新たな旅の始まり
島を出てから一週間がたった。無事に近くの島に着くことができそこで空と不知火さんには物資の補給をしてもらい俺と祭で船の整備をしていた。次の島に向けての出発の準備をしていながら少し考え事をしていた。すると祭に声をかけられた。
「どうした、ひじり今後についての考え事か?」
「いやそれもあるんだが……島に残してきた両親のことが少し…気になってな」
島を出ることを最優先に考えてたから自分のことで手一杯になっていたが少し余裕が出てきたことで両親のことが気になっていた。
「今頃母さんと父さんはどうしてるのかなって、島は出たかったけどそのせいで両親に迷惑をかけたなって思ってさ」
「まぁ確かに島のことは嫌いでも両親のことはここまで育ててくれたことに感謝してるからな。それを仇で返してたのは不本意だよな……後悔してるのか?」
「……いや、両親には親孝行の一つもできなかったけど後悔してはないよ。自分の意思で島を出るって決めたんだから自分で決めたことで後悔はしないよ。……暗い話は切り上げてさっさと船整備を終わらせようぜ」
「おう」
自分で選んだ道だ、後悔なんてしてられない。両親のことが気にならないと言ったら嘘になるけど後悔してたらそれこそ両親に申し訳ないからな………
「……なぁひじりもし悩んだり後悔してたら一人で抱え込んでないでいつでも俺に相談しろよ。俺はお前の親友なんだからな」
祭は俺がまだ悩んでると思い心配してくれた。
両親のことは確かにまだ気がかりだけど俺には相談にのってくれる親友がいるから大丈夫だ。
「ありがとうな祭。また悩んだりしたら頼らせてもらうよ」
「おう」
そして話を終え黙々と船の整備を再開した。島を出るときに潮の流れに無理やり逆らったり爆風で船を押したりしたことで船の至るところが傷だらけになっている。直すのにはまだ大分かかるだろうがなんとか直りそうで助かった。祭と二人でエンジン回りや船の外壁を直していると空と不知火さんが戻ってきた。
「ただいま、ひじりくん」
「おかえり、空」
「買い出しとかもろもろ終わったよー」
「ありがとう助かったよ、不知火さん」
「ひじりに言われた物の買いだしと聞き込みもしてきたよ」
空と不知火さんには船を直すためのパーツや食料などの買い出しと次の島までの距離を聞き込みを頼んでいた。
「どうだった?この近くの島までどれぐらいかかりそうだった」
「近くの島だと4日ぐらいはかかるって言ってたよ」
「やはりそれぐらいかかるか」
「まぁ仕方ないだろ、とりあえず万全に整えて次の島を目指そうぜ」
「あぁそうだな、船の修理もあと5日ぐらいで終わりそうだから一週間後ぐらいには出れるように整えよう」
そう言い祭と船の修理を暗くなるギリギリまで作業を進めた。暗くなってきたため作業を中断し皆で船の中に入り空と不知火さんが用意してくれた晩御飯を食べながら明日の日程について話をした。
「明日についてなんだがここについてからずっと船の修理や買い出しとか聞き込みとかで島を出るときからずっと張り詰めた日が続いたらから休息を取るってことで明日は一日各々好きに休んで欲しいと思ってるんだがどうかな?」
「そうだな、確かにずっと慌ただしかった日が続いてたし休息を取るのはいいと思うぞ」
「私も賛成かな。みんなでここまで来るの大変だったし」
「私もひじりくんがここまで来るのに結構無理して疲れてそうだったからここら辺で休息を挟んだ方がいいと思う」
皆が休息を取ることに問題はないと言ってくれた。
「なら明日はみんな好きなように休んでくれ」
そう言いうと皆晩御飯を食べながら明日何をするか予定を話あっていた。祭と不知火さんは二人で島の町を見に行こうと話し合っていた。空さんは明日の何をするかを考えていた。俺は明日一日何をするか…………ここ最近結構忙しくてあまり寝てないから昼ぐらいまで寝てようかな。睡眠は大事だからな、それからは明日考えよう。そう考えていると先に食事を終えた祭と不知火さんが食器を片付け二人で明日の予定を話ながら部屋に戻っていった。それに続くように食事を終え食器を片付けようとすると空に声をかけられた。
「ひじりくんは明日何かをするの?」
「俺はここ最近忙しくてあまり眠れてないから明日は午前中はずっと寝てようかなって考えてるけど空は?」
「…そっか……島をでてからずっと大変だったもんね。ゆっくりやすんでね。私も…明日は適当に休んでるよ」
空は笑顔でそういったが少し残念そうな表情をしたように感じた。それが気になってどうしたんだ?と聞こうとした時に
「私…今日の聞き込みとかで疲れたから先に行くね……」
空は自分の食器を片付けて部屋に戻ってしまった。空のあの表情が気になったが聞きそびれてしまったため俺も自分の食器を片付けて部屋に戻った。
翌日、午前中は寝ている予定だったのだがお腹が空き9時頃に目を覚ました。なにか食べようと思い船の中にある簡易キッチンのある方へ向かっているといい匂いがしてきた。匂いを嗅ぎながらキッチンに入るとそこにはエプロンをして鍋をかき混ぜてる空がいた。
「あ、起きたんだ、おはようひじりくん。今朝御飯作ってるから少し待っててくれる?」
空がこちらに気づき声をかけてきた。
「あぁおはよう 、朝御飯作ってくれていたのかありがとう。そういえば祭と不知火さんの姿が見えないけどもう町を見に行ったのか?」
ここに来る途中に祭と不知火さんの部屋の前を通ったが二人ともいる気配がなかったので聞いてみた。
「二人とも朝から出かけてくるって8時ぐらいに町の方に行ったよ。帰りは遅くなるって言ってたから夜まで戻ってこないと思うよ」
なるほど二人でデートに行ったのか。上手く休日を過ごしてくれそうだな。俺は今日の休日をどうやって過ごすかなぁ……とりあえず今は空の手伝いをするか。
「今手持ち無沙汰だし料理手伝うよ」
「ううん、大丈夫だよ。もうすぐできるから座って待っててくれる」
空は会話をしながら手際よく料理を作っていき皿に料理を盛り付けてテーブルに並べてくれた。朝御飯の内容はごはんに味噌汁と玉子焼きと魚の切り身を焼いたものだった。とてもいい匂いですごく美味しそうなものだ。
「作ってるタイミングでひじりくんが起きてくれてよかったよ。午前中は寝てるって言ってたから起こすか迷ってたんだけどごはんを温かいうちに食べて欲しかったからちょうど良かったよ。一緒に食べようよ」
「ああ、食べよう」
いただきますと言って空と二人で朝御飯を食べた。空の作ってくれた朝御飯はどれも美味しかった。
「とっても美味しいよ。空って料理上手なんだな」
「得意ってわけではないけど家で巫女の練習とかと一緒に花嫁修行とかもしてたから料理とかは普通にできるぐらいだよ」
空は普通と謙遜しているがどれも本当に美味しいと思った。作ってもらった朝御飯を全部食べ終え空と一緒に食器を片付けて二人でソファーに座りこの後をどうするか話し合っていた。
「空はこの後どうするんだ?」
「うーんどうしようかなぁ、ひじりくんはどうするの?」
「質問を質問で返されてしまったな…そうだなぁ…………」
と考えていると昨日晩御飯の後に空と話をしていたときに表情が曇ったことを思いだした。あの時は聞くタイミングを逃したが今よくよく考えると空は一緒に休日を過ごしたかったんじゃないんだろうか。島を出て恋人になってから恋人らしいことをなにもできていなかったし時間がなかった。昨日は疲れや眠気があったから寝るかな、なんて言ったけどそれが原因で空は表情が雲ったのではないのだろうか。その事を確かめるために聞いた。
「そういえば昨日、明日なにするの?って聞かれたときに寝てるかなって言った時少し残念そうな表情をした気がするんだけど空はもしかして俺と今日何か一緒にしたかったのか?違ったらものすごく恥ずかしいんだが………」
顔が恥ずかしさですごく赤面になったが気になったので聞いてみた。
「………うん、そうだよ…休日はひじりくんと一緒に過ごせたらいいなと思ったんだけど……ひじりくん、島を出てるときかるすごく頑張ってたし無茶をしてたのを知ってたから…私のわがままよりひじりくんのことを優先して欲しくて……」
やっぱりそうだったのか、空にすごく悪いことをしてしまったな……空は優しいから自分の気持ちをより俺のことを考えて優先してくれたんだな。
「本当にごめん、気づけなくて……ゆっくり寝て美味しい朝御飯も食べて体力も回復したし今からでも一緒に何かしよう」
「……いいの?」
「気にしなくても大丈夫だよ。付き合ってからなにもできてなかってし俺も今日は空と一緒にいたいから」
「…ありがとう」
大分恥ずかしいことを言っている気がするが空の気持ちを確かめられてよかった。俺も空の彼氏としてしっかりしないといけないな。けど今まで彼女がいなかったからこういう時にどうしていいかわからないな。
「空はこの後一緒になにかしたいことはある?」
悩んでも分からないので空に直接聞いてみた。
「…私ねひじりくんさえよければ一緒に町まで行きたいかな」
「全然問題ないよ。ここに着いてから買い物とか全部空や不知火さんに任せっきりで町に行けてなかったし行こう」
お互い町に出掛けるために一度着替えに部屋に戻り船の降りた所で待ち合わせをした。先に着替え終わって待っていたいると少し遅れて空も船を降りてきた。
「ごめん待った?服選ぶのに時間かかちゃって…どうかな?」
空の服装は麦わら帽子にワンピースを着ていてシンプルでとっても似合っていて可愛くてつい見惚れていた。
「…大丈夫だよ、俺も今来たところだから。服とっても似合ってるよ、じゃあ町に行こうか」
「うん」
二人で話をしながら町に向かって歩いていく。
町に着くとお洒落な服や装飾品を扱っているお店、活気に溢れている屋台など見たことのないお店などがたくさん並んでいた。
「すごいな、初めて来たけど俺たちの島とは大分違うな」
住む場所が違うだけで結構変わるものだな。俺たちの島なんて町に行っても定食屋とか地味な服屋とかばっかで娯楽も少なかったがここには色んな物がある。
「すごいよね、私も始めてここに来たときに驚いたよ」
「空や不知火さんから島の話は聞いてはいたけど自分の目で見るとよりすごさがわかるな。これだけすごいとどこから見て回るか……」
色んな店が集合していてどこから見るかが全く決められそうにない。空との初めてのデートだしリードしたいが町に来たのは初めてだしデートも初めてだしどこに行ったりすればいいのかがまったく分からない。どうしよう……悩んでいると近くの店で祭と不知火さんがアクセサリーを見ているのを見つけた。するとこちらの視線に気づいたのか祭がこちらに振り向き不知火さんと一緒にこっちに来た。
「ひじり達もこっちに来たのか」
「まぁな、まだ町を見てなかったからな。今始めて来たけど色んなところがあってどこから行けばいいか迷ってたんだよな。どこかいい場所あったか?」
「うーんそうだな、ここから少し行った所に変わった店があったな。ひじりが好きそうなのが売ってからそこ行ってみたらどうだ?」
なるほど俺の好きな所か……
興味はあるけどそれに空を付き合わせるの悪い気がするしなぁ……
「迷ってるのかひじり?そんな深く考えずお互いが好きな所を行って見たりしてくればいいと思うぞ。下手に遠慮しあうよりお互いが行きたい所を交互に行くなりすればお互いのことをより理解できると思うし。まぁ正解なんてないと思うからひじりがやりたいようにやれよ。じゃあ頑張れよ」
祭は俺に色々とアドバイスをしてくれた。俺が困っているときはいつも助けてくれる。さすが昔からの大親友だ。祭にはここ最近本当に助けられっぱなしだ。
「おう!色々とありがとうな。教えてもらった店行ってみるよ」
「おう楽しんでこい、じゃあな」
こうして祭達と別れ空と一緒に教えてもらった場所に向かった。
言われた場所に着くとそこには花火屋という店があった。花火屋か始めて見るな、どんな店なんだろう……店の中に入ると手に持てる小さい物から大きな物や色とりどりなものがあったりと見慣れない物ばかりが並べられて置いてあった。
「これが花火というものなのかな?」
「見慣れない物が多いね」
見慣れない形の物ばかりを見ながら空と会話してると
「いらっしゃい、お客さん花火は初めて見るかね」
店の奥からお爺さんが出てきた。
「始めて見ますね、これが花火って物なんですか?」
並べてあった物を手に取り聞いてみた。
「そうだ。このあたりの島では有名なものだ。見たことないということは旅人か?」
「そうですね、旅を始めたばかりなのもので」
「そうかそうか、なら花火を知らないのも無理はないな。花火というのは火薬と金属の粉末をこの筒や玉の中に入れてそれに火をつけて火花の色を見たり音を聴いたりして楽のしんだりする物だ。」
「すごそうですね」
俺は火薬を使って簡単な爆弾とかは作れるが花火も同じ火薬から作るとはいえ作るのがかなり大変そうだな。花火か…すごく興味がわいてきたな、是非とも見て見てみたい。横で空も同じようにすごく興味を示していた。
「興味がありそうだな。商品としてはだせない試作品の手持ち花火があるから花火がどんなものか見せてやろう」
店主のお爺さんが気をきかせて店の奥から試作品の手持ち花火を持ち出し外に出て花火に火を着けて実際にどんなものかを見せてくれた。細い棒の先に長い紙の筒が着いていてその先に火を着けると先端から火花が勢いよく出てその火花が色んな色に変化していた。
「どうだ、色んな色の火花がでたりしてきれいだろ」
「はい、火花がこんな風にでるなんてきれいで感動しますね」
「とってもきれいだね。こんなきれいな物初めて見たよ」
花火を実際に見てみて凄いと思った。火薬と金属の粉末が入っていると言っていたがこんな風に火花がでてくるは思ってもいなかったし色が変化するのは見ていてすごく綺麗だった。自分の知らないものを知れてもっと色んな物も見てみたいと思った。
「そんなに気に入ったのなら5日後にここら辺一帯で大きな祭りをやるんだがその時に盛大な打ち上げ花火をやるんだ。さっきの手持ち花火とは比べ物にならないでっかい玉を空に打ち上げて夜空に火の花を咲かせるんだ。それを大量に打ち上げ予定なんだがまだ滞在しているならそれを見ていくといい。」
手持ち花火でもこんなにきれいだったのに打ち上げ花火か……是非とも見てみたいな。船の修理も順調だし島を出る最後の夜に打ち上げるならみんなで見に行けるな。
「是非見させてもらいます。今日は良い物を見させてくださりありがとうございます」
「今日見させてもらった花火とてもきれいでした。5日後の花火楽しみにしてますね」
そう言い5日後の花火楽しみに花火屋を後にし空と一緒に他の店も見て回った。色んなお店を見て回ったり買い食いをしたりと楽しんでいるといつの間にか夕方になっていた。
「もう夕方か、早いな」
「そうだね、楽しいことをしてる時間って早く過ぎるよね」
「ああそうだな、今日はすごく楽しかったな。暗くなるまえに船に戻るか?」
「うん」
今日は町に来てよかったと思った。今日見たものなどの会話をしながら帰ってる空と花火のことで盛り上がっていた。
「今日の花火ほんとすごかったよね。あんなきれいなの初めて見たよ。手持ち花火であんなにきれいなら打ち上げ花火はどんな感じなのかな」
「空に打ち上げて爆発させるんだから結構な迫力とすごさはあるだろうな。火薬も相当使ってそうだったし」
「ああいう物作るのって大変なんだろうね……そういえばひじりくんも火薬を使ったもの使ってたよね」
火薬を使ったもの………あぁ島を脱出する時に使った爆弾のことか、花火とは作り方が違うが確かに火薬を使うな。
「ああ、お手製の爆弾を使ったね。花火とは作り方が大分違うものだが」
「あの爆弾始めてみて驚いたんだよね。どうして火薬を使った爆弾なんて作れるの?ひじりくんの家業って漁師だよね。ひじりくんも漁師の仕事とかしてるのは知ってるけど爆弾の作り方ってどこで覚えたの?」
空は漁師の俺がなぜ火薬の使い方を知ってるのか疑問に思って聞いてきた。確かに俺の家業は代々漁師を生業としてやってきている。そんな俺が爆弾を作れるのは確かに驚きだろうな。
「少し長話になるけどいいかな」
「うん、大丈夫だよ」
「俺の家が漁師をやり始めた頃の昔の話なんだが魚を取る時にダイナマイト漁っていうのをやっていたらしいんだ」
「ダイナマイト漁?」
「簡単に説明すると水中に爆弾を落として爆発させてその衝撃で死んだり気絶した魚が浮かんでくるからそれを取る漁なんだが」
「物騒だね、そんなことをして魚を取っても大丈夫なの?」
「いやよくないよ、最初の頃は魚はたくさん取れてたけど爆弾のせいで生態系は壊れて取れる量はだんだん減っていき海に大きな影響を与えるって問題が分かってきてそのやり方はすぐにやらなくなったんだ。その変わりに網を使ったやり方や釣りなどに今やってるやり方を変えてきたんだ。」
話してて思うが魚を取るのに爆弾を使うって昔の人の発想はなかなかやばいよな。まぁ俺も島を出るために爆弾を使ってたから人のことは言えないが………
「そうなんだね。けどそこからどうやったらひじりくんが爆弾作れるのに繋がるの?」
「昔のことだけど一応その当時の資料とかがちゃんと残っててそこにダイナマイト漁で使ってた爆弾の作り方がのってて興味が引かれたからそれで何回か試作品作ってるうちに覚えたかな…」
我ながら言っててなかなか危ない奴なのではと思ってきた。
「なるほどね、それで作れるんだ」
「あんまり自慢できることではないけどね………」
空に引かれるのではとは思ったが引かれてなくてよかった………とりあえず話題を変えよう。
「そういえば空は料理とかっていくつぐらいの時からやってたんだ?朝の料理の時にも言ったけどすごい上手だったけど」
「料理は小学生くらいの頃にはお母さんに仕込まれてたかな。最初は大変だったけど慣れてくると結構楽しいよ。ひじりくんは料理あんまりしないの?」
「得意ではないけど作れる料理なら魚料理とかかな。家の仕事のせいで魚に触ることが多くて料理する機会が多かったから。自分で食べるようでしか作ってなかったから味に自信はないけど………」
「今度機会があったら食べさせてよ」
「いいけどあんまり期待しないでくれよ」
最近あんまり料理を作ってなかったから空に作るまでに練習しとかないと……
その後も空と小さな頃の話や得意なことなど色々なことを話しながら船に戻った。
船に戻り空と一緒に晩御飯を用意しているとちょうど祭と不知火さんも帰ってきた。
「ただいま」
「ただいま、ごめんね空に晩御飯全部まかせちゃって」
「おかえり。いいよ、気にしないで」
「おかえり」
二人もちょうど晩御飯の時間に揃ったてのでみんなでご飯を食べそれぞれ話し合いをしながら今日の一日を終えた
次の日になり祭と再び船の修理を再開し順調に作業が進んで行った。一日休憩を挟んだお陰で作業効率が上がり一日一日と進む事に修理に終わりが見えてきて無事に祭の前日の夜には修理を終えることになった。
「なんとか終わったな」
「あぁ作業が順調に進んだお陰で無事終わった。ほんとに祭のお陰で修理が助かったよ。俺一人だともっと時間が掛かってただろうからさすがだな。祭の技術はほんとどんなときでも役にたつよな」
「まぁな、家業の便利屋のせいで草むしりから機械の修理ありとあらゆる事をやれるように幼少期から叩き込まれてるからな」
祭は家業でずっとなんでも出来るように毎日いろんな技術を仕込まれていたからよほど専門的なこと以外ならこなせるからさすがとしか言いようがない。島に居た頃にも一緒に船の修理など手伝ってもらってたな。
「祭ってほんと何でもできるけど不得意なこととかないのか?祭が苦手なところとか見たことないけど」
昔から一緒にいたけど一度も何かに苦戦しているところは一度も見たこない。何でもそつなくこなしてしまう感じだった。
「不得意なことか………あんまり意識したことないなぁ。親からできないことでもとりあえずやってみてそこから学んでいけって言われてたし。難しく考えるより体でやって覚えていくから不得意なことって考えたことないな。そもそも家が便利屋だから何でもできるようにならないと思ってたからなぁ」
便利屋だからと言ってそんな万能な人間になれるのものか?祭のスペックが異常に高いだけな気がするが………まぁだが、祭が一緒に来てくれたお陰で旅の様々な問題が解決しやすいから本当に助かる。
「本当に祭が一緒に来てくれて助かるよ。島を出る時から今の今まで祭に助けられてばっかだな」
「そうか?親友として力を貸してるだけだぜ。それに俺もひじりに助けられてるからおあいこだよ」
「祭を俺が?…助けたことなんてあったけ?」
祭はよく俺の無茶に付き合ってくれるし困ったときは助けてくれるけど逆に俺が祭を助けてることなんてあるか?
「色々助けられてるぜ」
「そうか?」
「そうだよ、小さいことや大きいこと関係なく助けられてるよ。特にひじりと初めて出会った時なんかはすごく助けられたな。ひじりは初めての時の出会いのことを覚えているか?」
祭と初めて出会った時のことか。俺が中学生になった頃だったよな確か………祭が両親と一緒に便利屋の仕事で俺の家に来てたんだよな。漁業関連の事で人が足りてなくて確か仕事の手伝いを依頼してたんだよな。その時に祭と初めて知り合ったが気づいた時には仲良くなってたからな……なにか祭を助けるようなことしたかが記憶にないな………
「出会った時の事は覚えてるけど気がついたら仲良くなってたような?助けるようなことあったか?」
「ひじりは助けてるつもりはなかったのかも知れないが俺はあの時にすごく助けられたんだぜ」
「何かしたか?」
あの時祭助けるようなことなんてしたかなんて全く覚えてないな。あの時にはもう島を出ることを考えてたから仕事しながらその準備をしてたのは覚えてるんだが………………
「ひじり的にはあの時はただ普通な話をしているつもりだったんだろうがその話で元気をもらったんだよ」
確かに祭とはあの時今と同じように船の修理作業していとその時にいろいろと話をしてたような気がするけどなんの話をしてたのか覚えてないな………
「そんな元気のでる話なんてしたか?」
「俺はその話を聞いて元気が出たんだよ。あの時は家の仕事継ぐためにって言われて親に色んな技術を叩き込まれててだるかったからな」
いつも明るい祭が悩んでたなんて全然気づかなかったな………まぁあの時は俺も島をでることで頭が一杯で自分以外のことなんてあんまり気にしてなかったしな。あの時どんな話をしたんだっけ……………手のひらを顔に当てながら考えた。そしてゆっくりと思い出していく………
そう…確かあの時………台風などの影響で船の修理や壊れた道具の修理が忙しくて人が足りないから親父が確か手伝いを呼んでくるって言ってそれで祭と出会ったんだ。船の修理を親たちに任せて俺は確か祭と一緒に漁業で使う道具の修理をしていたんだ。二人で作業をやり始めて最低限の会話しかしてない状態で作業していたがせっかく一緒に作業してるのに会話がないのもあれかなと思って確か話かけたんだ。
「祭って手先器用だな。道具の修理の速度も早いし丁寧だしすごいな」
「別にそんなことはないぜ、家の仕事で慣れているだけだ」
大したことないように言うが家の仕事で慣れているレベルで作業の速度は本職の俺よりちょっと遅いぐらいでそこまでできるのならすごいのではと思いさらに話かけた。
「祭ってやっぱ家が便利屋ですから色々と出きることが多いのか?」
「まぁ便利屋だからいろんな事ができないと怒られるから出きるようにしてるかな。まぁまだ全然出きないことの方が多いから毎日色々と勉強して出きることを増やしてはいるけど」
便利屋って頼ればなんでも色々してくれるすごい人とかしか思ってなかったけどこの島では便利屋と言ったら本当になんでも頼めばやってくれているが実際になんでも出きるってことはすごい知識や経験などがないとできないと思う。そう考えると俺と同じ歳なのに俺とは違って頑張ってると思った。
「すごいな、俺にはとても真似できない」
「すごいかぁ………俺はただ親の言われた事を必死にやってるだけだから毎日すごくだるいよ。ひじりはどうなんだ?」
「俺は別に船乗って魚とってきて船や道具の様子を見てって感じだからなぁ………それなりかな」
俺の仕事は慣れれば特にはって感じだけど祭の仕事は俺のと比べ物にならないくらい大変なのが伝わってきて便利屋の仕事が嫌なのだろうと思った。
「俺もいろんな事やるよりなにかひとつをやり抜く仕事が良かったなぁ………結局便利屋なんてただ覚えることが無限にあって専門的なことは分からないし器用貧乏みたいで嫌なんだよな………」
祭は目的もあるわけでもなくただ親の言われたことをやってるだけの毎日で今の仕事に意味を持ってないんだろう………だからいま思ってることを伝えた。
「器用貧乏か、本当にそうか?祭のやってることは確かに補助的なことが多いかもしれないけど誰もがそれをできるわけじゃないし祭のお陰で助かる人はいるわけだし現に俺だって助かってるし祭のその仕事は祭にしかできない貴重な仕事で俺はかっこいいと思うけどな」
思ったことを伝えたが果たして祭がどう受けとるか…………
「………………そう思ってもらえるって思うとやりがいのある仕事だな」
祭はひじりの言ったことで自分の仕事のやりがいを見つけた。それからお互いに色々と話をし意気投合して仲良くなっていた。
出会いの頃を思い出したがやはりなにか特別なことをした気はしない。
「思い出してみたが助けるようなことしたか?」
なにをして祭を助けるようなことをしたか全然分からない。別に特別なことは言ってないし思ったことを言ったぐらいだからなぁ………
「まぁ分からなくてもひじりがそのままでいてくれれば問題ないぜ」
「そうか?」
「そうだよ、さて作業も終わったし早く飯食って明日の準備しようぜ」
結局なにを助けたのかはわからないが道具を片付け祭と一緒に船のなかに戻り空や不知火さんたちと一緒に晩御飯を食べ明日の夜みんなで花火を見に行く話をししばらく色々と話をしてからみんな部屋に戻り眠りについた。
そして花火打ち上げ祭りの当日になった。みんなで花火が見える会場に向かい会場の回りに出ているたくさんの屋台など見て食べ物を買ったり屋台のゲームで遊んだりして花火が打ち上がるまでの時間を楽しんでいた。そして日が落ち辺りが暗くなっていくと島全体にアナウンスが流れた。
「ただいまより島名物の打ち上げ花火開始十分前をお知らせします。打ち上げ花火をみられる方は島の会場におこしください。」
そのアナウンスが流れた後、人が一気に会場である砂浜に集まりそして十分の時間がたち
「ただいまより打ち上げ花火を開始します。」
その宣言と同時にいきよいよく空に何発もの花火が打ち上げられた。打ち上げられた花火はひゅ~と空まで飛びそしてドーン!と大きな音を出し夜空に大きな火の花を咲かせキラキラと光輝きそして消えていきまた新たな打ち上げ花火があがり夜空に綺麗な火の花を咲かす。
「これはすごいな、手持ち花火でもすごかったが打ち上げ花火手持ち花火よりも迫力も華やかさも段違いだな………」
「すごいよね、想像してものよりもすごく綺麗…」
俺と空はお互いに打ち上げ花火の凄さに見入っていた。
「すごいな、夜空にこんなでっかいたまを打ち上げて花を咲かすなんて」
「とっても綺麗だね」
少し離れたところで祭と不知火さんも手を繋ぎながら花火に見入っていた。
夜空にたくさんの花火が打ち上げられ光っては消えていきまた光って消えていくそれを終わるまでじっくりと見ていた。打ち上げ花火は一時間ぐらい続いた。そしての打ち上げ花火の締めとして最後に今まで打ち上げたのよりも一番大きい花火を打ち上げ夜空に綺麗な花を咲かせていた。その花火が消えるとアナウンスが流れた。
「これで打ち上げ花火は終わりです。皆様気を付けてお帰りください。」
「すごかったな………さて俺らも帰るか」
「あぁそうだな」
打ち上げ花火の満喫し皆で船に帰った。船に戻ってからは花火の事で話が盛り上がっている。自分達の島にいたら知らずに見ることもなかった花火を船を修理するためにたまたまこの島にきて見ることができた。とてもいい旅の始まりだと思う。島を出ることに集中していて島を出た後のことはどうしようかと思っていたがどうするか決まった気がする。それを伝えるために皆に話しかけた。
「なぁ皆船の修理は無事に終わって明日の朝には当初の予定通りこの島を出ようと思う」
「うん」
「わかったわ」
「出るのはいいんだが次はどうするんだ。この島には船の修理でよったがこの後の予定はなにも決めてなかったけど?」
空と不知火さん祭も出るのに納得してそれからどうするかと聞いてきた。後のことは何一つ話し合ってなかったので今自分の考えてることを伝えた。
「島を出た後なんだがどうしようかと考えていたんだがみんな花火を見てすごく感動したと思うんだ。俺達は自分達の島から外に出たことが今までなかったからまだ知らないものがたくさんあると思う。だからいろんな所によっていろんな場所見て知らないもの見て回るような旅をしたいと思ってるんだがどうだ?」
今回の事で感じ思ったことを皆に伝えた。
「いいんじゃないか、今回みたいな見たことないすごいものが見る旅なんて面白そうだぜ!」
祭はすごく賛成してくれた。
「私も賛成ね。旅は面白くなくちゃ」
不知火さんも賛成してくれた。
「私も皆と一緒にもっといろんなもの見てみたい」
空も賛成してくれて今後の方針が決まった。
「なら明日の朝にここから近い次の島に向かって出発しようと思う。今日はこの島最後の夜だから各々ゆっくり休んで明日から俺達の旅の続きをしよう」
「おう、わかったぜ」
「うん」
「わかったよ」
今後の行動の話を終え各々やりたいことをし自分の部屋にいきこの島最後の夜を過ごした。
そしてついに島を出る当日になった。朝日が部屋に入り目を覚ました。頭がぼーっとしていたので外の空気を吸おうと甲板に向かうと空がいた。
「おはよう、空」
「おはよう、ひじりくん。いよいよこの島を出るんだね」
「あぁ、この島にきて船修理をするために寄って一週間たったが長いようで短かったな」
「そうだね」
お互いにこの島でのことを思い出していた。この島ではなかなか充実した一週間を過ごせたと思う。そんなことを考えていると甲板に祭と不知火さんが上がってきた。
「おはよう、秋山さんとひじりも空気を吸いに?」
「おはよう、そうだな」
皆が甲板に集まりたわいもない話をして少し時間がたち………
「そろそろ行くか」
「おう」
そう言うと皆持ち場につきそして船を動かし島を後にした。船の修理に寄っただけだったが得るものが多かったと思う。この島にきて本当によかった。俺達の旅は始まったばかりだ。まだ見ぬ景色などを求めて俺達の旅は始まったばかり、まだ知らぬ海の向こうを目指して船は進む。




