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悪役令嬢に百合営業をしかけたら本気にされてペットにされました  作者: らびえ
番外編

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120/161

……大嫌い?

『……ごめんなさい、ミラ』

『……うん』


 間違えた。

 ボクはきっと、全てを間違えてしまった。


 いつから? ……初めから。

 キミと過ごした時間の全ては、間違いでしかなかった。


『──ねえ、ミラ。……ミラ?』


 どうして、あの時キミに声をかけてしまったんだろう。

 どうして、今になるまでキミと共に過ごしてしまったんだろう。

 どうして、あの時キミから離れられなかったんだろう。


『返事してよ。いるんでしょ?』


 全てを恨みたくなる。

 全てを消してしまいたくなる。


 キミは何も悪くないのに、悪いのは全部ボクなのに。

 キミを汚してしまったボクが、たまらなく嫌になって。


『……? 開けるよ……?』


 キミは、何も知らなくていい。


『…………ぇ』


 キミはひとりでも生きていける。


『な……に、して』


 キミが知るよりもずっと、人は弱い。

 キミの思うよりももっと、人は愚かだ。


 接するたびに傷つくのなら。

 関わるほどに抉られるのなら。


『…………や』


 キミにはもう、友達は必要ない。






 ***


 ***






 あなたはわたしを置いていった。

 誰にも愛されなかったあなたは、長い永い時間が経って、ほとんど何一つのこっていない。


 自分のことは忘れて、最初で最後の手紙にはそう書いてあった。

 ……でも、忘れられるはずないじゃない。



 あなたの存在は、深く深く心に突き刺さっている。

 いつもそれを抜こうとして、綺麗に取れずに絡みつかれる。


 痛いことも、ずっと何かが滲んでいるのも、いつまでも慣れはしない。



 それでもそれはボク(・・)の一部となって、次第に想いが薄れていった。

 ふと思い出した時には、あなたの声が聞こえない。

 そう、感じて。


『……ミラ』


 あなたの名前を呼ぶ。

 その記憶すら薄れる前に。


『なんで……そんな酷いこと言うの』


 あの時、何を考えていたの。

 わたしはどこまで、あなたのことを知れていたの?


『…………わからないよ。なにも』






 ***


 ***


 ***






「──全くもう。どういう了見ですか!」

「「ごめんなさい……」」

「マリーを連れ出したのは許しましょう。ですが気絶させて帰ってくるとは何事ですか! ぼーっと突っ立ってないで働きなさいチビ吸血鬼!」

「ち、チビ吸血鬼……?」


 ……なんか聞こえる。


「はあ……あ、マリー。おはようございます」

「……おはよ、クリス」


 急に落ち着いた。


「あなたもあなたですからね! 全く心配かけて!」

「え、な、何の話……?」


 どうやら眠っていたようだ、ようやく思考がそこに至った。


 ここは私の部屋、寝転んでいたのは座っているクリスの膝の上。

 その横では、ルーシーちゃんとミラちゃんが気まずそうな表情で佇んでいた……。


「突然倒れたと聞きましたよ! 何があったんですか、襲撃ですか、とっ捕まえてきます誰ですかどこのどいつですか!!」

「お、落ち着いてクリス……。大丈夫、大丈夫だよ」


 ……まだ頭がぱちぱちするが、状況はなんとなく把握できた。


 今……というかここ数日にかけて見ていたものは、夢だが夢じゃない。

 遠い過去、本当にあった出来事だろう。

 そして、その仕立て人は……。


「……ソフィアだろうね。あの子ったら、マリーちゃんには妙に入れ込むんだから……」

「ソフィア? 誰それ?」

「ああ、ミラは知らないんだっけ。わたしの……あー……友達」

「……そう」


 ふたりの仲は一周回ってちょっと良くなった……のか?

 どっちもクリスに怒られてしょんぼりしているせいかもしれない、なんて思うとちょっと笑える。

 慌てているふたりの姿が目に浮かぶようだ。


 それはそれとして、あの夢は……。


「……何、その目つき」

「別に」

「わたしがどうしようと勝手でしょ。口出ししないで」

「ふん。懲りないね、ルーシー」


 ああもう、また始まった。

 こんなに嫌そうに言葉をぶつけあう喧嘩見たことない。

 むしろどんだけ仲良かったんだって話である。


 いや、いっそ歪にすら見える。

 それだけ仲を深めておいて、なんでどこか他人行儀なんだ。

 互いが互いに遠慮しているというか……恐れているというか。


「……はあ。ふたりとも、どうしたいと思ってるの?」

「えっ?」

「な、何の話……?」


 とぼけられてもしょうがない。

 意識が落ちる直前の声からすると、確かにソフィアさんがなんらかの仕込みをしていたのだろう。


 となれば、あの夢は。

 妙に現実味のある、それでいてやや順番がおかしい夢は……。


「……とりあえずさ、どっちか片方外にいてよ。お互い、話しにくいこともあるだろうし」

「「え……?」」


 まあ、ここまで来れば乗りかかった船だ。

 中途半端にするくらいならとことん首を突っ込んでやろう。


 というかルーシーちゃんに関して言えば、そういう話題はお互い様である。


「クリス、ちょっとだけ付き合ってくれる?」

「ええ。なんのことだか知りませんが、痴話喧嘩は大好物です」

「ち、痴話喧嘩って……」


 間違ってはいないかもしれないけど。

 それでもなんかこう……ふたりがすんごい微妙な顔してるし、もうちょっと言い方を……いや、まあいいか。



 直接お互いの話を聞いてみよう。

 まずはそれからだ。

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