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1,000数えるまでに君にキスしたい  作者: 桐生
冬の風景
22/25

022:「ぷらねたりうむ」「じどうはんばいき」「みーとろーふ」

 ──すごい塊のハンバーグみたいなやつでしょ?

 ざっくりとしたその説明に思わず苦笑するが、あまり料理をしないこの人にしては、的を得た回答だったように思った。


 去年、クリスマスのメニューは何にしようかと相談していた時に、ミートローフを作ろうか? という話をしたら、そんな反応をしていたな。と不意に思い出す。

 付き合い始めた頃は、こんなに長く続くとは思っていなかったけど、二人の関係が意外と長続きしているのは、この人の性格によるものかもしれない。大概のことにつけて大雑把な──良く言うならおおらかな──この人のお陰で、大して喧嘩になったりもせず、一緒に居られるのだろう。

 まぁ、俺からしたら逆にこの大雑把なところに苛つく事もたまにあることなのだが、相手も俺の性質を面白くなく思うこともあるだろうから、お互い折り合いをつけながら過ごしていけたら良いと思っているし、何より、今年のクリスマスもあと数日後に迫っている中で去年と変わらず一緒に過ごせる事を、自分でも不思議なほど嬉しく思う。



 普段は家の中で過ごすことが多い二人だが、たまにはデートらしいことでもと思って来た空港の展望台。意外と混雑しているということもなくしばらくのんびりできそうだった。とは言え寒いことは寒いため、外に出たところにある自動販売機でカイロ代わりに温かいコーンポタージュを買う。


「ねえ、すごい! プラネタリウムみたい!」

 見上げれば空には数えるられるほどの星。でも地上では飛行機のランプや誘導灯がひしめき合うようにきらめいて。彼女がはしゃいで駆け出す。

 しばらく無言で眼前の星達を眺めていると、ポケットの中の缶の中身が手の中でトプンと揺れた。


 素直に言うのは柄じゃないから。

 温まった右手を差し出して、立ち止まった彼女のほっそりとした指先を包む。


「今年のクリスマスのメニューは何がいい?」

「何でもいいよ」

「そう。じゃあ適当に何か「あっ」……何?」

「あれがいいよ、去年美味しかった、すごい塊のハンバーグ」

「うん、ミートローフな」

「それ」


 もうハンバーグって言わせないように今年はマッシュポテトを塗って焼くか、という気持ちと、この先も『すごい塊のハンバーグ』って言うこの人のままでいて欲しい気持ちがない交ぜになって俺の心を乱すので、あやふやな表情のまま白い息を一つ吐き出す。

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