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ホノオノケン  作者: 海宮 ユキ
第一章 「太陽はまた昇る」
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第一話 「最悪の夏休み」 1-2

 仁が目を覚ますと時計は0時を超え、日付が変わっていた。ソファで寝てしまったせいか体中に少し痛みを感じる。「よっ」と掛け声でソファから立ち上がると一つ伸びをし、これからの事を考える。


「腹減ったな」


 来ていた学生服を脱ぎいつものジャージに着替える。そしてカバンから携帯と財布を取り出す。玄関から外に出ると明日は晴れなのか月が良く見えた。マンションからコンビニまで約10分と少しかかる。その時間は毎日通っていても少し憂鬱になってしまう。そんなことを考えているうちにコンビニが見えてきた。

 コンビニに着くといつもの棚から弁当を取り、レジまでもっていく。


「ありがとうございましたー」


 やる気の無さそうな店員に温めてもらった弁当を受け取り、コンビニを後にする。すると店を出た瞬間、何か視線を感じた。


―なんだ。この感じ?―


 周りを見渡してもいつもと同じ風景しかなく、気のせいかと家路につく。


 帰り道、フラフラと歩く女性が向かいから歩いてくる。スーツ姿で顔を伏せて歩いている

少し気味が悪いなと仁は道を譲ろうとする。だがすれ違う瞬間、伏せていた顔を一気に仁の方を見る。その目は焦点が合っておらず、尚且つ真っ黒な目をしていた。その顔に驚いていると女性は仁の肩を掴む。その力は凄まじく、振りほどくことが出来ず、苦痛に声を漏らす女性はそのまま仁を投げ飛ばす。


「・・・いってぇ」


 仁はこの状況が把握できなかった。見ず知らずの女性に襲われているこの状況、まるでホラー映画の中に迷い込んだようだ。女性はゆっくりと近づいてくる。そしてあと4,5歩というところで立ち止まり、まるで獣のような雄たけびを上げ、人とは思えず、動物的な動きで襲い掛かってきた。仁は倒れた身体を捩じらせ、間一髪、女性の体当たりを避けるそのまま壁にぶつかる。女性はが突っ込んだ壁はまるで車が突っ込んだような打痕が刻まれていた。それを見た仁は冷や汗が止まらなかった。


「やばいぜこれは・・・」


 仁は女性が突っ込んで出来た壁のかけらを両手に持つ。


「いけるのかこんなので・・・」


 女性は壁から抜け出し、仁を見つけると再度、襲い掛かってくる。仁はがむしゃらに壁のかけらをぶつけていく。その行動が功をそうしたのか奇跡的なタイミングで女性の頭に直撃する。


「いてぇぇぇ!」


 だが人とは思えぬ固さで仁の手にとてつもない衝撃が走る。痺れるような痛みにを堪え女性から距離を取る。女性は額からポタポタと血を流し、うずくまっていた。その様子を見て、逃げ出そうと思ったが、耳を劈くような悲鳴が仁を襲う。


「ナンデワタシガ・・・ナンデナンデナンデナンデナンデ・・・アァァァァァァッ!」


 女性は悲鳴を上げると背中から真っ黒な腕が二本生えてきた。その姿をもう人間のモノではなかった。


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