都市の日常2
休暇二日目。今日は都市西側の端にある酒場にやって来た。
「いらっしゃい。注文は」
「ボルー工房の等級2、二倍希釈と三倍希釈一つずつ。それと何かつまみ」
注文を言い席に座った。テーブル席にだ。
「ん?リトじゃないか、帰って来てたのか」
「一昨日ね。ブランこそ今日は休み?」
「それはない。うちは年中無休だから」
この酒場は別名『モンスターの宿木』と呼ばれる酒場兼宿屋。俺と同じ様にモンスターを使役する者が良く使う場所だ。
モンスターは大きいのもいるから郊外じゃないと滞在制限が掛かる事もあるんだよ。まぁ掛からなくてもここにはモンスターを使役する者が集まるから情報交換の場として知る人ぞ知る場所だ。
「年中無休はお前じゃなくて鳥達じゃん」
「あいつらが働いてる時が俺が働いてる時だ」
こいつはブランという手紙などの小物専用の郵便配達員だ。たくさんの鳥モンスターを使役して各地に手紙などを届けている。
「相変わらず意味が分からん主張だな。そっちの新顔は?」
「ああこいつ。こいつはゼファー爺さんの後釜」
「ああ、そういや爺さんこの前くたばったんだっけ」
「リト。儂を勝手に殺すな、目の前におるじゃろうが」
四人掛けの丸テーブルには今、俺、右側にブラン、正面に爺さん、左側に新顔という風に座っている。
「爺さんの抜けた穴、頑張ってね新人君」
「モルトです。はい、頑張ります」
「モルトね、よろしく。俺はリト、請負人だ」
この三人は請負人では無い。この三人は郵便局の職員だ。
ここはいろんな職種の者が集まるから気に入っている。
「おまち」
挨拶も終わったところで注文していたものが来た。
「相変わらずの魔水マニアか。ここは酒場だ、酒頼め、そして奢れ」
「酒の味は分からん。それに放浪中は飲むわけにもいかんだろう」
「放浪中?」
「ああモルト。こいつは普段ふらっふらふらっふら相棒と外で暮らしてるんだ」
「そと!外って危険なんですよね。すごいなー請負人って」
「モルト!こいつを基準に考える。こいつは例外だ、れいがい」
「モルトは外へ出たことが無いのか」
「え、はい。実はそこの発着場より向こうには行った事が無くて」
「気にするな。俺だって二回しか出た事ねぇよ」
町で生まれ町で生き町で死ぬ。生涯一度も外に出ず過ごす者も多い。
「と、言ってますよ爺さん」
「ううむ、そうじゃな。今でこそ他の町へ行かんでも目的地へ行ける様に調教出来る様なったが、新路開拓には結局足で向かうしかないからのぅ。そちらの方法も教えておくべきか。そういや南に開拓村が」
「爺さん!あそこは何度も失敗してる場所じゃん。危険だし旨味もねぇよ。おいリト余計な事言うな!」
「悪かった悪かった。爺さんには早々に引退願うってことだな。よおく分かってるさ」
「ほほぅ。ブランめはそんな事を思っておったのか。少々甘やかしすぎたかの」
「リトー!!」
話題が移り、
「それで景気はどうだ」
「そこそこだな。だが最近暑くなって来ただろ。だからあいつらがダウンしてお前等の方に流すこともあるんだよ。だが上の奴等は、お前等の頑張り不足だー余計な出費だーとかぬかしやがる。ちげーって夏の鳥と冬の鳥がいるんだ。紙だけ見てる奴はその辺が分かっちゃいねぇ」
勤め人も大変なようだ。
「そっちはどうだ」
「ふっふっふ。何と、昨日ポクーと利き魔水ツアーをした結果放浪中の稼ぎが半分吹っ飛んだ」
「・・・うわー。ここに馬鹿がいる」
「馬鹿とは失敬な。あっ、これお土産」
「唐突だな。おっこれはまさか」
「リトのお土産といえば干し肉しかないじゃろう」
「そうそう」
「有難くいただくぜ。お前の当たりが多いんだよな」
「リトよ。今回は露店は開かんのか」
「放浪中に売れちゃってね。売るほど持ってないんだ」
こうして休暇二日目は過ぎて行った。
「アイリーンさんおはようございます。仕事ください」
「おはようございますリトさん」
二日間の休暇も終わり、整備に出した装備も戻って来たのでギルドに仕事を貰いにやって来た。
ちなみにギルマスの方は何か危険な気配がしたからこっちに並んだ。
「リトさん、ギルドマスターが呼んでいます」
うーん、なぜ選択肢が収束するのだろうか。




