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第十四話 体験、それぞれの課題


 俺はエンリィ、カレン、ルリディアの三人を教室に集めた。


「さて、お前ら三人にはある課題を行なってもらう」


「また課題ですか? 課題、課題でもう疲れた。遊びたいよ」


 カレンは放棄するように机に突っ伏した。


「まぁ、そう言うな。これもお前たちを卒業させるために必要なことだ。それに今回の課題は選択制だ。自分の好きな課題を行なってもらう」


「好きなこと? どう言うことですか?」


「今回の課題は職業体験だ。自分の希望する職業に一定の期間を実際に体験する素晴らしい取り組みだ」


「それってつまり勇者の体験が出来るってことですか?」


「あぁ、そうだ。但し、契約している団体限定だけどな。実際にその場で活躍している人を間近で見ながらどのような仕事をしているか勉強するんだ」


「何、それ。楽しそう!」


 カレンは目を輝かせる。先程のつまらなそうな顔とのギャップが違いすぎる。


「私、剣士の職業体験をしたいです!」


「分かった、分かった。エンリィとルリディアは何を体験したい?」


「なんか、怖そうです。実際の現場って野蛮そう」


「何と言われましても何があるか分からないです」


 この二人は優柔不断だな。自分ではハッキリ決められないタイプである。


「エンリィはサポートタイプの勇者を体験したいって言っていなかった?」


「まぁ、率先して戦うよりサポートに徹した体験があるならそれがいいですね」


「あるぞ。なら、エンリィはその分野で体験してみるか?」


「は、はい。ならそれでお願いします」


 よし。エンリィとカレンは決まった。

 問題はルリディアだ。正直、どの分野が合っているのか俺もよく分かっていない。


「ルリディアは後で俺と一緒に来てくれ。エンリィとカレンの職業体験先は問い合わしてみるから決まり次第連絡する」


「「はい。お願いします」」


 そして俺はルリディアを連れて冒険者ギルドに足を運ぶことになる。




「邪魔するぜ」


「おや、ナオユキさんじゃないですか。それにまた可愛い子を連れて来ましたね。さては顔で選んでいますね?」


 入って早々、イロハちゃんは冗談交じりに言う。


「そんなんじゃない。最近入った俺の生徒だ。ほら、挨拶」


「は、はじめまして」


 ルリディアはすぐに俺の背中に隠れた。初対面の人間がどうも怖いらしい。


「はじめまして! 私はイロハです。お名前は何ですか?」


「………………」


「ルリディアだ」


「もう、ナオユキさんが答えたら意味がないじゃないですか」


「悪いな。こいつは少し人見知りなんだ」


「なるほど。そうでしたか。ん? よくみるとその子、亜人族ですか?」


「ヒッ」とルリディアは怯えるように引っ込む。


「実はそうなんだ。だから扱い方も少し特殊なんだ」


 するとイロハちゃんは本人に聞こえないように耳打ちをする。


「もしかして奴隷の子ですか?」


「よく分かったな」


「分かりますよ。態度や亜人族でピーンと来ますよ。それでどういう経緯でナオユキさんのところに来たんですか?」


「あぁ、実はだな……」と諸々の事情をコッソリとイロハちゃんに打ち明けた。


「そういうことですか。事情は大体分かりました。それで今後のことについて相談というわけですか?」


「まぁ、そんなところだ」


「私の業務は相談受付ではなく冒険者ギルドの受付なんですけどね」


「イロハちゃんなら聞いてくれると思って」


「まぁ、聞きますが。ナオユキさんのことだからそれだけじゃないのでは?」


「お察しの通り。実は職業体験を考えていてルリディアにできるかと思ってさ。あとついでにこの間、ここに連れてきたエンリィとカレンにも考えているんだ」


「なるほど。その手の相談ですか。またそういう面倒なことを私に頼むんですか? まぁ、いいですけど安くないですよ?」


「覚悟しておくよ。で、いくらだ」


「冗談ですよ。いつものように紹介口に連絡します」


「そうか。助かるよ」


「それでどのような体験口にするんですか?」


「エンリィはサポートタイプの勇者。カレンは戦士系の勇者を希望している」


「分かりました。サポートタイプの勇者というと盾とか狙撃手みたいな感じですかね。他には直接の関わりが少ないですが、交渉人(ネゴシエーター)転送士(テレポーター)など勇者をサポートする側のものもありますが、どうしますか?」


「どっちかっていうと直接勇者としての職業がありがたい」


「分かりました。ではそれで当たってみます。カレンちゃんはよくあるタイプなのですぐ紹介できるかと。それでルリディアちゃんは?」


「悪いがまだなんだ。俺もどこがいいか悩んでいるところで。本人にも自分がどうしたいか分からないらしいから」


「なるほど。では、判定してみますか? 系統が分かれば参考になるかと」


「あぁ、頼む。ルリディア。少し手を借りるぞ」


「は、はい」


 俺はルリディアの手のひらを例の石盤の上に重ねた。

 すると、石盤は光り輝き、判定結果を空中に浮かび上がらせた。


【判定結果:治癒(ヒール)系】


「おや?」


 判定の結果、ルリディアの才能は治癒系。つまりヒールが得意だと表したのだ。それに対してイロハちゃんは予想外の結果に首を傾げながら言う。


「治癒系ですか。確か、亜人族って戦闘民族が備わっているって聞いたことがありますが、真逆な結果になりましたね」


「確かに意外な結果だ。俺もどちらかと言えば戦闘タイプだと踏んでいた」


「あ、あの。私って変なんですか? 勇者になれないってことですか?」


 不測の事態を察したのか、ルリディアは不安の声を上げる。


「違うんだ。これはあくまでどの系統が合っているか判定してくれるだけだ。必ずしもそれとは限らないってことだ」


「うぅ……」


「ナオユキさん。いいことを思いつきました」


「何だ?」


「別に治癒系でも勇者にはなれます。ただ、得意系統に準じてここは体験してみるのもいいかもしれませんよ?」


「うーん。ルリディアはどう思う?」


「私はナオユキ先生の意見に従います」


「なら、試してみよう。これはあくまで職業体験。合うか合わないかはやってみて判断すればいい」


「そうですね。ルリディアちゃんもそれでいいですか?」


「はい。問題ないです」


「では、それに合った窓口に当たってみますのでしばらくお待ちください」


 イロハちゃんは電子モニターに打ち込んで検索を始める。


「おっ! いきなりヒットしました。ルリディアちゃんの体験先は王宮の護衛軍ですね」


「ほぉ。また凄いところと繋がっているんだな」


「あ、あの。王宮って?」


「国の一番偉いところの護衛だ。体験する分には十分過ぎる場所だ」


「私に務まりますでしょうか」


「まぁ、まずはやってみる。それが勇者になるための一番の近道だよ」


「分かりました」


 ものは試し。ルリディアをはじめとしてエンリィ、カレン共に職業体験先はすぐに決まり、新しい取り組みが始まろうとしていた。



ーー作者からの大切なお願いーー

「面白い!」

「続きが気になる!」

「早く次を更新希望!」


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