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第十五話 体験、カレン編


「ナオユキせんせー。今日はどんなところで職業体験するんですか?」


「ふふふ。着いてからのお楽しみだ」


「いつもそれじゃないですか。今、教えて下さい」


 カレンはもどかしい思いでいっぱいだった。

 そもそも勇者アカデミアを離れた地に赴くのが新鮮なこともあり、より不安が伴っているのだろう。


「今日は少し危ないから俺が付きっきりで見てやるから安心していいぞ」


「危ないってそんなやばいところですか?」


「まぁ、勇者だからな」


 満面の笑みを浮かべる俺に対して謎の恐怖心を与えたようでカレンは怯える。


「お、待ち合わせ時間ピッタリだな。おーい! お前ら」


 呼びかけた四人組は振り返ると笑顔になって近寄った。


「ナオユキ先生! お久しぶりです」


「おう。しばらくぶりだな。元気だったか」


「はい! おかげさまで」


「あ、あの。ナオユキ先生。この人たちは?」とカレンは首を傾げる。


「おっと、紹介するよ。こいつらは俺の元教え子たちだ。卒業生同士でパーティーを組んで勇者として活躍している。まぁ、カレンの先輩に当たるところだ」


「あ、カレン・ソルケットです。今日はお願いします」


「よろしく! 僕はエルリックです。そして仲間のケルビン、ミシェファ、アキナ。この四人で勇者パーティーをしていて皆、勇者アカデミアの卒業生だよ」


「えっと、リーダーはあなたですか?」


「いや、リーダーは特に決めていない。皆、平等の立ち位置だよ」


「え? 決めていないんですか? まとめ役なしで成り立つんですか?」


「意外と成り立つんだよ。困った時は皆の意見を共有すればいいから特に困ることもない」


「へー。そうなんだ」


「カレン。今日はこいつらと一緒に討伐依頼をクリアしてもらう」


「え? 私が参加してもいいんですか?」


「参加しなきゃ体験にならないだろ。大丈夫。何かあれば先輩たちや俺が見ているから助けてやる」


「は、はい。それでどんな依頼をするんですか?」


「森に出没した赤いドラゴン退治です。ランクはCです」


「Cって結構、高めの依頼では?」


「まぁな。でも、大丈夫だろ」


「何を根拠に大丈夫なんですか」


「カレン。レンタル用の聖剣だ。これで暴れてこい」


「うわ。前より少し重いような……」


「鉄を多く打ってある。筋トレしているからこれくらい余裕で振り回せるだろ?」


「まぁ、私に掛かればこれくらい余裕だし?」


 強がりを見せるカレンであるが、内心ビクビクしている。


「安心して下さい。メインは僕たちがやりますのでカレンは合図をしたら切り掛かってくれたらいいです」


 これほど周りからフォローされているんだ。怪我をすることなく安全に取り組むことができるだろう。

 だが、油断は禁物。少しのミスで大怪我をするので俺は注意深く生徒であるカレンを見張らなければならない。


「スキル! 鑑定!」


「ナオユキ先生。彼は何をやっているんですか?」


「ん? あぁ、あれは鑑定と言ってな。空中にモニターを出してあらゆる情報やステータスを表示するスキルさ。あれで自分や他人のスキルを判別できたり、周辺にいるモンスターや敵などがいればその情報が表示されるんだ」


「へーなんか過ごそう! スキル! 鑑定!」


「お前は正式に勇者にならないと使えないよ」


「わっ! 出た。私、レベル0だって。ショック。あ、でも攻撃力は五十五って書いてある。これって強いのかな?」


 何故、カレンが鑑定スキルを使えるんだ?

 冒険者ギルドに勇者登録をしたものが扱えるスキルのはず。

 まさかイロハちゃんが内緒で追加したのだろうか。


「カレン。そのスキルを無闇に使うな。今は知りたくもない情報を知って困ることだってある」


「はい」


 カレンは面白みがないと鑑定スキルをクローズさせた。


「皆、この先に例のドラゴンがいます」


 先輩勇者は異変を察知したようだ。


「カレン。引き締めていけよ」


「はい。皆の足は引っ張りませんよ」


 草むらを抜けた先に赤い皮膚に覆われたドラゴンが岩場の上で佇んでいた。

 寝ているのか、リラックスした状態だ。

 C級ランクといえ、その体長は五メートルを超える。


「で、でかい。あんなもの勝てないよ」


「大丈夫。僕たちに任せて下さい」


「どうしてそんな余裕なの? 怖くないんですか?」


「怖くないわけがない。でも、僕たちはこれ以上と大きいモンスターと戦ってきたんです。これくらい倒せないで勇者を語れません。皆! 行くぞ!」


「はい!」


 先輩勇者は四方を取り囲んで間合いを取る。

 ドラゴンはその存在にまだ気付いていない。


「今だ!」


 一人の号令で四人は弓矢を取り出し、一斉攻撃を放つ。

 的確にドラゴンの中でも皮膚が弱いところを集中で攻撃する。


「グオォォォォォォォォォォォォ‼︎」


 突然の痛みにドラゴンは苦しみだす。

 だが、次の攻撃が仕掛けられていた。

 既に先輩勇者はドラゴンの頭上にいる。

 そして、それぞれが手足を狙って剣を打ち付けた。


「カレン! 今のうちにドラゴンの首を!」


「え? もう出番?」


 戸惑いながらもカレンは聖剣を抜き、ドラゴンの首を目掛けて振った。

 ガキィィィィィンと狙いは少し外れた。

 それが原因か、ドラゴンはカレンに目掛けて火を吹こうとする。


「危ない。カレン」


 先輩勇者はドラゴンの身体を押さえつけているので精一杯だ。

 動くに動けない状況と言える。だが、ドラゴンの攻撃は止まらない。


「うっ……もうダメだ」


 スパーン! と、攻撃の寸前でドラゴンの首は切断した。

 俺はイイところ取りをしてしまったようだ。

 だが、生徒のピンチだ。黙って見ているわけにはいかない。


「ナオユキ先生?」


「よく頑張ったぞ。カレン。ナイスファイトだ」


「ありがとうございます。でも、私、皆の足を引っ張っちゃった」


「結果はそうだが、カレンは成長したよ。以前のお前は立ち向かうことすら躊躇していた。だが、今回は自分の意思で向かっていったじゃないか」


「ナオユキ先生。う、うわーん!」


 カレンは不安が溜まっていたこともあり、俺に大粒の涙を見せた。

 俺はそっと慰めるように頭を撫でた。


「今回の職業体験の功績は評価するものとする。よく頑張ったぞ。カレン。この調子で勇者への道を忘れるなよ」


「はい! 私、立派な勇者になれるように頑張ります!」


「そのイキだ。卒業まで見守ってやる」


 カレンの勇者への道はまだまだ続く。


ーー作者からの大切なお願いーー

「面白い!」

「続きが気になる!」

「早く次を更新希望!」


少しでも思ってくれた読者の皆様。

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