検討を重ねる
大体の指名依頼も終わり、発着場の隅でポクーを日よけに絵を描いていると、
「おーい。リトー、なにしてるんだー」
声の方へ顔を向けると、郵便局職員のブランがこちらへ歩いて来ていた。
「やぁ。見ての通り絵描きの最中さ。ブランこそ今仕事中じゃないのか」
「一通り発送は終わったから今は休憩中なのさ」
そう言って絵の見えるこちら側に回って来ると、
「うーーん。・・・ふね・・か?」
「おっ、よく分かったな」
「この辺が船体っぽく見えるからな。それにしても変な船だな」
「ポクー用だからね」
ブランの顔は疑問顔に変化した。
「まぁ、見てて。ポクー、フォルムチェンジ、傘」
俺の上で日よけと化していたポクーの形が変化し始め、傘っぽくなった。
「おおぉ。・・・・面白れぇ」
「面白れぇって。・・どう、凄いでしょ。完全再現は無理だけど、っぽい形にはなれるんだ」
ポクー製の傘の柄を持ちポーズを決めた。
「なるほどな。つまり今描いてる変な船もいつかはって事か」
「そゆこと。没案もあるから暇をみてはいろいろ試してるのさ。つまり、可能性の模索さ」
「ほぉ。ただの魔水マニアでは無かったという訳か」
「お前も魔水の値段知ってるだろ。それなりに稼ぎ出す努力は必要なのさ」
「理由が俗っぽい。まぁ出来たらその内見せてくれよな」
そう言ってブランは仕事に戻って行った。
俺が今日絵描いているのは、前のメイヤーさんの依頼時の鉢の形に替わる新フォルムの検討だ。
風で揺れているため今は帆船をモチーフに描いている。風を無理に抑えるのではなく味方につけるという理念を基に帆船を選んだ。
ただし水上で使う帆船をそのまま再現すると、風が吹けば空中では縦回転するため帆の大きさや、帆を張る場所自体を両側面に配置したり底面に配置したりと、水上帆船とは一線を画した船になっている。
「うーん、こんなもんかな。ポクー、下りてきて」
一通り描き終わり、地面に下ろしたポクーに向かって更に、
「ポクー、ぐにゃぐにゃぁ」
そう言ってからポクーの一部を手で押すと、少しの抵抗の後その一部が凹んだ。
次に指で摘まみ引っ張ると、その部分が伸びた。
新フォルムはこうやって粘土の様に形を変形させて作っていくのだ。
そして完成後に名称と共にポクーに覚えさせると、その形をある程度再現してくれるのだ。
ポクーはすごくお利口な子なのさ。それなのに俺以外にミニメソを連れている者は見たことが無い。
一体ミニメソに人気が無いのは何故なのだろうか?




