ここはいづこや
何か・・・・明るい。・・・・・明るい!?
「ぐぅうううう!」
上体を起こした後、痛みに悶絶をしながら・・・・なんか、少し前も似た様な事があった気がする。と思った。
痛みに慣れ辺りを見回すと、光が差し込み薄暗くも周囲を照らしていた。どうやらポクーの中にいるようだ。それに何故か左腕に真新しい刺し傷があり、近くにはドロドロになった血溜まりと刃にべっとり血と脂が付いた解体包丁があった。
「・・・・・・・・・おお。自分で刺したんだったな」
いろいろ思い出した。そしてこれが二度目であった事も同様に思い出し、実は俺は年寄りなのかと少し自分が信じられなくなった。
「ポクー、ここもう少し開いて」
ポクーの壁を叩きながら言うと、今回は聞き入れてくれたようで、僅かに開き光が漏れていた隙間が広がり外の景色が見えるようになった。
「・・・海沿いのぉ・・洞窟ってとこか?」
推測が入るが、どこかの離島だと思う。
「ポクー、降ろして。・・・・もう大丈夫だから」
洞窟に降り立つと、酷く弱り反応らしい反応が返ってこないポクーが、小さくなり弱々しく動き、頭の上に乗った。
「ありがとう、ポクー。ゆっくりお休み」
そう言うと、ポクーの体がへにょんとなり、頭に覆い被さった。
ポクーがここまで弱ったのは初めてだ。空翁めぇ。いや、それ以上に自分が腹立たしい。
あんな二足歩行羽根付きトカゲ擬き如きを連れた老いぼれに負けるとは。なぁにがランク6確定だ。ワイバーンとたった3にか変わらんだろうが。何びびってたんだ俺は。正面からでも・・・裏面から・・・暗・・毒・・・・
次空翁に遭遇した時の作戦を何となく考え、解体包丁片手に洞窟出入り口付近から外の様子を観察した。
外は波音で聞き取りにくいが、何かが羽ばたく音は聞こえず、上空を見るに特に危険そうな奴は飛んでいない。
上空の確認が終わると、出入り口から首を出し周囲を確認した。
ここはやはり離島のようで、海岸線は短く少し離れた位置には別の島が見えた。浜から少し離れて草木が生い茂っている事から、水は沸いていると思われる。生い茂る草木は馴染みがない様な気がするが、モズナン地方等ですら似たようなものなので、経験で何とかしよう。
洞窟内の降り立った場所に戻り荷物入れを漁ると、今まで着ていた血濡れの服を脱ぎ、怪我の処置をし直した。
怪我の処置を終えると、食料を求めて解体包丁と網玉を持ち、いつもより慎重に島の探索を始めた。
「これは手こずりそうだ」
軽く見ただけだが、見慣れた植物は少ない。果たしてどれ程食用足り得るものがあるか。
幸い今のところは脅威になりそうな奴は出てきていない。この状態ではランク1の奴等でも後れを取る可能性があるから運がいい。
たまに小型の奴がこちらを見ては、逃げ出したり遠巻きに見ているが警戒しつつ進み続けると、島の反対側に出た。
「細長い島だな」
ここはどうやら小さな島同士が地続きで形成された細長い島のようだ。島は東西に長く、あの洞窟は島の西側の地域に属するようだ。
浜近くの木陰で採取した食べられるだろう物を食べ、しばらく休憩した。
「しばらくあの洞窟を拠点にするか」
この島の未知。今のところ危険な奴には会っていないが、深入りには危険と判断し、この周囲で過ごすことにした。
方針を決めると、来る時とは違うルートで可食物を採取しながら南側に戻り、浜近くの雑草を刈り集めた。雑草は洞窟の床に敷物用だ。
洞窟と外を何度か往復し、雑草を刈り集め落ち枝を拾い集めた。
そこそこ拾い集めると今日の探索は切り上げ、洞窟内で枝木に火を点け暖をとり、水生成の魔法を行使した。
今回はちゃんと魔法は発動し、その出た水をへにょんとして頭に覆い被さっているポクーにちょろちょろと掛けた。
ポクーに水を掛け終わると、敷いた雑草の上に倒れ込み目を閉じた。
はぁ、しんど。
洞窟生活四日目に入り、昼間は採取に出掛け、それ以外の殆どは洞窟内で体を休めて過ごした。そのおかげか漸く熱も引き、服が少々ぶかくなった気もするが、これからは積極的に周囲を探索しようと考えている。
「ポクー、行くよ」
ポクーはまだ元気がなく、へにょんとしているが返事は返って来ている。だから、あともう少しで復調すると思う。
洞窟から外に出ると夏の日差しがさんさんと俺達を照らし始めた。
今日までの数日でこの辺りの事が分かって来た。ここは所謂諸島と呼ばれる、大小様々な島が集まって場所のようで、この島は東西南北に島がある諸島の内側の方に属する島のようだ。
ただ、空を逃げている時にこんな場所あったっけ?と思わなくもないが、余裕がなかったの視野が狭まっていたのだろう。ポクーが復調すればもう少しはっきりどこかは聞けると思う。
「にしてもここは固有種の宝庫か?」
今まで未知だった領域にも足を踏み入れているが、やはりどこもかしこも、それこそ対岸の地方ですら見た事がないものばかりだ。海で隔たれているとはこういうものなのか? と、大陸が見えないほど離れた離島環境に、少し冒険心が出てきた。俺、これが終わったら大陸から離れた離島を探しに行こうかな? と思うまである。
「おっ、あれは【カッパー】の類だな」
今まで入った事がない領域を歩いていると、歩行樹木系モンスターであるカッパーの類を見つけた。もっとも、カッパーは類型がたくさんいるため歩行樹木モンスター≒カッパーみたいな分類で、その中で有用や危険な種には個別に種族名が付けられている。討伐ランクもランク外から発見しだい討伐隊が組まれる危険な奴までと、範囲が広すぎるのも特徴である。
「うーん。パス」
見つけたカッパーには小振りな果実が生っていたが、見た感じまだ熟れる前のようで、この場を後にした。
それに昨日までに木を削って槍を拵えたので、木材としての価値もない。
カッパーの体といえば長物の柄としてそこそこの人気がある。
普通の森は領主の許可がないと大体伐採禁止となっている。ただし、モンスターについては基本適用外なので、金のない時分は狩って自作したり、材料持ち込みで作ってもらうのだ。
まぁ、俺が投擲した槍は全金属製なのであまり関係ないがな。・・・はぁ、あれ高かったんだがなぁ・・・・・・・




