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2.イケメン降臨…!

そうして過ごして1週間が過ぎた。


寝てれば身支度はメイドさんが整えてくれるし

ご飯だって某電子調理鍋に材料入れなくても出来てる。

掃除も誰かがやってくれるから、推しが囁きながら掃除してくれるあのロボだっていらない。

案外、生きていけるもんだ。


あれ以来、喋る気力が湧かない。

ただ過ぎていく時間と知らない人達が行き交うのをやり過ごすだけ。


「アリーチェ」



あー、この声は最近良く耳にする新人声優さんだよなー。

さすが、異世界転生。

イケメンボイスのする方へ目を向ける。


「体調はどう?…あまり本調子のようじゃないみたいだけど」


そもそもこの世界線を知らないのよ。私。

この声優さんを起用するくらいなのだから、なかなかの知名度があるはずなのに。


「…あなたはだれ?」


あぁ、思ったより自分の声が幼い。

そうか、鏡のあの子も中学生くらいだったものね。


「…本当に忘れてしまったんだね、アリス」


うん、いい声。甘さを含めたせつなそうな囁き声、お姉さん嫌いじゃないわ。

この新人さんは伸びるわね…。

過去作品もチェックしてみようかな?


…はっ!いつもの癖で青田買いするとこだった。

そうか、ここはきっとアニメかなんかの世界でもあるのか。

というか…いつの間に記憶喪失設定が付与されてんの?

まぁ、確かに何も覚えてないしな。

この子が生きた記憶を。

それはちょっと寂しいかも知らん。


ぼんやりと見ていたイケメンボイスの彼は萌葱色の髪をサイドに分けて華奢なフレームの眼鏡の右端をグイッと上げて困った顔をしている。レンズの奥の瞳は私と同じ空色だ。


あらヤダ、受けっぽい美人系美少年。


愛称で呼ぶくらいだから身近な人なのかしら?

マジマジと彼を観察しながら首を傾げていると、さらに困った笑顔を作って、胸に手を当てると軽く頭を屈めて私を見つめた。


「アリス、君の従兄弟のアラン・オズワルドだよ。覚えていない?」


いや、しらん。

…だがイケメンだ。


仕方ないので同じように困った顔をして相手を見つめる。


きっとアレだよな、身なりから貴族ぽいから「様」くらいはつけて、敬語くらいは使った方がいいよな。

この世界のマナーなんぞ知らんし。無難にいこう。


「…アラン、様…?…宜しくお願い致します」


ペコリと頭を下げれば、そっと髪を撫でられた。

…ん?少年よ、なんのフラグかね。


「そう改まらないで。今まで通りアランお兄様でいいから。言葉も楽にして」


ほう、親しき中なのは間違い無いが、どこまで崩せばいいのかもわからん。

だれか設定資料集をもてぃ!!


などと脳内をフルスピードで妄想が爆速していくのだが

見舞いに来てくれたという彼を放置するわけにもいかない。

美声だし、作画は神だし

もしかしたらこの世界線にも私の最推しとなるCPがいて

最愛の声優様のキャラもいるかもしれない。


少しはオタパワーを充電させて活力にできるかもしれない。


「ありがとう…アランお兄様…」


希望が見出せたような気がして視界が潤む。

せめて男泣きしないよう我慢しながらハラハラと涙を零せば美麗男子必須アイテムのハンカチでお兄様は涙を拭ってくれた。


「アリィイイイイイイイス!!!!!」


派手な音を叩きつけて開かれた扉は傾いている。

それは突っ込まないでおこう。

しかしながら,ですね。


聞き間違えようの無いそのエロ低音ボイス!!!

最近はどこぞかの神官様が有名でしょうか。

その艶やかなボイス!!!

ちげぇねぇえ!!

耳が妊娠しそうですよ、私。


部屋に入るなり私を抱き潰している中年の男性は何かを嘆いてるようだが、涙声すぎて何を言っているのかよくわからない。

とりあえず心配してくれていたようだ。


何度も「私が悪かった」と泣きながら謝罪するイケメンボイスの顔はよく見えないのだけど、あの少女と同じ瞳の色したイケオジだ。


その声を聞いてるとこっちが昇天してしまいそうなので、広すぎてあまり届いた気のしない背中をさすって笑顔を作る。




─────…あぁ、今日も作画が綺麗だ。


予定では30話以内に収まる内容を考えております。

ツッコミどころは多いでしょうがお付き合い頂けると幸いです。


宜しければ星つけて下さると

次回投稿のスパンが短くなるかもです。

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