ダンジョンへ
月日は流れ冬も目前。俺は今冬はダンジョンに潜る事にした。
今、パッソルトギルド併設の食事処の一角にダンジョンに潜りに行く請負人達が集まった。リーダーはライツさんだ。
「皆聴いてくれ、今回集まったメンバーを確認する。イルジ、マルク、ポーザ、リト、ラム、カーサ、ネロ、カビト、それと俺を入れて九人だ。この九人で事に当たる。ネロとカビトは新たにこのギルドに迎えた新人だ。この二人は主に採掘地での支援に就いてもらう。
潜り始めは二の鐘からで場所は第七。日の出前の早い時間だが寝過ごすなよ。叩き起こされたくなければな。
後は班決めだな。ラムとカーサはダンジョンに潜るのは初めてだから別の班として、班長は一班は俺として、二班はマルク、三班の支援班はリト。ここまでで異論はある者はいるか?」
異論は出なかった。俺も既に打診があったから承諾済みだ。
「後は班員だが、…………」
話し合いの結果、一班がライツ、ポーザ、ラム。二班がマルク、イルジ、カーサ。三班がリト、ネロ、カビトとなった。
ラム達も盗賊とやりあったって聞いたし、もうあの頃のラム達じゃないんだよな。若者の成長は早いな。
「リトだ。よろしくね。ネロ、カビト」
「よろしくおねがいします」
「・・・・・・」
二人ともライツさんが買って来た少年達で、本来はギルドの最低年齢に引っ掛かり入れないが、見習い制度という制度で入れた請負人見習いだ。
見習い制度は師が面倒を看る事を条件に最低年齢を下げる事が出来る制度だ。
村の生活は厳しいから困窮する家庭は子どもを手放す事も多く、二人もその口である。買うのは大概人材派遣商か奴隷商だが、たまにライツさんの様な個人が買う事もある。
「あの」
「うん、どうした?」
「その頭の上のは」
「これは俺の相棒で、ポクーって名前のミニメソだ」
「相棒?ミニメソ?」
「端的に言って雲のモンスターだ」
ミニメソって空を見上げればそこらを漂ってるんだが、雲と見分けが付かなくて、認知されているかは微妙なモンスターだ。俺の出身村は俺と一緒にいたから認知度は高かったが。
モンスターと聞きネロ少年は動きを止めた。変わった帽子とでも思っていたのだろうか?
「手を伸ばすなよ。こんな見た目でもバクッといかれるぞ」
ネロ少年は俺から距離を取った。
「リト~、止めなよー」
「止めるなラム。ミニメソを怖がってくれる人なんて希少だ。今しかないんだ」
「何が今しかないよ。ポクーちゃんランク外の無害なモンスターでしょうが!」
「あ~~。ラムのせいでミニメソ恐怖症を発症させられなかったじゃないか」
「ミニメソに恐怖なんてする訳無いでしょうが」
ほぉ。
「・・・そうなんだ。へーー」
「な、何よ」
「ラム。外へ行こうか」
「はぁ?」
「君を世界一高い場所へ招待してあげる。なぁに遠慮はいらん。ただこのミニメソの乗ってればいいだけさ」
ラムは逃げて出した。
「いきなり逃げるとは失礼なやつだ」
「あ、あー。今いいか?」
「ライツさんどうしました?」
「荷物関係のことだ」
「あぁそうですね」
打ち合わせから二日後の二の鐘が鳴る前、俺達は第七出入り口を囲む門の前に集合した。
メンバー四人は一輪車を押し、俺は篝火台に使う器材を背負ってい、複数のつるはしやピッケル、シャベルはポクーに載せて来た。
「やはりここまで来ると音が気になるな」
今はダンジョンに最も人が入っている時期のため、こんな日も出てない時間でも採掘した鉱石を貸集積場に積んでいる音が聞こえる。だからダンジョン出入り口付近は倉庫か低所得者の家、安宿ばかりだ。
門を抜け堀に架かる橋を渡り、建物の中へ入った。
ダンジョン出入り口を覆う大きな建物だ。中には様々な店が入っている。
ここ第七出入り口を囲むこの建物には道具屋、人材派遣商、買取屋、宿屋、酒場、砥ぎ屋が入っている。店ではないが兵の詰所もな。
建物の中は篝火が焚かれ、ある程度視界が利いている。
「ライツの旦那、何人ご所望で」
「十二」
「承りました」
人材派遣商だと思われる商人が壁沿いから歩いて来てライツさんに問い掛け、回答を得ると扉の中へ消えて行った。
少しすると、その商人と二十人の鉱夫の格好をした者達が現れ、ライツさんがその二十人の中から十二人選んだ。
今日の鉱夫達は彼等と言う訳だ。
少し待っていると鐘の音が聞こえた。二の鐘だ。
そしたらライツさんが受付に行き計二十一人分の通行料を払い、焼印の押された板を二十一枚受け取っていた。
あれは鐘が四回鳴るまでダンジョン出入り口に入るのが自由という証だ。だから鐘が鳴るまで待っていたいのだ。証明証は出入り口から入る度に確認されれるため、貸集積場への運搬して来た者達は携帯しておかなければならない。
まぁ俺を含む三班は一度入ればそれっきり中で過ごすから関係ないがな。
貸集積場も借りいよいよ久々のダンジョンだ。




