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1,000数えるまでに君にキスしたい  作者: 桐生
冬の風景
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004:「びょういん」「ゆきうさぎ」「ちょこれーと」

「ま、そんな気を落とすなよ」

 たっちゃんはそう言うけど、わたしはもう落ち込むしかない。

 初雪が降った日に駅の階段から足を滑らせて、骨が折れたかと思うくらいの痛みでその日のうちに慌てて病院に駆け込んだ。診てもらったお医者様に勧められたこともあってしぶしぶながら入院することにしたけど。


「クリスマス会……」

「え、ああ、クラスで企画してたやつ?」

「めちゃくちゃ楽しみにしてたのにー!」

 そう、楽しみにしてたんだ。いつもは部活で忙しくてこういうイベントに参加しないたっちゃんが、珍しく参加するって言うから。

 プレゼント交換でわたしが出したやつがたっちゃんに当たったら嬉しい、とか、たっちゃんはどんなプレゼント出してくるかな、とか、帰り道で少し長く話せるかな、とか。色々ホントに楽しみにしてたのに。


「ふはっ、まぁ、カルシウムとって早く骨治せよ」

 たっちゃんは笑いながらそう言って、小魚のお菓子を投げてよこした。

「小魚もう飽きたよー。チョコ食べたい。取って、さっきたっちゃんがそっちによけちゃったやつ」

 しょうがないな、って言ってたっちゃんはチョコの箱を取ってくれたけど……

「ねぇ、何か箱が温かいんだけど」

「えっ、マジか! あっ悪い、暖房の上に置いてた」

「チョコ柔らかくなっちゃってるし」

 つまんだら中身のアーモンドが出てきちゃいそうで食べれないじゃん。


「悪かったってば」

「悪いと思うなら何か面白いことしてよ」

 むくれるわたしの無茶振りにたっちゃんは小魚のお菓子の袋を開けて、中に入っていた細いアーモンドを取り出した。

「これをこーして……ほい、雪ウサギ」

 二本のアーモンドを乗せられたチョコレートは、なるほど確かに雪ウサギに見えなくもない。

「ふふ」

 チョコウサギを見て、というよりはドヤ顔をするたっちゃんがいつもより子供っぽく見えて、思わず笑ってしまった。


「じゃ、そろそろ帰るわ。ちゃんと宿題やっとけよ」

「え、ちょっと待ってよ」

 もう帰っちゃうの!? と思わず引き留めようとしたけどもう話題がない。

「どうした?」

「お、お菓子! これ小魚開けたまま残してどーすんの」


 たっちゃんは笑って

「ウサギのえさにでもしておけよ。またな!」

 って言って帰って行った。


 たっちゃんはまた来てくれるつもりがあるらしい。

 まったくもう、ウサギは魚食べないでしょ、って呟きながら小魚に手を出したわたしの顔は、多分いまニヤけてるんだろうけど。

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