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盗人

Blue Monday 22

作者: 横瀬 旭

 ネット上で自殺志願者を集め、僕は彼らにこう呼びかけた。


「みんなで電車に飛び込んで、世間様に迷惑をかけて死のう」と。


複数人集まれば、手分けして別々の路線を止めることができる。都心のJRであれば、常磐線、東海道本線、山手線、京浜東北線、総武快速線、中央・総武線などだろうか。地下鉄や私鉄も止められれば十分だ。


 「世間様に迷惑をかけて死のう」そう思うのには理由がある。


僕は今まで生きてきてずっと変人扱いされた。頭の病気を持っていると思われた。自分の意思で、普通の人と同じつもりで普通に動いているつもりなのに。


二十年近くそんな風に思われ続けている。少し頭がおかしい人間だとずっと思われている。周りの人間は気づかないふりをしているけれど、バレバレだ。


「こいつ変な奴だな」って考えているのが、口に出なくとも、目や表情に出ている。


僕は今までそう思われてきたことに対して復讐したい。普通のことを普通にできている、毎朝起きて職場に行って、普通に仕事や会話ができている奴らに対して復讐したい。


 僕の呼びかけに応じた人は一人も居なかった。しかし、僕は一人でもやるつもりだ。


実行は休み明けでほとんどの人の気分が落ち込んでいるであろう月曜日。電車に飛び込む直前、僕が持っているスマートフォンでイギリスのロックバンド「ニュー・オーダー」の「ブルー・マンデー」という曲をスピーカーから大音量でかけて飛び込もうと思っている。


それが「僕がやった」という犯行声明のようなものになるだろう。


三月七日の月曜日、都心のどこかの駅で「ブルー・マンデー」が流れる。そして、曲名通りの月曜日になるだろう。


 場所は秘密だが、ホームドアのない、快速や通勤快速、特急列車が通過するどこかの駅だ。覚悟してほしい。


いくら頭がおかしいとは言われても、手や足は健常だ。


僕の体を使えば、電車に飛び込む人数を増やすことだってできる。

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