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夏花火  作者: 藍蜜 紗成
3/4

こがれて

 つぎの日に《しょうた》は寝ぐらのそばにきた。


「コン、おいで。 お前の名前せっかく金なのに汚れてるぞ。 洗ってやるよ」


『きゅん?』


 抱っこされてそのまま水の中に入れられた。 怖くて目つぶって固まってたら。


「あれ? 暴れないな? いい子だなコン」


 《しょうた》が優しい前足で撫でてくれた。 怖かった水の中もなれたら気持ち良かった。 だってお日様あっついからね。


 洗い終わったら《しょうた》が獲物をくれた。 《あぶりあげ?》なんかそんな名前の黄色いへんなあじだ。 《しょうた》は弱いんだな。 あとでコンがネズミを捕ってきてやろう。


 《しょうた》と毎日いっぱい遊んだ。 コンは《しょうた》が大好きだ。


 風が少し寒くなってきた。 《しょうた》が《なつやすみ》おわったからいなくなるんだって。 《しょうた》は《びょうき》だからまた《なつやすみ》《はなび》のときねって。


 またね、っていなくなった。 《しょうた》がいないとつまんない。 《しょうた》がいないとさみしい。



 寒いふゆがきて、お花のはるがきて、お日様のなつがきて《なつやすみ》《はなび》の日に《しょうた》はきた。 嬉しい! 嬉しい!! 嬉しい!!!


『きゅん! きゅん!! きゅん!!!』


「コン! 大きくなったな!」


『きゅん!』


 まぁね! でも《しょうた》は小さくなった?


「さぁ遊ぼう!!」


『きゅん!』


 《しょうた》がいると楽しい! 《しょうた》大好き!! それからまたたくさん遊んだんだ。 いっぱい遊んで、笑ったんだよ! でも風が冷たくなると《しょうた》はいなくなった。


 コンはちょっと大人になったけど、《しょうた》がいないとさみしいんだ。 でも《はなび》まで我慢

 《なつやすみ》にあえる。


 寒い冬が来てお花の春が来て、お日様の夏が来る。 コンはまた大人になった。 そして《花火》の日

 暗い夜空に光のお花が咲いた。


 《しょうた》が来ない。


『コン……コン!』


 コンって鳴けるようになったのに。 《しょうた》はどこ?


『コン! コン! コン! コン!』


 たくさん鳴いたけど《しょうた》が来ない。 赤いゆらゆらも、ひらひらの綺麗な毛並みも、からころの楽しい音も、キラキラの花火も《しょうた》がいないと悲しい。


『きゅん……』


 《しょうた》花火が終わっちゃったよ。 《しょうた》会いたい。 《しょうた》ここに来て。


 次の日になっても《しょうた》は来なかった。



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