コロナウイルス
DNAとミームとコロナウイルス2章
*第二章 コロナウイルスとミーム
■部屋
夢の中で誰かに呼ばれているA。
ここ何日か同じような夢、世界がパニックになる夢を見ている。内容は起きたらほとんど忘れてしまうが、恐怖で逃げ出そうとして朝目覚める。
洗面台の前でOとすれ違う。
O:今日は遅いね。
A:このままだと少し遅刻だな。
O:最近、忙しいの?
A:もうおっさんの仲間になるのも近いな。
冗談は言えるが、最近、同じような夢を見て、不安であるし、
ぐっすりと寝れていない。
Oが出て行った部屋の中で急いで研究室に向かう準備をしていた。
目の前に何かが動いた。ゴキブリかと思い、退治しようと殺虫剤を持って近づくと、
そこには見たことのない色をした虫がいた。
そして目の前にしゃぼん玉のようなものが飛んできた。
?:Aよ、話を聞きなさい。
まだ寝ぼけているのか幻聴が聞こえる。
ただ今やらないといけないことは目の前の虫を退治すること。
殺虫剤を虫に吹きかける。
?:それじゃ、殺せない。
また幻聴が聞こえる。
?:冷静になって、話を聞いて
Aは幻聴の声に聞き覚えがあることを思い出した。
?:少し冷静になったかな?
?:話を聞いて。
A:お前が話しているの?
虫に向かってそう尋ねる。
G:そう、いろいろ説明しなきゃいけないの。
A:なんで虫が話せる?
G:そこから説明する?まぁ、いいわ。
正確には声は発していない。テレパシーみたいなもの。
さっきのシャボン玉に幻覚、幻聴しやすくなる薬を入れて、
会話しているように感じさせているだけよ。
A:そんなことできるのか?
G:脳の情報受け取りの誤作動を利用している。
A:お前、、何者だ!
G:冷静に。夢の中でも言ったでしょ。
冷静にいてほしい。
まぁ、驚くなって言っても無理かな?
でも、夢の中で何度も会話はしていたはずよ。
A:あれもお前の仕業か?
G:そう、冷静に聞いてくれるようになったかな?
A:それでお前は一体、何なんだ?
G:そうだな?宇宙人と答えればいい?それとも神?
怪訝そうな視線を送るA
G:そしたら私のこと、私たちのことから話しましょう。
私たちは地球とは違う星の生物でした。
文明は今の地球よりも少し進歩していたかな?
A:こんなことができるのに少しの違い?
G:上手く数字化して表現するのは難しいけど、時間で言えば、
地球よりも数十年長くて百年ちょっとくらい先くらいな感じだと思うわ。
A:そんな宇宙人がなぜここに?
G:正確には私はロボットね。
私たちの星、私たちの元の生命体は滅んでいる。
A:滅んだ?なぜ?
G:大きな戦争があって、最終的に私たちの星の存在まで無くすことで、
自分たちの主張を通そうと相手が暴走し、私たちは止められなかった。
戦争というのは自分たちの主張、権利を賭けて争う。
私たちが賭けたのは、権利ではなく、生き方だった。
あなたが研究しているDNAとミームが関係してくるわ。
DNAもミームも所詮、情報を伝達する存在でしたない。
有機物か?無機物か?は関係なくなっていった。
A:関係なくなった?人造人間の誕生か?
G:そう。私たちはできるだけ自然に生きることを選択した。
けれど、一度自然の流れを無視したグループが出てきてしまえば、
遺伝子操作による改造、機械化による改造、、、いろんなグループが出てきた。
私たちはなんとか多数派で抑えこみつつはあった。けれど、追い詰められた相手は無茶なことをする。地球でもよくそういったものが起きるけど、自爆覚悟で過激な行動を起こす。
そして私たちの星はなくなった。
A:機械人間が勝ったの?
G:
誰も勝っていない。
そもそも多かれ少なかれ、我々は自らを改造していった。バランスの問題と言っていい。
DNAに頼って情報を未来につなげるのか?
ミームを利用するのか?
そのバランスをどう考えるか?であった。
ミームはDNA・有機物とは関係なく、情報を未来に伝えられる。地球の歴史でもニュートン、ゴッホ、ガウディ、、、DNAを残すよりミームによって遥に多くの存在価値を残している。
ならばミームを主に考えて機械人間にして、自分たちの思い通りに生きるほうがいいと考えられるがそうでもない。
機械にしてしまえば成長、アップデートというのが不利になる。進化が進めば新しいものと交換せざるを得ない。機械にしてしまうとそのサイクルが大きく無駄になってくる。
そこで私たちの先輩たちは有機物のロボットを作り出した。
それが虫だ。
お前も不思議に思っていただろう? なぜアリは自由落下に耐えれるのか? どうしてセミはあんなに大きな音を発生できるのか? なぜ虫の目はあんなに多くの情報を処理できるのか? 6本の手足に羽を使いこなす?一つ一つ都合がよすぎると考えられる。
でも、それは作られた生物、有機物のロボットだからだよ。
A:虫が宇宙人だなんて想像したことはあったがSF的で現実味は感じなかった。
G:
虫が宇宙人、我々のことだがそうだな。結局、ミームを主として考えるグループは虫の研究に没頭し、自分たちの情報をそこに入れていった。
ミームは有機物、無機物問わない。情報を伝えられるものがあれば何でもいい。
我々も最悪の想定をする中で虫の開発をしていった。たとえ我々の星がなくなっても宇宙を漂って別の星で生きるために原子生物から虫に進化できるものを開発し、星が亡くなる前に原子生物になって宇宙を漂い、地球に着いた。
ただ地球に着いたのは我々だけでなく、対立したミームの連中も来ていた。
G:
そしてここからが本題だ。C国で発生したウイルスがある。それはミームが仕組んだ。
A:
何?新型のウイルスが流行しているらしいことは知っているけどどういうこと?
G:
ミームは情報が残れば有機物、無機物問わない。今の電子機器を作れるまでの文明はDNAなしで情報を伝えられることが多くなった。そこで彼らは我々の星で起こったのと同じように、人造の新しい人間を作らせるために作った罠としてウイルスを発生させた。
A:
確かにC国は以前から細菌兵器を作っているのではないか?という疑惑はあった。
まさかC国の政治家はミーム側の人間なのか?
G:
うーん、、、まぁ、ミーム側の人間ではあるが本人たちも気付いてはないだろう。無自覚にそういう行動を促されている。私とAは直接、会話をしているが本来はこんなことはできる仕様ではない。幻覚、幻聴を見せられないがいろんな虫を使い、無意識に意識させて行動を促す程度のことはしている。私の存在は自然ではない流れになった場合、それが今のことだが、活動を開始し、地球上の生物に協力をし、自分たちの歩む道を自分たちで決められるように手助けする。そのために作られ、この時のために用意されていた。
A:
そんな大事な存在がなぜ俺なんかのところに来る?
G:
C国の政治家たちが向う側になったように国のトップだからと言って、そいつの側に行っても無駄になることもある。それにこの話を理解できるものではないと意味がないからな。
A:
まぁ、ね。 それでなぜウイルスを撒くの?
G:
それは何段階も複雑に策が練ってあるけれど、簡単には人造人間・超人類を作って、今の人間を家畜化するため。
人はウイルス感染しないための策としてソーシャルディスタンス、感染しない距離を撮って生活することを対応策として実施する。これによって人と人の接触機会が減る。もっと言えば、セックスをしなくなる。DNAの否定を無意識でさせる。
A:いまでも恋愛感情が有機物ではなく二次元、無機物が対象になっている人間がいる。
G:
無意識にDNAの否定が始まれば遺伝子操作か?機械化か?はわからないが人体改造派は出てくる。そしてそれが第2段階だ。
このウイルスによって、世界中、多くの国で多くの人が死ぬ。それがいろんな憎しみを生む。
偏見や差別、政治への不満、、、いろんなものが生まれる。
例えウイルスが収束しても、そういった感情が戦争を生む火種になったり、暴動を生むきっかけになったりする。そしてそういう争いが起これば危険なことも起こる可能性が高くなり、それに対抗するために更に強硬なことをする中で超人類を作り出す可能性が高くなっていく。
G:
それにだ、このウイルスがなかなか収束しない場合にも、遺伝子操作によるウイルスの無効化治療という選択肢がでてくる。しかし一度遺伝子操作してしまえば、そこから一気に超人類の作成にまでなる。
G:
まぁ大体こんなところかな?
A:
ウイルス本体だけでなく、その影にも注意しろってことか。
そうしたら人はどうすればいい?
G:
そこは私の能力外の部分。元々、自然な流れを主張していた存在だ。人間がミームを選択するならそれはそれでもいい。
ただDNAの存在も大事にするならば、今まで人間が作り上げた考えを信じろ。いろんな名言・格言の中に対抗できる術があるし、愛に対する考え方も有効になるだろう。
もしDNAを大事に思うのであれば、距離が離れたとしても愛を忘れたはいけない。