第100話 〜本当の友達〜
「ここで戻ってくるかよ」
絶望、孤独。その目の前に1人の光が現れた。
「無難……くん……?」
無難が黒刀を双剣で止める。その姿はまるで王子様。
だが、その姿と裏腹に無難は焦っていた。いつ何時でもテーベは傘比を殺せるのだ。無難の攻撃を全て記憶しているテーベに対して、人数は多い方がいい。
レーズンは脚が無く、直ぐには動けない。
傘比がサポートしてくれなければ負ける。
このゲームをぼっちでやってきたからこそ分かる、圧倒的な経験談。
しかし、傘比は今恐怖に支配されている。
「うっ…………」
逃げようと思っても、腰が抜けて動けない。恐怖が傘比を支配し、何をしたらいいか分からない。傘比を見てないのにも関わらず、傘比の感情を無難は感じ取り———
「俺が守るって言っただろ!」
無難の声が届かない。いや、届いてはいる。あともう一歩。もう一歩の言葉で傘比の心は動く。
その言葉はもう無難は分かりきっている。
「立て! 立ち上がれ! お前を信じろ! テーベなんて見るな! 俺を見ろ!」
無難は今から言う言葉を真剣に、本気で———
「傘比!」
名前を呼んだ。初めて、月詩でさえ無難に呼ばれたこともなかった、名前を、傘比という名前を呼ぶ。
「………………っ!」
呼ばれた。今まで1人にしか、ちゃんと心を込めて言われてこなかった名前が、偽物達から呼ばれる名前じゃない。
本当に自分を、傘比を必要としている声。
それに応えなければ本当の———
—————友達じゃない—————
「さっきから、邪魔ばっ————ぐふっっっっっっ!?」
傘比がテーベに向かって蹴りを入れる。傘比の感覚が、今、無難が屈むと感じ、屈んだ一瞬にテーベの顔に蹴りを喰らわせたのだ。
テーベは後ろへ寄ろけり、またもや頭を毟る。
「あーーーーーー! 本格的にイラついてきた」
目をギラつかせ、傘比、無難、レーズンを見る。




