生きてはいた
本日二話目。
何か・・・・温かい。・・・・・・うん? 暑くね。いや、
「あっ! ぐぅうう!!!!」
いってぇええ!!
しばらく痛みに悶絶し、痛みに慣れてくると辺りを見渡した。
「見渡すもなにも真っ暗なんだが」
ぽむぽむ
ふむ、どうやら今、ポクーの上に乗っているらしい。しかし風が吹いていない。一体ここは何処だ?
てか、俺はなんで怪我してるんだ?
・・・・・・やばい、老人の様だ。思い出せぇ思い出せぇ。ここでポクーに聞くと、俺が老人決定しちまう。だからあとあと。確か、領軍からの依頼で、雨降らせてたんだよなぁ。
それで、えーと・・・・・・・
「おお、思い出した。怪我の原因は推測にすぎんが、確か空翁とやりあったんだったな」
俺が上空で意識を失った後、どうなったか知らんが、どうやら生きているらしい。しかも、服も着てるし、解体包丁もある。つまり捕まった訳では無い。
ただ、腹側がばっさりいってるっぽい。イオロスの爪にでも切り裂かれたのだろうか。
「ポクー、ここどこ?・・・・ポクー・・・・ポクー?・・・・」
・・・おかしい。この手触り間違いなくポクーなのだが、返事が返ってこない。それにお肌の張りが失われている気もする。
張り・・・・!?
「ポクー今すぐ地表に下りろっ! ぐぅうう」
一息にポクーに命令したが、ポクーは動かない。
声を出すだけでも脂汗が出る程の痛みを味わうが、知った事か。
「ポクーもう十分だ。俺は大丈夫だから、もう休め」
真っ暗な中立ち上がり数歩進むと、ぽむんと体が弾き返された。
その勢いで後ろに倒れ込み、突き抜ける痛みにしばらく悶絶したが、這いながら確認すると、どうやらポクーに包まれた小部屋の様だ。
床、天井、壁、全てがポクーに囲まれている。
ポクーのお肌の張りは健康状態を表している。
張りが失われている=魔力欠乏状態だ。野生ならまだしもポクーは俺を乗せるため、魔水をある程度の頻度で与えないと体の強度を維持できないのだ。
本来これ程張りが失われれば俺を乗せる事など出来ないはずだ。無理やり力を出すとどうなるか知らんが、絶対に良くないはずだ。
「くっ、出ねぇ」
魔水を用意しようと、水生成の魔法を行使しようとしたが発動しない。そもそも魔力が湧いてこない。
この状態に聞き覚えはある。
俺は思ったより重傷を負っている様だ。魔的な力に使う魔力は余剰分、その余剰に回せない程衰弱している時、魔法等は発動しない。つまり、実質魔力無し状態だ。
のろのろとだが動き回れる、衰弱とは程遠い状態だと思うが、発動しないとは俺の素養の問題もあるかもしれない。
「仕方ない。仕方ないよなぁ。・・・なんていうと思ったかぁ!!」
這い回った時見付けた小さい方の荷物入れの中の僅かな食糧を呑み込み、リール軟膏を傷口に悶絶しながら叩き込んだ。
「ふっふっふ。ポクーさんやお前に魔力をやる方法が魔水だけと思うなよ」
一本の解体包丁を抜き取ると、何をするのか分かったのか。ポクーが弱弱しくも動き始めたのを感じた。
「おそいっ」
自分でも一体何を競っているのか分からんが、右手に持った解体包丁を左腕に突き立てた。
「っ!・・・・はぁはぁはぁ・・・・・」
左腕から解体包丁を引き抜くと、痛みの中に血が腕を伝って垂れているのも感じた。その左腕を投げ出し、ポクーの床に倒れ込んだ。
「俺より・・先に・・・逝くな・・・よ・・・・ポクー・・・・・・」




