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1,000数えるまでに君にキスしたい  作者: 桐生
冬の風景
9/25

009:「どらいぶ」「こがらし」「だいこん」

 今日のドライブの最中の話題は、大根の美味しい食べ方についてだった。

 相手の推しメニューは『塩揉みした大根にホタテ缶を混ぜてマヨネーズで和えたもの』『切り干し大根の煮物』『お雑煮』、俺の推しメニューは『おでん』『ぶり大根』『沢庵』。


 俺の方は事故でも起こしたら大変だと思ってパッと頭に浮かんだものを順番に言っただけだけど、相手は運転していない所為か、まだ真剣に考え込んでいる。

 それまでに散々悩んでその三品を出したのにまだ悩んでいるものだから、何と何で迷っているのかが気になって訊いてしまう。


「そもそも大根ってそんなにメニュー無くないか? まぁ、おばちゃん料理うまいから色々出てくんのかもしれんけど」

「うーん、イカと炊き合わせたやつとか。鶏肉を揚げたやつのみぞれ煮も捨てがたい……あと、ハンバーグの大根おろし乗っけたやつも大根のメニューとして推したい!」

「あっ、もう一個思い出した、俺おばちゃんのあの料理好きだわ、あの、大根茹でたやつに味噌乗ってるやつ」

「味噌田楽か、あれもいいね!」

「あー、思い出したら久し振りに食べたくなってきた!」

「じゃあ今日うちでご飯食べてったら?」

「あれ、今日おばちゃん旅行に行ってるんじゃなかったっけ」

「うん、お母さんは居ないけど流石に味噌田楽くらいなら私も作れるし」

「マジ? じゃあ帰りにスーパー寄って行こうぜ」


 なんて車の中で自然にそんな話をしていたけど、こいつは幼馴染とは言え誰も居ない家に男を呼ぶとか危機感の欠片も無いな。

 まぁ、おばちゃんとうちの母親は仲が良いみたいで

「いつもお邪魔してごめんね、ご飯までよくご馳走になってるし……せめてこの子の食費くらい払わせて~!」

「良いのよ、旦那が単身赴任してると男の人がたまに来てくれてた方が安心だし! アンタの子なら悪さしないでしょ」

 とか言ってたからこいつも安心しきってる節もあるが。


 先に釘を刺されただけのような気もするが、まぁ今のところは悪さをする気はないのでこうしてたまに足に使われたり日曜大工の腕をあてにされたりしながら、ご飯をご馳走になっている。


 とは言え社会人になってから急に垢抜けた格好をし始めたこいつに彼氏ができるのも時間の問題だと思うから。

 そろそろ俺の事も男として見てもらいたいんだけどな、と考えつつ、木枯らしが吹き荒ぶ寒空の下、店頭で売り出しているお一人様二本までの大根を真剣に選んでいる幼馴染の後ろ姿を眺める今日この頃なのである。

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