合同依頼7
エジンバギルドに到着した。
既に夜となっているがまだ業務中だった。
ちなみにうちのギルドはこの時間になる前に業務停止になり閉まる。
「エジンバギルドへようこそ、どのようなご用件ですか」
「定期討伐依頼中のマルイルさんからギルドマスターへ急ぎの手紙です」
そう言って手紙を受付に出した。
「はい!少々お待ちください」
受付の人は手紙を手に奥の部屋に入って行った。
ちなみにうちのギルドは奥の部屋なんてない、なぜなら受付後ろの衝立で仕切られた僅かな事務スペースしか無いからだ。移籍する前から零細だ零細だと思っていたが、この都市屈指の零細ギルドなんだよな。
流石に時間が時間であの受付一人しか居なかったため暇になった。
そのため受付から離れ、依頼ボードの依頼書を眺めた。
一年ぶりにボードを見たな。
請負人が依頼ボードから依頼書を選び、ギルド側が認可してその依頼を受注。そういう方式が主流だ。だがうちは依頼ボードすら置かれていなくて、受付の人との話し合いで依頼を選択し受注する方式だ。ボードから選ぶより人当り遥かに時間がかかる手順だ。だがそれでギルドが回っている。やはり零細だな。
しばらくエジンバギルドに来ている依頼とうちに来ている依頼を頭の中で比較していると、
「お待たせしました」
受付の人が帰って来た。
「それで、ええっと」
「パッソルトのリトと申します」
「リト様ですね。ではエジンバギルドギルドマスター、ヨーライズより言伝を預かっています。
返信に時間がかかる。明日早朝また来て欲しい、だそうです」
「分かりました、早朝伺わせていただきます」
エジンバギルドの建物を出た。
ちなみにあの受付の声真似は中々の熟練を感じた。良い人材を置いてるねぇ。
さてと、宿屋を探さんとな。
翌日の早朝。エジンバギルドの建物に入ると、そこには同業者達が依頼ボードの依頼を吟味していたり受付に並んでいたりした。
うーん、あれ程あの依頼に人員を使っているのにまだうちの在籍数より人数が多いなぁ。と改めてうちの零細っぷり実感していると、
「リト様でいらっしゃいますか?」
話しかけて来たのは、昨日の受付の人とは違うが同じここのギルドの制服を着た女性だった。
「はいそうです」
「どうぞこちらへ」
そう促されるまま奥へ通された。
「マスター、リト様がいらっしゃいました」
「ご苦労、下がってくれ」
女性は下がると、マスターと呼ばれたおっさんは手紙をこちらに渡してきた。
「これをマルイルまで急ぎで頼む。この分の報酬は往復で10ティカでどうじゃ」
礼をして下がった。予想より奮発してくれたな。たまに受ける他都市への配達依頼でも手紙だけではここまで報酬は良くない。まぁあっちは通常航行だけどな。
さて、帰りも全力だ。
侵攻四日目の昼前に本陣まで帰って来た。
マルイルさんが一人の時しか接触しても手紙を出さない方が良いな、と考えながら本陣陣地内に入ると、
「リト」
また小声が。
声の方を向くとやはり昨日と同じ人物が手招きをしていた。
「こちらです」
「うむ、では報酬の件はしっか」
「それはギルドマスターから既に」
「うむそうか」
そう言い残し離れて行った。
大変だな守役は。
パッソルトに割り当てられたテントから荷物入れを出し、中身を確かめてから再び通常任務に就いた。




