番外編・神の遊び
「……へぇ。やるじゃないか」
球体を置く。
これでひとまず、一区切りといったところか。
これ以上眺めていたところで、さして私が得るものもない……次に移るとしよう。
「それにしてもあの……クリス、だったか。絶対殺されたと思ったのに。……万能薬ねぇ」
なるほどなるほど。
これはまた。
「とんでもないものを持ち出してきたものだ……あの状態からの蘇生って、一体どんな作り方を……?」
万能どころか、完全回復薬とでも言うべきである。
『彼女』は本当にいつもいつも、いい意味で私の予想を超えてきてくれるものだ。
お陰で暇も飽きもない。
この私と本気でタイマンしても、結構いいところまでいけそうだな。
***
──『この世界』には、何もない。
この話での『主人公』が、マリーとして新たに生を受けた世界。
ファンタジー要素のかけらもなく、本当にただただ何もない世界。
夢も、魔法も、希望も何もない。
そんな世界、ただ作ったってつまらないだろう?
……だから。
「まあ、遊び心とでも言おうか……神の気まぐれってところだな」
『イレギュラー』、私は彼らをそう呼んでいる。
何が起きるやら分からない、世界を世界たらしめるピースの一つ。
全てが定められた世界ほど、つまらないものもないからな。
「……ふむ。それにしても、だいぶ減ってきたな。そろそろ増やすか……」
この世界のものは、殆どが私が作ったもの。
それをただ眺めていたって、つまらない。
「呼ぼう……『転生者』くんを」
つまらない世界。
誰もいない世界。
ならば、『転生者』を増やせばいい。
神である私でさえ、予想の及ばない人間たち。
そんな人間たちを、『この世界』に呼び、そこで一生を過ごさせる。
そうすることで……さて、何が起こるかな。
分からないからこそ、面白いというものだ。
見届けようか。
『この世界』がどうなっていくのか。
「……さて」
力を集中させる。
ゆっくりと……ゆっくりと、場を整えて……。
「今度は、誰を転生させようかな?」




