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空浮ぶ請負人が過ごす日々  作者: チカさん
第四章 今夏は水枯れのもよう
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人序で助け

「はー、今日も良い天気だ」


冬のダンジョン潜りも終わり、今は放浪中だ。

今回は稼ぐ気も無いため日がな一日ポクーの上で惰眠を貪ったり、訓練に費やしたりしている。



 今日もいつもの様に惰眠を貪りテキトーに周囲を見渡していると、


「うん?・・・・面白い組み合わせだな」


眼下に争っているモンスター達が映った。

空にいればたまに見る光景だが、その組み合わせがバイルスの群れと【ロロトル】一匹なのだ。

ロロトルは一部違うが人型の岩石モンスターなのだが、バイルスは肉食でロロトルは魔食、特に空気中の魔力を糧にしているモンスターで食性が違うから争う理由が分からん。


「ロロトルに食う箇所なんてないだろうに」


この一言がこの状況の意味不明さを表すのに適当だ。

岩石系モンスターは一部を除いてとても穏やかというか独立独歩というか、基本はただただ徘徊しているだけ、もしくは止まっているだけなのだ。


「たまたまバイルスの尻尾でも踏んじゃったのか?」


確率としてはかなり低いが、そうでもないと争う理由が分からん。まぁともあれ、理由は分からんがどうなるか見物しよう。



 バイルスの群れはロロトルを包囲し、たまに一匹二匹が仕掛けているがロロトルの腕に追い払われている。

ロロトルは長大進化種と呼ばれる経験を積めば積む程大きくなるモンスターだ。そのためいくらかの大きさごとに討伐ランクの指標が定められているが、周りのバイルスの大きさからして、あのロロトルは俺より少し大きい位。討伐ランク1かな。


モンスターの討伐ランクは基本的に最も多い近接で刃物を使う者に重きを置いて付けられるんだが、岩石系モンスターは基本的に依頼を受け、それ用の用意をしてから挑むから討伐ランクが低く見積もられる傾向にあるんだよな。

だから互いに討伐ランク1、しかもバイルス側が群れなのに膠着状態なのだ。



「にしてもなんであのロロトルはあの場から動かんのだ。・・前傾姿勢。足は既にやられたのか?」


その瞬間を見れなかったのが悔やまれるが、詳細を見るため双眼鏡で覗くと、


「・・・人じゃね。あれ」


ロロトルの下から靴がはみ出ていた。


漸くバイルスがロロトルを争っている理由に得心がいった。つまりあのロロトルは使役されているモンスターという訳か。

そういう事ならロロトルの動きも何かを守っている様に見えなくもないな。


他の人はあの近くにはいないみたいだし、モンスターを使役する者同士のよしみで助けてやるか。



 件の場所上空に到着し、降下しつつ荷物入れから包装した小瓶を取り出した。


「これ臭いんだよねぇ」


この小瓶にはバイルス用ではないが利くモンスターも多い液体の忌避剤が入っている。服についたら洗うより購入した方がましな程の一品だ。

ちなみにこれの原形は香水だったそうだ。作られた当時はそこまででは無かったそうだが数奇な運命を辿った香水のなれの果てだ。



 降下を続け、バイルス達が俺達の存在に気付いたがそのまま降下し続け、ゆうに声が届く範囲に入った。


「すみませーん!救援いりますか~!」


救援時もマナーは大事さ。それにここに来るまで身動きしている様には見えない。

もしかしたら既に亡くなっている可能性もある。

軽微だが普通に眠っている可能性もな。これ位図太くないと野宿って難しいんだよなぁ。まあ既にいい時間だから俺の様に惰眠を貪ってるか昼寝で

「た、たたたすけてください!!」


ふむ、普通のパターンだったか。少々可能性が低い推論をしたようだ。


「りょうかーい。ちょっと臭いけど我慢してね」


そう言ってから息を止め、小瓶の蓋を空けてから地面に落とした。小瓶は草原じゃたまに割れない事あるんだよね。だから仕方なくだ。ちなみに蓋も一緒に落とした。


小瓶が地面に落ちると直ぐに効果を発揮し、包囲していたバイルスが「くさっ!」逃げて行った。相変わらず素晴らしい効果だ。

これで救援成功だな。



「ロロトルの下の人~。もうバイルスは逃げましたよ~」


そう言うともぞもぞロロトルの下から人が出て来て、立ち上がると走って逃げた。小瓶の風下からな。




 バイルスに襲われていた人と対面した。俺は未だに浮いているが。


相手は俺より若いっぽく、少々きつめな目をしているが美男子といえるような人物で、後に控えているロロトルは見立て通りの背丈だったが、一部交換処理をしていた。

交換処理とは岩石モンスターなどの一部モンスターは肉?体の一部を交換できるのだ。ロロトルは確か胴体の石以外はその辺の石が魔的な力によって引っ付いてるだけだったはずだ。

ちなみに、この原理を研究し人の技と落とし込んだのがパペッターやグルーラーなどが使う技能の始まりといわれている。


「やぁ。大丈夫だったかい」

「・・・臭かったですが、なんとか」

「それはなにより。君の相棒に感謝するんだね。じゃねぇ」


そう相手に告げると上空へ、


「待ってください!」


上がる事は出来なかった。


「うん?何?」

「その、あなたは何も求めないんですか」

「ああ救援時の謝礼の事か。今回は別にいいよ。あの臭いのだってやっすいし。ただ」

「・・ただ?」

「・・・いや、何でもない。拾った命だ、大切にしろよ」


そう言い残し上空に戻った。




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