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空浮ぶ請負人が過ごす日々  作者: チカさん
第三章 ダンジョンと呼ばれるもの
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ダンジョン 誘う者と誘われる者1

 ダンジョン。それは不思議な場所だ。そして無限の資源の宝庫とも言われている。

ダンジョンの資源は再生し、例えば採掘の場合、地上の鉱山みたいに崩落や有毒ガスなどの可能性がある危険な掘り進めが必要なく、表層を掘っていればいいので余程安全だ。

そしてウリスタニアはこのダンジョン由来の金属、加工品の輸出で発展してきた都市だ。ゆえにダンジョン鉱山の街という名で呼ばれる事も多い。ダンジョンによって何が取れるかはダンジョン次第。ウリスタニアのダンジョンは主に鉄鉱石が取れる。


ただし、ダンジョンにもモンスターが出現する。

しかもダンジョン内のモンスターは【幻体】と呼ばれれている特殊な存在で、倒すと消える。

つまりモンスター関係で稼ぐ事は出来ず、出来るだけ多くの採掘従事者を引き連れて利益を上げる構成で動いているのだが、モンスターの間引きを怠って良い訳では無い。


今回ダンジョン鉱山を占拠されたのは、つまりモンスターの間引きを怠ったため、増えすぎたモンスターに押し切られてしまったという事だ。

そこそこ由々しき事態だ。

そこそこと言うのは一般にダンジョンには複数の出入り口があり、ウリスタニアのダンジョンには十二の出入り口が確認されている。とされている。まだこのダンジョンは完全に踏破されたダンジョンではないので、中で繋がっていると仮定された出入り口がまだあるのだ。

つまり今回の第七出入り口からの鉱山道、略して第七鉱山が占拠されたとしても他がまだあると言う訳だ。




 数枚に及ぶ討伐、採取依頼を終えギルドに帰って来た。


「お帰りなさいリトさん」

「ただいま。これお願い」


今回の依頼の討伐証明部位、採取品が入った袋をカウンターに置いた。


「承ります」


「今回はどうでしたか?」

「やはり、前から残ってる依頼は厄介でした。・・この依頼なんて結局見つからなくて失敗です」

「・・そうですか。今回は無理を言ってますので違約金はけっこうです。それに評価にも響きません」

「そう。それでダンジョンは終わった?」

「はい、一応は」

「一応・・ね」


採掘で利益を上げるには出入り口から近ければ近い程良い。だから採掘は二階層から三階層が限度だと言われている。つまり、その辺までは押し返したがそれより奥は行っていないと言う事だ。

次はいつ取られるかな?



 酷使した装備を手入れに出して休暇二日目。

今日は生憎の雨だったので利き魔水ツアーは諦め、幾つかの店を回り消耗品を補充していると、古物店の一角には採掘に関係した物が大量に置かれていた。


「店員さん、これは?」

「はい、それはこの前のダンジョン騒ぎの時に流れて来た品です。一式買ってくれればおまけしますよ」


被害とか聞かなかったが相当やられたんだな。





「潜らないかだって」


休暇を終えギルドに顔を出すと、ラムの奴に捉掴まった。


ラムは初心者から少し抜け出した位の請負人で、カーサという者とよくペアで活動している半ソロ半パーティーの者だ。


「そうそう。で、どう?」

「どうも何も、お前にはまだ早い」


ラムのランクはうろ覚えだがランク0後半かランク1前半だったはず。ちょっと前の情報なので仮定がはいるが、階層と人数次第だがダンジョンに潜るには役不足気味だ。


「だからリトを誘ってるんじゃん。ねぇ行こうよ」

「ちなみにお前以外に誰が参加するんだ」

「カーちゃんと鉱夫数人」


カーちゃんはカーサの事で、鉱夫は人材派遣商で日雇いが可能なためパーティー内に採掘従事者がいなくてもダンジョンでの採掘が可能という訳さ。


・・・はぁ。やっぱり気味と言うのが気持ちを逸らせるのかね。

地上に比べダンジョンでの方が一般的に利が良いため金が無い時分は魅力的に映るんだよなぁ。


「お前達二人に付きやってやる理由は無い。勝手に死んで来い」

「ひっどー、どうしてそういう事言うかな」

「ダンジョンは危険地帯だ。お前達だと自分の身すら危ういぞ。それがこなせるようになってから手を出すんだな。というかなんで俺に声を掛けた、ライツさんところの方がまだ望みがある気がするが」

「断られた」

「なら今は諦めるか死んで来い。もっとも、成功する可能性も無くは無いがな」

「諦めないし死にません。絶対成功させてやりますよー」

「それがラムを見た最後の事でした。とさ」

「だから勝手に殺すな!」



 ラムとの話も終わると目の端にギルマスがちょいちょいと手招きしているのが見えたためそちらに向かった。


「何ですか?」

「ちょっとリトさん。ラムちゃんを焚き付けないでください」

「焚き付けてないさ既に点いてたんだよ」

「・・はぁ。どうにか取り止めてくれないかしら」


このギルドは自由を売りにしている。

煩わしい規則やノルマとかも無いかわりに煩わしい福利厚生も無い。身の丈以上の仕事もせいぜい忠告するだけであとは本人の自己責任だ。

だから誰も強制的な事は出来ないのだ。ここは福利厚生の利いた温いギルドではないのだから。


心情は別だがな。


「やっぱり彼女等には厳しいですか」

「二人とも討伐ランク1になったばかりです。総合はもっと早かったんですけど」


戦闘向きでは無いという事か。


「それでリトさん」

「俺はこの後モルツさんの依頼が入ってます。ご存じでしょう」

「まだ日時の交渉前でしょう」

「いやいや、昨日会って日時決めたんですよ。明日の昼からです」

「余計な・・・こほん。こちらでお詫びの連絡を入れますから」

「このギルドのお得意様がまた一人、消えていくのでした」

「そうはならない・・・はずです。どこの菓子折りが・・・こほん。今はラムちゃん達の方が重要です」

「俺は安くないよ」

「分かってますって」




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