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過去の自分

今回は、結構満足感のあるシナリオになってます。達成感ある。書きたいこと書くことが一番気持ちいいですね。ぜひ見てください。

「お待たせ〜。」


テーブル座って待っていると、seisの声がした。


「いや〜待った待った。」


白いセーターを着たseisとゴシック衣装に着替えたnanaが登場した。

naitsuが、時間を確認しながら言う。


「ごめんね。ありがとうね。」


と、申し訳なさそうに詫びた。


「nanaちゃんも...。」


seisが、後ろにいるnanaを見る。


「ごめんなさいね。」


素直に謝罪をした。


「いや、うーーん。なんかごめん。」


naitsuも望んでいたものと違ったらしく、頭を掻きながら謝った。


「僕からもなんかごめん。」


空気を読みfirstも謝る。


「結局みんな謝っちゃった。」


「私は何も知らずに謝らされただけなんだけどね。」


nanaは不満とばかり、そっぽを向きながら言う。


「いや、聞いてたでしょう?」


空かさず、seisが言う。


「バレたか。」


彼女は苦笑いする。


「まあ、それはともかく。」


「特訓場の仲間として仲良くやってこうなあ。」


naitsuは、1人1人にコップを配り、座らせた。そこに液体を注ぎ、


「では、乾杯。」


そして、naitsuが乾杯の音頭をとったりもしたが省略する。


「ありがとうね。」


seisが、naitsuに向かって言う。


「私はお礼は言わないわ。」


nanaはつんとした表情で言う。seisさんがどれだけ無理やり連れてきたか。垣間見たような気がした。


「まあ、そう言わずに。では、僕から。」


一気飲みし始めた。


「あー〜うめ〜〜。」


酒を飲むが如く飲みっぷり、グラスを机に置き、揺れる。


「炭酸なのに大げさだな。」


first は、彼の豪快さを指摘する。


「運動後の炭酸は一味違うんだぜ。」


口の周りの水滴を吹く。


「どうだ。飲むか。」


周りは全員麦茶だった。


「私はパスかな。」


nanaさんが即答。


「僕もパス。」


firstも続く。


「私は...飲む。」


seisは途切れた声だが、はっきりとそう言った。


「えっ?」


「えーー。」


いきなりの宣言に二人は驚きを隠せない。他方、naitsuはというと、わかってくれるかと言わんばかりの笑みで、


「その反応はおかしいって。」


ツッコミを入れた。


「はい、どうぞ〜。」


片手でグラスを差し出す。seisは最初凝視していたが、ゴクゴクと飲み始めた。


「なにこれ?苦い。」


顔をしかめて、舌を出した。


「トリックウォーター。」


「独特な味だね。」


とコメンテーターのようなセリフを言った。なんとか我慢し、新しいピッチャーを探し始め。グラスに入れて、ゴクゴクと飲んだ。咄嗟の判断で、お茶もきれていたこともあり、気づいたのだが、それはピッチャーではなくどでかいビール用グラスでおそらくビールだった。


「ちょっと、待って!!」


firstは立ち上がって言うが時既に遅く。彼女は飲みきった後だった。


君の毛の双葉がくねっと曲がり、不思議そうな表情をするが既に遅い。


「フラフラする〜。」


彼女はそう言うと突っ伏した。頭の上の双葉も、壊れた方位磁針のように回っている。


「ちょっと、どうするのよ?」


nanaはnaitsuに少し怒ったかのように言う。頭を掻きながら、愛想笑いをした。


「このままなら、誰かが、背負っていくしかないだろう。」


「全くの想定外だったが。」


「ごめんね。みんな。」


seisの寝言のような遠い一言を聞いた。そして、一名離脱し残り三人で情報交換やトークをした。一番の収穫はアイテムショップのお姉さんに情報提供をお願いすると、お金が稼げるということだった。


「今日のとこは、お開きかな。」


naitsuに用事があるらしく、五時を回った時点で早々な終わりとなった。


「じゃあ、明日。」


手を振りながら、naitsuは夕焼けの街中に消えた。


残されたfirst、nanaと戦力外一名で帰ることになった。


「どうしよっか?」


フラフラで足元もおぼつかないseisを見て、firstが尋ねる。


「私がおぶっていく。」


「大丈夫?」


「ギブ。」

顔を真っ赤にして、頑張るのだが、体格や色々無理があったため、早々のギブアップだった。


そして、firstがおぶって帰ることになった。


「ありがとうね〜〜。」


起きているのか起きていないのかわからないseisから微かな声が聞こえた。


「nanaさんは、以前の記憶ってある?」


ふと頭によぎった質問だった。


「私は、看護師を目指していた。」


隣を歩く彼女は、確信に満ちた顔をした。


「へぇー。人は見かけによらないものだな。」


ゴシック衣装を見渡した。


「ひどい。言い草。じゃあ、first君は?」


nanaは膨れた。


「僕は学生だった。呆然だけど、確かにそんな気がする。」


「first君らしいね。」


そう言い微笑んだ。


「僕らしい?」


彼女は顎に手を当てて考えた。


「何にも染まってないピュアなところかな。」


「何を話していたのかな。私を仲間はずれにして。」


後ろから首が締まるような感覚を覚える。


「仲間はずれなんてそんな。」


nanaは彼女の顔を立ち土まってまっすぐ見た。


「うん。知ってる。むしろ、感謝してる。そろそろ降ろしてくれていいよ。」


彼女はfirstの背中からゆっくり降りた。


暫くして


「この辺だから。じゃあね。改めて、これからよろしく。」


と言い、純粋無垢な笑顔で手を振りnanaとは別れた。


nanaがいなくなり、二人だけになると、firstは服の脇腹あたりを引っ張られる感覚を覚え、思わず、立ち止まった。


「私の前世ってなんだと思う?」


急に彼女は夕闇の空で呼吸を整え、呟いた。


「おてんば娘とか?」


率直な感想だった。


「そうだったかもしれないけど、違うかな。」


含みのある苦笑いを見せた。


「じゃあ、答えは?」


好奇心からの気持ちが発露した。


「いじめられっ子だよ...。」


彼女は冷徹な笑みを浮かべた。

firstは驚嘆のあまり言葉を失った。


「私さー。仲間はずれになることだけは、怖かったんだ。小さい頃から。だから、色々無理をしちゃって、それで周りから反感を買っていじめられた。大雑把に言うとこんな感じ。」


身に覚えがあった。仲間はずれ。彼女の口から出る時に...。そして、仲間はずれにならないために無理をする所全てが彼女のいじめられっ子になりたくないという思いから来る本性なのだろう。杞憂かもしれないが...。


「反感って?」


聞きたくなくても、知りたいと思ってしまう。


「私、当時、学級のリーダー的存在やってたんだ。その時に、やんなきゃって、周りを思ってやったことなのに、掌を返された。立候補したのだって、友達がやるといいよ、とか言うから仕方なくやったのにね。」


遠くを見て、ぼんやりと語った。


「それは、酷いね。」


彼女は悪気だって毛頭ないのに、周りが勝手に苛立ちを隠せない。そういう姿を見ると、当時の彼女を助けたい。そんな気がした。


「けど、僕は、seisの味方だから。」


不意に、彼女のために出た言葉だった。単純にそれだけの意思。


「ありがとう。」


頬を染めて、照れ笑いをした。


「あぁ、nanaに悪いことしちゃったなあ。」


さっきは、あれから気まずくて誰も話そうとはしなかった。話題を出しても続かない。そういう状況だった。


「私のバカ。」


自分の頭を叩いた。その時の双葉の揺れと彼女の表情が可愛いと思ったが、不謹慎とも思ったので言わないでおいた。


「謝った方がいいよね。」


「明日謝るか。」


夕方のオレンジ色の街並みを真っ直ぐに見つめた。


「そのいきだ。」


自分のことのようで応援したい気持ちだ。その後、色々な会話を交わした。先の情報だったり、僕がパーティーに勧誘されたが、レベルが低くて、入れてもらえなかったこと。

彼女は、酷い、と文句を言った。けれど、嬉しそうな表情をした。そうして、歩き続けること暫くして、


「またね。これからよろしく。ありがとう。スッキリしたよ。」


言い忘れがないか。言葉を選びながら、けど、彼女なりの不器用さがわかった。そして、お辞儀をし、僕は手を振り、別れた。


「よっし!」


充実した。今日という日に感謝を込めて、明日も頑張るかと、firstは意気込むのだった。


後日談なのだが、naitsuの話だと、ビールと思っていたのは、リアルオールドで、アルコールは入ってなかった。実際、seisは場酔い?ということになるのかな。

ほっこり胸の温まるストーリーって、なんか魅力的ですよね。安定志向型って言われるかもしれませんが、案外そういうところに、日々の幸せとか潜んでるのかもってたまに考えることあります。

ジャステリー小説家希望フォローよろしく。

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