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空浮ぶ請負人が過ごす日々  作者: チカさん
第三章 ダンジョンと呼ばれるもの
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ダンジョン 溢れる

 ダンジョン騒ぎでの歪みも鳴りを潜め始め、そろそろ外へ行こうかと考えていた日の事。


「増援要請?」

「はい。リトさん、第七鉱山からモンスターを追い出したのはご存じですよね?」


首を縦に振り話を肯定した。


「ですが正確には第七出入り口からの三階層までなんです。追い返された分が他の鉱山に出没するようになりました」

「そりゃあ分かるが、そんな事分かり切ってるだろ。俺達よりダンジョンに詳しい連中がいるんだから対策はしてるだろう」

「はい。それはそうなんですが、第八どころか第九にも出没してるみたいで人員が不足気味な様です」

「珍しい・・んだよな?第八は第七の四階層で繋がってる近所だから分かるが、第九は六階層だったか?」

「はい。正確には第七第四階層と第八第四階層が同じエリア。第七第六階層と第九第七階層が同じエリアです。それに地上の第七出入り口と第八出入り口は余り離れてませんが、第九出入り口はその二つから獣車での移動を薦める程に距離があります」

「ふーん」

「まだ具体的な被害は挙がってませんが、用心のため戦闘が出来る者に声掛けをしております」

「要請と言ってるが強制ではないと」

「はい。既に緊急事態は脱していますので、報酬の方が・・」

「まぁそうだな。働いてるのは鉱夫や請負人が多いが持ち主は領主だからな。領主が報酬を払わんことには俺達の出番は無いな」


ダンジョンは領主などが運営していることが多い。

運営方針も人によりけり。領営、領有組織以外は撥ねるところや、一般に広く門戸を広げているところまである。

ここは後者で、出入り口での通行料と鉱石等の採取物に税が掛かる。



 数日後。準備を終え明日から放浪生活をと考えて、宿で寝ていた時の事。

突然警鐘の音が辺りに響き渡った。


その鐘の音に俺は跳ね起きると、装備を着込みオイルランプ片手に宿屋から出た。同じ宿に泊まっていた同業者も同じだ。

何かは分からんが面倒な事態となったようだ。

地上のモンスターが攻めてきた?

ダンジョンのモンスターが攻めてきた?

警鐘が鳴るのは大体こんな時だ。火事とかの時はまた違う鐘の音だ。


緊急時は請負人はギルドに集合。ただし緊急時だから近場のどこでも良い。


もっとも、俺はパッソルトギルド近くの宿屋だから普通に向かった。

うちのギルドは夜には閉まっているがピリアンさん達は近場に住んでいるので似たような到着時刻となるはずだ。

ギルドには緊急用の伝書鳥が来るはずだからそれまで待機だ。

この都市広いから現場から遠ければ情報が流れて来るのも遅く、ギルドに待っていた方が早く正確な情報が入る事も多い。




「皆さん!聞いてください!」


俺と同じようにパッソルトギルドに集まった者とテキトーに話していると、ギルマスが声を上げ、場は静かになった。


「入った情報によりますと・・・第九出入り口でモンスターが溢れました」


それを聞いた者達の対応は大きく分けて三つ。

一つは何も言わず直ぐさま外へ出た者。二つは騒音を発生させる者。三つはギルマスの次の言葉を静かに待っている者。

ダンジョン内のモンスターはたまに地上に出てくることがある。それを溢れると表現するんだが、ダンジョンの出入り口にはその出入り口を覆う様に建物が建ち、堀と城壁に囲まれている。内側から出入り口、建物、堀、城壁の順で、堀は空堀だ。

門が一番抜かれ易いが防衛勢力もそこに集中するため抜かれる事態にはあまりならない。


「つきましては、領軍に交じり防衛行動を開始してください」

「規模や報酬はー!」


俺達請負人の身分は特殊だ。一般的な領民と一部権利や義務の範囲が違う。

例えば納税の義務はあるが徴兵は義務ではないなどだ。

愛国心?郷土愛?そんなものを持ってる者は兵士にでもなるさ。俺達は金で動く。こういう事態では軍に手を貸すのは義務だが報酬が安ければテキトーに流す。


まぁ都市が壊滅する程の災害なら頑張っちゃう者も多いだろうが、ここでゆっくりギルマスの話を聞くくらいの災害で、これはボーナスみたいなものなのさ。



 ギルドで規模や報酬を聞き、第九出入り口に着いても仕事がなさそうだったため、現場の第九出入り口にはいかず、近場の第七出入り口に向かった。歩いて。


これも一応参加義務を満たしている。中で繋がっているからこっちに出てくる可能性も無い訳では無いからだ。まぁ第七から出て来るときは現在潜ってる奴等の生存は絶望的だけどな。


「この前第七が落ち、それで今度は第九が落ちか。ちょっと市場が荒れそうだな」

「そうだな。少しの間離れとくか?首都にももダンジョンあるし」

「あそこ住みにくいんだよなぁ。まぁごたごたに巻き込まれるよりはいいか」


俺と同様に歩いて向かっている者達の話が聞こえてきた。

請負人なんてこんなもんさ。




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