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空浮ぶ請負人が過ごす日々  作者: チカさん
第三章 ダンジョンと呼ばれるもの
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ダンジョン採掘1

 俺達はもろもろの準備が終わりダンジョンの中へ突入した。

出入り口の穴から少し入ると、


「!?・・これは」


ネロ少年が驚き足を止め、カビト少年も一瞬立ち止まった。


「はい、止まらないでねぇ。行きながら説明してあげるから」


ダンジョン内は篝火が焚かれその付近だけ少し明るい。

本当はダンジョン内は真っ暗闇なのだが、この時期は人が多く入るから篝火が置かれている。脇道に逸れれば別だがこの本道は目印になるくらいの間隔で置かれている。


各班に一人松明を持ち一班を先頭に、三班、鉱夫達、二班の順番で洞窟内を進んでいる。現在採掘している組の採掘音が反響してとてもうるさく、俺達と同じように一輪車を押して同じ方向、対向する者とすれ違う。



「さて、先程の違和感についてだが」


ネロ、カビト少年の視線を受けている。なぜかラムも見ている気がする。


「実は俺達もあの違和感の正体は知らないんだ。ただあそこが地上とこのダンジョン内を分ける境界で、あそこからしか出入りが出来ないんだ。だから入った今となっては天井を掘ったり壁を掘ったりしても地上へは出られないという訳さ。ちなみに、一階層や二階層と呼ばれる階層というのは出入り口以外にも違和感を感じる場所があってそれで分けてるんだ。

まぁダンジョン全体を家に例えるとあの違和感は部屋の扉ってとこかな。俺達は今家の中へ入り一番手前の部屋を次の部屋まで歩いている途中だ」

「何その例え、おもしろーい」

「一班の班員さん。あなたは警戒して進んでください」

「だってまだ何も出て来てないんだもん」


モンスター自体は既に出ているんだが、俺達より前に入った組が倒してこちらまで流れて来ていないのだ。あの前の組が脇道に逸れてからが本番だな。


「リトせんせーしつもーん」


・・ライツさんが別に気にしてないみたいだから。まぁいいか。


「一班の班員さん、何ですか?」

「その変な呼び方はいいとして、なんで篝火が消えてないんですかぁ?確か幻体じゃなくても置いといたら消えるんだよね」

「ええ消えます。ただし地上から持ち込んだ物は幻体に比べ消えにくいんです。それに消えるのは全く動かない物で、補充の度に篝火台を少しずつずらせば消えないという訳さ。ちなみに幻体や採れた鉱石には関係がありません。それ等は時間が来たら動かしていても消えます。消える理由や原理を解き明かしたという話は聞いた事が無いので聞かないでください」

「ホント不思議なばしょ~」


ああ、謎だらけの不思議な場所だ。一体いつからあったのか、その理由なども全く分かっていない。ただ資源が取れるから利用はしているが。


それにダンジョン内のモンスターについても謎だらけだ。

こんな暗闇でも問題なく生息出来ているし、肉食と草食がごっちゃで襲って来たりする。しかも食糧目的ではないときた。地上周囲と生態系も違う事が多いしで本当にどういった法則で成り立っているのやら。


「も一つしつもーん。最下層には何があるんですか?」

「ここのダンジョンは未踏破だから分かりませんが、踏破されたダンジョンには何も無かったそうですよ。ただ最下層ではなく最深階層という表現を使いましょう。ここの一階層は緩やかに下ってますが、階層によっては上っていたりしますから」

「こまかーい」


「ラム。そろそろモンスターに当たってもおかしくない辺りだ。警戒しろ」


ラムはライツさんに言われ武器に手を置き進みだした。

そろそろばらけ始める二階層か。一階層はこの時期は人が多すぎるため最初から場所を探す気が無い。時間は有限だからな。



 違和感を感じる場所を越え二階層に入った。


「篝火が・・・・」


二階層からは篝火が置かれていなかった。格差を感じるぜ。


「明かりを増やせ」


灯す松明を追加し、地図と採掘音を頼りに目当ての採掘場を目指した。



「この先本道から左に逸れるぞ。逸れるなよ」


ダンジョンの洞窟エリアは本道、脇道、部屋と便宜上分けられている。

本道は階層間を通る比較的道幅が広い道の事で、この道を通っていれば現在の階層から脱出できる。出入り口行きか奥行きかは別だが。

脇道は本道以外の道全般。部屋は本道や脇道の途中などにある道に比べて広い空間で、普通はこの部屋で採掘作業をするのだ。




「ここは、・・やめとくか」


モンスターを退けつつ、他の同業者がいる部屋を避け、誰もいない部屋に入ったがライツさんの判断は、否。

入った部屋の中はあちこちに採掘穴が空いていた。前に同業者が掘ってからあまり時間が経っていないようだ。

資源は再生するのだが再生速度自体は凄く早い訳では無いのだ。ただ、これほど穴だらけという事は俺達の数倍の人数でここを掘ったのだろう。




「よし、ここにするか」


運良く二ヵ所目の部屋は可の判断がくだされた。何ヵ所か穴が空いているが先程の部屋より随分少ない。


「三班は設営を、二班は部屋入り口で防衛に入ってくれ。一班は運搬が始まるまで休憩だ」


まずは部屋中央の篝火台を組み立て火を灯した。

これは作業中という意味の篝火でこれで同業者は基本的には入って来ない。角部屋で無かったら話しは別だがここは角部屋だ。


後は指示に従い壁付近にも篝火を設置した。



「では始めてくれ」


つるはしを使い鉱夫八人が壁の採掘を始めた。

始めはこんな感じだが、途中から鉱夫達も三組に分けて採掘、運搬、休憩のローテーションを組む訳だ。


採掘作業が始まるとポクーに載せている火のついた蝋燭を見た。

この蝋燭は時計だ。一本で鐘一つ分の時間燃え続ける。ダンジョンに突入した時からつけていた蝋燭はまだあまり短くなっていなかった。二ヵ所目で見つかったのが大きいな。


採掘はライツさんと鉱夫達に任せ、


「ネロ、カビト。来てくれ」


二人を大声で呼び寄せた。


「何ですか?」

「・・・・・・」


「俺達三班の仕事は何か覚えてるな」

「はい。明かりの設置、火を絶やさ無い事、食事の用意、休憩場所の設営」

「そうだ。明かりの設置は既に終わった。補充もまだしばらくいらない。だから次は休憩場所の設営だ。部屋中央の篝火付近に設営してくれ。二人が設営している間、俺はちょっくら竈用の石を掘って来るから」


つるはし片手にテキトーな壁にやって来た。


「いちいち竈用の石も掘らないといけないのが面倒なんだよなっと」


何度もつるはしを壁に突き刺し、落ちた石の中でそこそこの大きさの石を使い竈を組み始めた。




「思ったより楽ねー」


竈のすわりの調整をしていると休憩中のラムが話しかけてきた。


「一班の班員さん」

「何でその呼び方。いつも通りでいいわよ」

「はぁ。ラムよ。お前は休んでいろ」

「だって暇なんだもん」

「運搬が始まれば嫌でも忙しくなるさ」

「でも思ったよりダンジョンのモンスターって大した事ないみたいだし」

「二階層に出て来るモンスターはほとんどがランク0で僅かにランク1が出る程度だ。ランク1といっても1.2までだったはずだ。お前一人でも補助無しでギリ何とかなる奴等だ。ただ長丁場だから油断すれば狩られるぞ、モンスターにも人にも」

「はいはい」

「ああ後冬の間は人が多いから運が悪かったら三階層に進む事もある。三階層はモンスターが強くなるし、人が少ないから遭遇率が跳ね上がるな。ライツさん達ならまだ余力を持って退けられるが、お前は死ぬ可能性があるから慣れてきたら戦闘に出させてもらえよ」


「あの、リトさん休憩場所の設営が終わりました」

「分かった。ほらラムよ、しっしっ」


ラムを追い払い、ネロ少年達が設営した休憩場所の具合を確認をして、


「うん、十分だな。では料理と参りますか」


竈も組み終り荷物入れから調理器具と食材を出した。

洞窟内は普通に寒い。休憩場所には焚火も置いているが、何か温かい物を一品は作った方が心情的に良い。


「ポクー、水」


ポクーに貯めさせておいた水を鍋に注ぎスープ作りに取り掛かった。今日のスープはみんな大好き『ポイポイ』だ。家庭毎に味が変わるがこの国では昔から定番のスープだ。




「では行ってくる、マルクあとは頼んだぞ」


採掘した鉱石が一定量に達したので、四台の一輪車に積み込まれ、地上に向け一班と一輪車を押す四人の鉱夫が地上に向けて出発した。


順調にいけば、時間が来るまで班をローテーションしながらこれを行うのだ。




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