わたしにとっての詩の書き方
わたしにとっての詩の書き方をまとめてみようと思って、この小説を始めます。結果どうなるかわかりません。うまく表現できるかどうかも分かりませんが、最後までお付き合いいただければ嬉しく思います。
『小説家になろう』では、少なくない数の方が詩を書いておられます。詩を書くことは楽しいことでもあり、また同時に苦しいことです。それは、詩人とは自分と世界に真っ直ぐに向き合うものだからです。だから、この苦しみとある種の解放に満ちた詩のことを書いてみようと思ったのです。
わたしも拙いながらも詩を書いています。評価はともあれ、書かざるをえない思いから書いています。どうしても言葉が生まれてくるのです。突き刺すような感傷的な感覚が、痺れ広がるような世界への拡散がわたしに詩を書かせるのです。
だから、どうやって詩を書いているかを問われると、わたしにもはっきりとは分からないままです。けれども、作品を書こうと思ってPCに向かうとき、わたしの中になにがしかの塊があります。その塊をほぐそうとして、または包もうとして言葉を探します。やがて言葉が流れ出てきてまとまっていき、一つの作品になります。
それは、確かにわたしが作り出したものでありますけれども、一方では何かに手を貸されて作ったものでもあります。その何かとは、温めていたイメージであったり、ある音楽の旋律であったり、誰かの印象的な場面であったり、わたしではない外側からもたらされたものです。
少し前までわたしは、詩作とは自分自身の屈託を掘り下げていき、普遍的な無意識との接触で何かを得ることだと思っていました。今もどこかではそう思っていますけれども、それよりもずっとありふれたことの素晴らしさ、不思議さを掘り起こすことを通して自分自身を透かすことのほうが、よりいいのではないかと思い始めています。
それでは、実際に何か作って見ます。
まず、着想は「ねじ回し」です。
ねじを巻く音があります。
ゼンマイ仕掛けの何にしましょうか。
オルゴールにしましょう。
どんな曲にしましょうか。
蛍の光にしましょうか。それともカノンにしましょうか。それとも……
まとまって来ました。そろそろ書き出しましょう。
「」題名はまだ未定です。
一連目。オルゴールの音の響きをイメージします。寂しい美しさです。
二連目。蛍の光が流れます。ゆっくりとした落ち着いた日本語です。
三連目。ねじの回るイメージです。これもゆっくりとしています。
四連目。カノンが流れます。わたしの好きな曲です。繰り返しが美しい。
五連目。追憶とねじと旋律が繰り返されるイメージでまとめます。
短い詩が出来ました。題は「追憶のねじ」です。
「追憶のねじ」
美しい
オルゴールの調べは
寂しいほどに響く
蛍の光 窓の雪……
ゆっくりと
追憶のねじが戻る
華やかな調べに
哀切が満ちる
ゆっくりと
繰り返される
思い出になっていく
如何でしょうか。この詩への評価は一先ず置いておいてください。それよりも、わたしの詩を作る実際を著わしてみたかったのです。皆様は、どのように作っておられるのでしょうか。わたしはやっぱりイメージ先行です。映像や音声があって、そこから言葉が流れ出てきます。わたしから出てくる言葉には、どうしたってわたしの欠片が含まれています。だから、出来るだけ自然な言葉運びにしたいと最近では思っています。
最後までお付き合い頂き有難うございます。
この小説が、読んで頂いた方のなにがしかになればと思い、恥を顧みず書きました。孤独な詩人の魂へのせめてもの慰みになれば、望外の幸せです。