村娘です。最近、冒険者パーティーの人気が高いので、負けじと村娘ツインズを結成しようと思います(村娘六人目)
私は村娘ホワイト。
なぜホワイトかって?
私の相棒の村娘ちゃんがレッドをやりたいって言うから、私はホワイトなの!
そう。私たちのカラーは紅白よ!
最近子供たちの間で、冒険者パーティーの人気があがっている事はみんな知ってるわね。
私達は村娘の人気を取り戻すため、動きだした!
その名も…………。
村娘ツインズ! トキメキハート!
あなたのハートをバッキュンしちゃうぞ大作戦ー。
パチパチパチーッ。
うんっ。
聞いただけで濃厚な豚骨の香りがするわね!
胃もたれしそうだわっ。
まぁ作戦名なんてどうでもいいでしょ。
この姫と魔女っ子の中間のようなフリルがついた服を着て、私たちは子供にアピールする。
そして私たちの人気を取り戻すのよっ!
え?
どこかの魔法少女の服に似ている?
私たちは今を生きているのよ!
何より変身ではなく、私たちは着替えているのよ。
さあ、舞台は整った。
私たちの隣に村の集会で村長がいつも立つ、ただの木製の台があるだけ。
でも、それが私たちのゴールデンロード。
「いくわよっホワイト」
「えぇ、レッドちゃん」
私たちは、夢の舞台へとかけあがった。
「「はい、どうもー村娘ツインズですっ」」
子供たちの拍手が聞こえる。
ズテッて音も聞こえたけど、誰かこけたのかしら。
まぁいい。
レッドは両手で顔を隠し、バッと開く!
「豪炎のーレッド」
レッドちゃん、決まってるわ!
はたから見たら、いないいないばあにしか見えないけど。
でもまって! レッドちゃん。
私。そんなキャチーなセリフ聞いてないよ。
クッ、考えるしかないか。
しろ。白。白色。
「とうふのーホワイト」
そう! 夏にピッタリ、ひんやり。
今ならレッドちゃんにもついていけるっ。
子供たちの心をつかめる。
そう思った時だった。
どこからともなく聞こえた。
「ま、魔物だぁーー。魔物が出たぞー」
「いくわよっホワイト!」
はい?
「レッドちゃん、どこに?」
「みんなを助けに行くのよ」
えー?
私達村娘だよ?レッドちゃん!
そう思いながらもレッドちゃんには秘策があると思い、私たちは向かった。
たたたたッ。
私達の前に巨大なイノシシの魔物が現れた。
クっ、こんな時に限ってSランクの実力を隠した冒険者が、薬草採取に行っているなんて……。
「どーしよーレッドちゃん」
「魔物じゃないは! これは……生きた食べ物よ!」
そう言ってレッドちゃんは魔物に襲いかかった。
なんて果敢なレッドちゃんなの。
私たちはか弱い村娘なのに。
ドンッ。
「キャー」
予想通り、魔物に吹き飛ばされたレッドちゃん。
レッドちゃんは瀕死の状態だった。でも私にはどうすることも出来ない。私はレッドちゃんを抱き締めた。
「死なないでレッドちゃん」
「ホワイト……これを使って」
「れ、レッドちゃん、これはっ」
「おじいちゃんの。形見の包丁よっ」
え?
服の中に包丁入れてたの?
普段から入れてるの?
そんなの犯罪者とレッドちゃんだけだよ!
私はレッドちゃんをそっとおろし、魔物と対峙する。
恐れてはダメよ私!そぅ、レッドちゃんが言ってたじゃない。これは…………生きた食糧よ。
食糧なら、私に調理出来ないはずないじゃない。
「レッドちゃんのかたきー!」
ドンッ。
「きゃーっ」
もうダメだは。私たちには立ち上がる力もない。
そんな時だった。
人影が現れたと思ったら、魔物は瞬時に肉の塊となったのだった。
「君たち、大丈夫かい?」
「「はい! 冒険者さまー(ハート)」」
そうしてまた、冒険者の人気が上がったとか、上がってないとか…………。
だめだこりゃ。
完
これにて短編村娘はやめようと思いますー。
他にも五人短編村娘おります。
あっ。連載村娘もありますと宣伝しておきますぅー。
よかったらそちらも読んでみて下さいっ。
バイバーイッ!