第21話 〜テーベ〜
「誰だ......お前は?」
金髪のパーマの髪型で、赤色の和装を着ている、圧倒的な強者感を醸し出す目の前の男性プレイヤー。プレイヤーに少し無難は既視感を覚える。その人物を後ろから見ているウルフとの戦闘を終えた、月詩は冷や汗をかく。
「あー初めまして。天使と悪魔の新天地、元世界1位。そして現、最高階級の開拓者の1人。テーベだよ。以後お見知り置きを」
テーベという名を聞いて無難は、思い出し興奮する。この剣と魔法と失われた技術の現時点で、1番PVPが強いと言われている人物。
この世界ではPVPは意味がないのに、物好きにこの世界のプレイヤー達を狩り尽くした。
殺した人数、約5000人以上。圧倒的な経験と圧倒的な才能で未だ無敗記録を誇る。
これを見たゲームプレイヤー全員、口を揃えて言う。
【天才】と
「拳銃の悪魔とは戦ってみたかったけど……。う〜ん、ちょっと拍子抜けかな。僕に勝てる人を探してたけど。やっぱりそっちの方が難しいか〜」
刀を鞘にしまい、テーベは目の前の無難と傘比を見る。
傘比はこの状況が全く分かっておらず、どうしようかと目をキョロキョロさせている。
「お前は俺たちに、PVPを挑むつもりか?」
核心をついた問にテーベは、何事もないように応答する。
「うん、そうだよ〜。でも僕、勝っちゃうよ?」
余裕溢れるテーベ
確かにテーベの方がレベルは高いだろうが、ここではテーベは1人、こちらは3人。この世界はパーティーを組んでいた方が100倍強い。
それは月詩や無難だって分かっているはず。
「...........無難くん。喧嘩売らないでよ。ここは話し合いを」
目の前のテーベは月詩や無難が苦戦したソロプレイで、プレイヤーを1000人殺しているという、噂を月詩は聞いたことがある。
「そんなのやってみないと分からないだろ」
「そうかな〜。でも、もう一太刀入れてるよ」
「......ッッッッッッッッッッ———————!?」
無難のHPの1割がなくなっていた。
テーベの洗練された一筋の太刀は、誰の目にも見えなかった。
傘比、無難が目を見張る中、1番冷静な人物忘れてはいけない。
「下級錬金術師『風の刃』!」
『風の刃』を正確にテーベの首に放つ。
この世界には弱点というものがあり、人間でいうと首に攻撃が当たるとその威力は絶大となる。月詩は「これを防げるわけないよね」笑みを浮かべる。
「さすが元世界1位のヘラだよ。一瞬の状況判断力。すげぇな〜」
またもや無難に攻撃した見えない太刀筋と同じように、真後ろからの攻撃を弾き返した。
そして、後ろを振り向き、月詩と向き合い笑いながら喋りかける。
「いや〜当たると思ったんだけどな〜。やっぱり天使と悪魔の新天地出身地の人は違うな〜」
「あはははは。そうでしょ? 僕って天才だからさ」
先程から話に出ている天使と悪魔の新天地とは、複雑なバトル要素、複雑なスキル、複雑な操作方法。全てが複雑だが、その複雑さで高度すぎる戦闘ができると一躍有名、売れまくったゲームだ。
ゲームの趣旨はバトルロワイヤル。最大10000人がプレイ可能なゲームだ。
その中で異彩を放っていた者がいた。
「あ、ごめんごめん、嫉妬しちゃった?」
天使と悪魔の新天地の世界大会、10000人の猛者プレイヤー達と戦い、まさかの5000人以上を倒し優勝した。
目の前の敵は本当に圧倒的な強者なのだ。




