こがれて
つぎの日に《しょうた》は寝ぐらのそばにきた。
「コン、おいで。 お前の名前せっかく金なのに汚れてるぞ。 洗ってやるよ」
『きゅん?』
抱っこされてそのまま水の中に入れられた。 怖くて目つぶって固まってたら。
「あれ? 暴れないな? いい子だなコン」
《しょうた》が優しい前足で撫でてくれた。 怖かった水の中もなれたら気持ち良かった。 だってお日様あっついからね。
洗い終わったら《しょうた》が獲物をくれた。 《あぶりあげ?》なんかそんな名前の黄色いへんなあじだ。 《しょうた》は弱いんだな。 あとでコンがネズミを捕ってきてやろう。
《しょうた》と毎日いっぱい遊んだ。 コンは《しょうた》が大好きだ。
風が少し寒くなってきた。 《しょうた》が《なつやすみ》おわったからいなくなるんだって。 《しょうた》は《びょうき》だからまた《なつやすみ》《はなび》のときねって。
またね、っていなくなった。 《しょうた》がいないとつまんない。 《しょうた》がいないとさみしい。
寒いふゆがきて、お花のはるがきて、お日様のなつがきて《なつやすみ》《はなび》の日に《しょうた》はきた。 嬉しい! 嬉しい!! 嬉しい!!!
『きゅん! きゅん!! きゅん!!!』
「コン! 大きくなったな!」
『きゅん!』
まぁね! でも《しょうた》は小さくなった?
「さぁ遊ぼう!!」
『きゅん!』
《しょうた》がいると楽しい! 《しょうた》大好き!! それからまたたくさん遊んだんだ。 いっぱい遊んで、笑ったんだよ! でも風が冷たくなると《しょうた》はいなくなった。
コンはちょっと大人になったけど、《しょうた》がいないとさみしいんだ。 でも《はなび》まで我慢
《なつやすみ》にあえる。
寒い冬が来てお花の春が来て、お日様の夏が来る。 コンはまた大人になった。 そして《花火》の日
暗い夜空に光のお花が咲いた。
《しょうた》が来ない。
『コン……コン!』
コンって鳴けるようになったのに。 《しょうた》はどこ?
『コン! コン! コン! コン!』
たくさん鳴いたけど《しょうた》が来ない。 赤いゆらゆらも、ひらひらの綺麗な毛並みも、からころの楽しい音も、キラキラの花火も《しょうた》がいないと悲しい。
『きゅん……』
《しょうた》花火が終わっちゃったよ。 《しょうた》会いたい。 《しょうた》ここに来て。
次の日になっても《しょうた》は来なかった。