水枯れを救え4
ノカに派遣された俺達二十五班だが、今、俺と兵士の一人ヤヅ一等士はネネン中央部の最初に到着した辺りの集落『ナルキ』まで戻って来ていた。
この村の代官に用があったからだ。
「マトマクス・カザヴェルだ。兵から要件は聞いたが、詳細を教えてくれるか」
この村の代官はどうやら領主の縁者のようだ。
「はっ。お忙しい所ご配慮感謝します。我々ヴィーゼヌ領救援隊二十五班はノカ集落に派遣されましたが、水の確保のためこちらの集落を流れる川から大量の、実際に行うこちらの者曰く、日に数千モットンの取水の許可を頂けないかと参った次第です」
「ふむ。・・許可しよう。後でうちの者に案内させるからその場所で行って貰いたい」
「はっ。ありがとうございます」
「それにしてもそれほど大量の水を運べる者がいるとは羨ましい限りですな」
その者は今、いつもの様に俺の頭の上にいる。
代官の許可も得て兵士に案内され、川辺の集落上流側の少し開けた場所を指定された。
「リト殿。場所の確保は終わりました。後はお願います」
「了解」
「ポクー、やるよ」
この一言を以って作業を開始した。
頭から離れたポクーは空に浮かび上がると同時に大きくなっていき、そして体の一部を触手の様なものに変えると、川にその触手な様なものを挿し込んだ。
これは川の中に何が潜んでいるか分からないため考えた結果生まれた給水方法で、この触手な様なもので水を吸い上げるのだ。
その光景に一等士や案内してきた兵士、何事かとこちらを伺っていた村人が驚嘆の声を上げた。まぁ無視るが。
そして、その触手の様なものを川に挿し込んだままにして、移動を開始した。
「あのっ、リト殿。これは?」
「これがうちの取水方法です。このまま皆がいるノカ集落まで帰りますよ」
一等士を引き連れてノカまで帰っていると、何故か村人も後ろから付いて来ていた。あんたら何してんの?まぁ無視るが。
ずんずん歩きノカまで帰って来た。ポクーから伸びた白い線は川辺の集落上空を横断しここまで伸びている。
そしてなぜか付いて来ている村人が増えていた。てかここの領軍や請負人らしき者も中にはいた。彼等は休憩中なのだろうか?まぁ無視るが。
「リト殿。これは、一体」
拠点付近まで帰って来ると班長及び数人がこちらに寄って来た。
「これがうちの散水方法です」
そう言って腕を上げてポクーに合図を送ると、もう一本触手の様なものが形成されると、するする下りてきた。
下りてきた触手の様なものを掴み、尺屈方向に捻ると、今まで上空をついて来ていて止まっていたポクーが前進を開始した。
この二本目の触手の様なものは操作用で、指で押したり手首を捻って操作する訳さ。
ポクーが前進を開始し、畑の上空に差し掛かった辺りで捻りを戻し、握りを強くした。
そうすると川の方に伸ばした方の触手の様なものが脈動を始めた。
水の吸い上げを始めたのだ。
「うん?どうした?・・・・・・ああいいよ。だけどあまり摂り過ぎないでね。太ったお前を頭に乗せる気は無いからな」
吸い上げ途中、ポクーからの要求を聞き入れる一幕があったが無事水がこちらの方までやって来た。
「では、散水活動を開始します」
特に誰に向かって言った訳では無いが、宣言を行うと更に手を握り込んだ。
そうすると、
「あ・・・雨だ。・・・あめ」
集まった野次馬の誰かのこの声を皮切りに、この一帯に、あとめ、が頻出する歓声が広がった。
雨じゃないんだけどなぁ。雨っぽく放水してるだけで。なんて俺の呟きはこの歓声の中で埋もれて誰の耳にも届くことは無かった。




