帰って来たギルド
しばらく放浪してはたまに村に寄り、を続け久しぶりに拠点であるウリスタニアに帰って来た。
「次の者」
門番が禁制品や武器などの密輸を取り締まっているため都市に入るのはそこそこ時間がかかる。
俺は請負人なので武器の携帯、モンスターの所有がある程度許可されている身分だ。身元は請負人ギルドが保証してくる。だからその保証が切れない様ある程度ギルドに対して貢献しないといけない。つまりノルマがあるのだ。まぁぶっちゃけ税金+αだ。
今年の分は既に一括で納めているため今は来年分を貯めている段階だ。
「次の者」
俺の番だ。
請負人ギルドのギルドカードを提示すれば終わりだ。
「リト?・・・・・・・」
何やら門番が頭を指でつつきながら考え始めた。
俺、何かやったっけ?
「どうした」
違う兵士がその考えている門番に話し掛けた。
「班長。実はこの者の名前がどこかで引っかかってるんですよ」
班長と呼ばれた者はギルドカードを見て俺を見て、
「ふむ、リト殿か。・・・確か随分前の盗賊討伐に関する報奨金が未受け取りだったはずだ。詰所に来るように」
「・・・ああそう言えば詰所に受け取りに行くの忘れてたな」
そういや前帰って来た時には盗賊を幾人か引き連れて帰って来たんだったな。
盗賊は生け捕りにすれば、通常報酬以外にも報奨金が出される、その精算に少し日が掛かるため、受け取る前に出たんだったな。
門を抜けしばらく歩いた先にある詰所に入った。
「こんにちは」
「久しぶりですねリトさん。今日はどうしました」
門番とは違いここの詰所の人とはある程度顔見知りだ。
「前の盗賊関係の報奨金を受け取りに来ました」
「・・覚えてましたか」
「いいえ、さっき門番の人に聞くまで忘れてました」
受付の人は舌打ちをして奥に入って行った。忘れていた方が期限もあるしあちらにとっては良かったのだろう。
遅いからって着服とかはしてないよね。
着服はされていないだろう金を受け取り、今度は請負人ギルドにやって来た。
うーん、久々だな。
中に入ると時間が時間だからか閑散としていた。
「あらぁ、初めて見る顔ねぇ。一体何処をほっつき歩いてたのかしらぁ」
「初めまして、リトと申します。このギルドにこんな美人な受付が居るなんて。たまにはホームに帰って来るものですねぇ」
「リト~。ひと月位前にも聞いたようなセリフです」
「毎回ネタを考えるの大変なんですよ、なぁポクー」
「リトさん!!このひと月依頼も受けずに一体何処に行っていたんですか!!!」
「風に誘われるままに、まるでたゆたうミニメソの如く」
「また物理的に彷徨っていたんですね!いい加減にしてください除名しますよ!」
「横暴だ!それにギルド員除名はサブマスター以上の権限でしょう、受付ごときにそんな事出来るわけないじゃん」
「私はギルドマスターです」
「そうだったぁー!この零細ギルドはギルマスですら受付に座る程零細だったぁー!」
「零細零細言わないでください!!」
俺がこの都市で籍を置いている請負人ギルドはここパッソルト総合請負人ギルド。そしてこの受付に座るこの人はこのギルドのギルドマスターのピリアンさん。
前に居た片田舎の町にはそこそこ大手のギルドが一つしかなく、登録時からそこに籍を置いていたが、このウリスタニアは大都市なだけありギルドが複数存在するのだ。そして前のそこそこ大手のギルドはこの都市には支部を置いていなかったため、幾つものギルドの説明を聞いて回りここに移籍したと言う訳だ。
大手や中堅は厳しい規則やノルマを課しているところも多く、自由を愛する俺には息苦しく、中小や零細を回った結果だ。
「中小?」
「・・目指して頑張っています」
「陰ながら応援しています」
「あなたも頑張ってくださいぃー!そもそもリトさん、このギルドの顔役の一人でしょ、もう少しその自覚を持って行動してください!!」
「そう言えば入って来た時、時間が時間だから閑散としていると思ってましたが、元からこうでしたね」
「ん~~~」
帰って来たギルドはいつも通りでした。
一話1000~3000文字で投稿していく予定です。(基本的に)




