第90話 〜受け流し〜
————後、5秒でテレポートします
————3……2……1……
テルセウスの初手の攻撃。
ここまでの戦闘を見た限りでは、テルセウスの初手の攻撃のパターンは3通り。右からの攻撃、上からの攻撃、左からの攻撃。
月詩が見た限りでは1番多い、パターンは、右からだ1万人。今、月詩達の戦闘を見ているプレイヤー達の数だ。
その1万人の人物達は、あーまた死ぬんだろう、終わりだあいつら、と思っていた。
なのにどうしてだろうか?
ゴツイ男のプレイヤーが盾も装備をしていないのに、無傷でテルセウスの全力の一撃を
————弾いたのだ
月詩達なら知っている。ペルが着ている漆黒の鎧の防具には完全物理攻撃無効が付いているからだ。
「ペルくん!」
「はい!」
ペルは遅い移動ながらも、後退をし月詩はテルセウスへと立ち向かう。
「武器変形『小盾』!」
月詩は【千変万化の指輪】を使い、”小盾”を生成する。
最初は武器だけを生成できるかと思っていた。よく良く考えれば、盾も武器になるのではと仮説を立て、仮説は立証された。
だが、生成した盾も凡夫が作ったともいえる盾。
しかも、小盾。小さい粗末な盾で、テルセウスの攻撃を受けることは出来ないだろう。それだったら、ペルに攻撃を受けさせればいい。
だけれど、今回はペルは攻撃役。ペルにしか、あの物が使えないからだ。
さて、今は目の前のことだ。
ペルが後方へと下がったことにより、全ヘイトが月詩へと向けられている。斧型の触手が月詩へと放たれる。
「目の前で見ると迫力違いすぎ」
眼前に迫り来る、斧型の触手。
「スピード、角度、これを推測して……いける」
毎回の如く言っていると思うが、月詩には無難のような才能も無ければ、傘比のような感覚もない。
ただただ、情報処理能力に著しく長けているのだ。
「変形!」
月詩は更に小盾を変形させ、グニャンと曲がっている小盾を生成する。
しかし、これを使って何が出来るのか?
そんな物で、触手を防げるはずがない。
「我ながら完璧な計算!」
受け流した。型の触手を上手いこと盾を使い、受け流し、勢いよく壁に衝突させた。
この時点で、視聴者10万人に増え、視聴者が目を奪われ始めてきた。




