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類型と塩の水

 一階層では既知の五種のモンスターを退けつつ、襲撃が止まった時を見計らって地図を描いて進んでいる。

 今進んでいるのは本道なので地図が無くても迷う事はそうないが、合流階層であれば本道が複数本に増えるため描いている。今のところ本道同士っぽいの分岐は見ていない。



「・・・ふむ」


 どんどんどんどん本道を進んでいると違和感を感じた。ここから二階層目のようだ。



 少し進むと早速未知なモンスターの襲撃を受けた。もちろんまだ二階層のモンスター。難なく仕留めた。

 仕留めると死体の検分を始めた。


「バイルスの類だな」


 四足歩行肉食獣系のモンスターの一種。バイルス並に不味そうな顔だが、バイルスより体は小さく細い体型をしている。


「【バイルス(細)】、ととりあえず名づけようか」


 俺にとっては新種ばかりで、倒してはモンスターの情報も書き込み、情報の集積に努めた。






「これが今日の成果か」


 昼にはダンジョンを脱出し、今日半日で二階層途中までの本道と一部脇道、部屋の地図と一階層で出会った五種、二階層で新たに出会った三種のモンスターの情報を眺めた。


「獣系三、草木系二、岩石系一、虫系一、骨系一・・・か」


 二階層途中までしか行っていないが、多少偏りがあるもののいろいろな種類がいるダンジョンの様だ。これは修練が捗ると好意的に見る事にしよう。


 ただ槍と解体包丁を使う戦闘スタイルから、どうしても堅い相手と相性が悪い。今の所は何とかなっているが、これ以上堅い岩石系モンスターは武器がもたないな。



「モンスターについてはこんなところか。探索については明日はどっちに進もうか?」


 二階層探索途中で、本道同士っぽい分岐を見つけた事から二階層は合流階層だと思われる。

 つまり俺が通って来た道以外の片方が他の出入り口行きで、もう片方が奥行きである。


 いつかはどっちも進むんだが、今はリハビリ中で奥行きは勘弁したい。

 結局のところ、違和感を越えた先でモンスターと対峙して初めてどっちに進んだか分かる博打なのだ。だから今日は本道をそれ以上進まず脇道の探索を行った。


 ただ、違和感を感じたら引き返せばいいので、そこまで慎重になる必要も無いと思い直し、明日はどちらか違和感まで進み、あとは脇道探索をしようと考えている。







 本格的にダンジョン潜りを始めて七日。

 少し困った事態となった。


「うーん・・・これは本物臭いな」


 今日は順調に調子を上げて三階層に突入して二日目である。

 そしてその三階層目を進んでいると、ある香りが漂って来たので、そのままモンスターを退けつつ進んでいくと、見つけたのだ。水を。

 ただし海水。漂って来たのが磯の香りだったしな。


 しかもこの海水、多分本物。つまりダンジョン出入り口から流入して来たものだと思われる。


 ダンジョンの出入り口は場所を選ばない。空中という話は聞いた事はないが、川底や海底なんてざらにある。

 首都のダンジョンも出入り口の一つが都市を流れる川底、つまり水没している。そうなると水がダンジョン内に入り込んで道が水没するのだ。


 ただし、ダンジョン内は一体どういう構造をしているのか、ダンジョンの全階層が全没したという話は聞いたことが無い。半没や水が届かない高さの道が必ずあるのだ。

 空気と水の何々率の差が何とかぁ、とかいろいろ説があるがよく分かっていない。



 つまるところ見つけたのは海水に半分水没した道だ。

 こういう所は次の二パターンある。

 一つが全く何もいないただの海水であるパターン。もう一つが水棲のダンジョンモンスターが住みついてるパターンだ。

 ダンジョンにはちょっとだけ環境弾力性がある事が知られていて、新しいダンジョンなら前者の方が、古いダンジョンなら後者の方がと、ダンジョンのモンスターの種類が長い時を掛けて環境に合わせて変遷するそうなのだ。

 明確にどれ程の期間がというのは専門家でもない俺は知らないが、大昔からダンジョンを利用してきた人は幾つかの知見を持っているのだ。



「さてさて。どっちかなっと」


 静かに佇む水面に石を投げ入れた。着水による波紋が水面に広がり・・・・・・広がっただけだな。


 その後もつるはしで削り取った石を何度か投げ入れたが、どうやら前者のようだと結論を出した。そうなると話は簡単だ。


「ポクー、行くよ」


 ポクーに乗り込み水面と天井の間を浮いて進めばいいだけだ。

 幸い天井も低くは無い。


「順調だな」





 ポクーに乗り半没した道を進んでいると終点が見えてきた。海水が溜まっている所はあまり広範囲ではないようだ。

 途中にあった本道同士っぽい分岐では片方の道が全没していたため、あちらが海底に開いた出入り口方面なのだろう。



 地面に降り立ち再び、モンスターを退け、少し進むと、階層間の違和感を感じた。


「四階層か」


 本道同士っぽい分岐はあの一つだけだったから多分四階層だ。

 階層を越える毎に体が強張る。この階層で俺の力は果たして通用するのだろうかと。


 特に合流階層が怖い。

 ダンジョンにはメインとサブと便宜上呼ばれる合流階層格差があるのだ。端的に言うと合流階層の一つ前の階層との出て来るモンスターの手強さの変わり具合が小さい方がメイン、大きい方がサブだ。


 つまり今通っている、出入り口から伸びているこの道がサブに当たる場合、階層差一つで極端に敵が手強くなる可能性があるという事だ。


 四階層に入り、ちょっと進むと歩くのは止めた。ここでモンスターを待つ事にしたからだ。

 さて、何が出る。







「ふむ。ここは合流なしかメインぽいな」


 何度かモンスターを仕留め、結論を出した。辺りには消える前のモンスターの死体が転がっていた。

 死体の検分はしたいが、流石に四階層といった所で、手強い奴が交じり始めた。

 体感だが討伐ランク2に届くだろう奴もいた。まだランク0や1も交ざっているため何とかなっているが、前後を挟まれたらきつい。


「ここが現状の限界点。・・・ここにしばらく通い詰めるか」


 そう決めると今日のところは帰る事にした。




 再びポクーに乗り海面上を渡り、本道に沿って地上まで帰って来た。


「朝、寒いと感じたわけだ」


 ダンジョンの外に出ると、雪が降っていた。まだ降り始めたばかりのようだが、空を見上げると積もりそうだなっと思った。




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