なら俺の持っている解毒薬が役に立つだろう。こいつをカレンに飲ませればなんとかなるだろう」


 解毒薬を飲ませた直後、カレンは安心するように再び眠りについた。

 最悪の事態にならずに済んだが、この街にいるテロリストの存在が俺に不安を与えた。


ーー作者からの大切なお願いーー

「面白い!」

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