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1,000数えるまでに君にキスしたい  作者: 桐生
冬の風景
24/25

024:「かめら」「くりすます・いぶ」「ちきん」

 俺と加藤さんは、多分住んでる階層が違う。いや、驕ってるわけじゃなくて、何かそういう世界と言うか。

 俺自身は見た目と周りにいるやつらが派手だから、陽キャ寄りの生き物で。加藤さんは何て言うか……大人しい。そんな俺らだから、クラスメイトなのに普段なら全然話したりしない。


 でも俺は見た目の割に性格は別に陽キャじゃないから、いつものノリにちょっと疲れて趣味のイベントに出掛けた事があって。

 まさかそんなところで会うとは予想してなかった。だって普通に考えて学生なのに盆栽展とか興味ないっしょ(いやまぁ俺だって学生だけど)!

 こっちの格好は制服と似たような感じのシンプルなシャツとチノパン、向こうの格好も制服と似たような──いや制服そのもので来てた。真面目かよ。そんな彼女が意外とゴツめのカメラを首から下げて、一生懸命、俺の作品を撮ってたんだもん。絶対気になって学校でもつい目で追っちゃうっしょ。絶対今まで知らなかったとこ知っちゃうっしょ。もう絶対好きになるっしょ。ヤバい。もう剪定無理っしょ。



 この、何て言うか、誰も居ない海岸とかで「好きだぁーっ」って叫んで走り出したい気持ち、というのを分かってくれるやつはきっと居ると思う。


 あー、やっぱすげぇ好きだ。

 なんて、臆病者だから言えないけどね。

 今年はクリスマス・イブが休日で良かった。

 うっかり彼女の予定を耳に入れて傷心パーティーをしなくて済むし。あと、誘っても何か家族と過ごすからとか言って断られそうだし。

 一応、男女問わず何人かからは週末集まるような話に誘われてはいたけど、面倒だし……ほら、もしかしたら万が一予定が入るかもしれないし、と思って全部断ったまま休みに突入した。

 もちろん万が一の事なんか起こるはずもなく、普通にゲームしたりネットしたり新しい盆栽の鉢探したりしてただけだけど。

 暇だなー。授業の復習でもすっか、とか思った辺りで、それまでベッドに放置してたスマホに気が向いた。


 はぁ、さっきから何回もスマホの着信音が鳴ってたけどきっと面倒な誘いだけしかきてないんだろうな。って加藤さんから何かメッセージ来てんじゃん!


 ────えっ? マ?

 ──いやいやいやいや期待しないから! ホント! 絶対! 微塵も! 期待なんてしてないから!! 多分普通に委員会の仕事(水やり当番とかな!)の連絡だから!

 充分に落ち着いている俺は手に汗を握りながらメッセージアプリを起動する。

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