第二話「嫌な奴」 1-2
施設はとても綺麗にされており、周りの壁は白一色で統一されていた。二人は歩く事5分長い廊下の突き当りにあるエレベーターの前まで着いた。神大はボタンを押し、中に入っていく、それに合わせて仁もついて行った。
神大は25と書かれてあるタッチパネルを押すとエレベーターはゆっくりと降下していった。
「・・・仁。これからこの施設で一番偉い人に会ってもらう。まぁ肩肘張らなくても小粋な爺さんだから楽にしていいぞ」
「はぁ分かりました」
仁は神大の方を見ることなく少し拗ねた顔をしながら答えた。その返答に神大は少し驚いた。
「質問はしないのか?」
「どうせ質問をしてもはぐらかすだけですよね。ならその偉い爺さんに全てを聞きますよ」
「・・・ハハッ!賢明な判断だな」
二人が話しているとエレベーターのドアが開いた。5メートルほどの廊下を歩くとそこには一段と重厚な扉があった。神大は目の前にある機械に何か打ち込む。
「神大隆太です。炎の継承者を連れてきました」
神大は話すと扉がひとりでに開いた。そこには三十畳ほどの広い部屋に何台もの大型ディスプレイ、そして中央に木製の大きなテーブルが置いてあった。そこには忙しそうに一台のパソコンや書類を扱う、初老の男性が座っていた。そして二人に気が付いた老人は手を止めた。
「目を覚ましたか。初めまして仁君。私がここの施設の責任者で総司令官の本郷劔だ。よろしく頼むよ」
「ハッはい!よろしくお願いします」
本郷から感じるプレッシャーに仁は背筋が伸び、こえが裏返ってしまった。
「まぁそんなに緊張しなくてもよい。では早速だが炎の継承者として・・・」
「ちょちょちょ。ちょっと待ってください!神大さん達も話してましたけど炎の継承者とかよく分かってなんですけど!」
仁のその必死の発言に本郷は呆気に取られたが、小さく溜息を吐き、仁から神大に視線を移す。
「隆太?まさかこの子に何も説明しとらんのかね?」
「俺が説明しても、上手く説明出来る自信がないからさ。説明頼むよ爺さん」
神大は頭を掻きながら、バツが悪そうな顔で返事をする。本郷はそんな神大を見て再び溜息を吐いた。そして仁の方を向くと椅子に座りながら頭を下げた。
「仁君、誠に申し訳ない。事情も分からない君をこんな辺鄙なところに説明もなしで連れてこられるなんて・・・」
「あっ頭を上げてください。俺は大丈夫ですから、取り敢えず説明をお願いします」
仁はその姿を見て、慌てて本郷に頭を上げさせる。
「いやいやありがとう。えーっとどこから説明しようか。まずこの施設は日本政府から極秘で作られたJapan,Special,Ability,Forceの頭文字をとったJ.S.A.Fの本部だ」