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俺と使い魔の学園生活っ!  作者: ぷにこ
第三章 3編 【夏合宿】
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81『日暮れ』



薄暗い炭鉱の最深部。


鉄と土の匂いに彩られたその場所に、ノワールは座り込んでいた。

困惑と畏怖を込めたその視線の先には、鈍く光る正方形。


『自立式兵装制御システム・モノと申します。以後、お見知りおきを……』


無機質な声でモノと名乗った立方体は緑色の光を纏い、土壁に稲妻を走らせる。

そしてカシャカシャと不規則に形を変え、光り輝く七芒星となった。


「あわわ……」


ノワールは怯えたような表情で立方体から距離を取る。

呼び出したのは自分だと分かっていても、ノワールは距離を取らずにはいられなかった



『このような狭苦しい場所にいては気を病んでしまいます。少しばかり広くしましょう』



モノは鋭い金属音と共に輝く『何か』を飛ばし、ノワールは慌ててしゃがみ込む。


目も眩む閃光と、一瞬遅れて響く轟音。



舞い上がる土埃が風に消えたとき、そこは巨大な空洞だった


「ぇ……?」


状況が飲み込めず、ノワールはおろおろと辺りを見渡す。

上下左右数百メートルはあろうかという空洞。その所々に空いた穴から僅かな光が差しこんでいる。


緑色の稲妻を纏うモノは再び形を変え、不規則にくるくると回る正方形になった。



『モノは貴女のモノです。さぁ、ご命令を』




~



「さぁて、どうすっかな」


屋敷の屋根の上、浩二はどこか遠くを見つめていた。


裏山には、陽の光を浴びて黒煙を吹き出す蟲。山に倒れ掛かるその蟲の眼に光は無い。

そして屋敷の庭では、白い少女が主の元へ向かうべくとてとてと歩いている。

少し離れた海岸には、遠目でも分かる禍々しい気配。


浩二はそれぞれを交互に見つめ、それから軽いため息をついた。


「姉貴が帰ってくるまで、俺にできることは無いな」


浩二は屋敷の屋根から飛び降り、スタスタと屋敷の中へ踏み込んでいった



~



……俺は、しばらくの間呆然としていた。

あの写真に写っていたのは、何度見ても間違いなく俺の相棒。ユイだ


でも、あれがユイだとしたら。

手帳に書いてあることが事実だとしたら。


ユイの正体は……



「ただいま帰りました」

「!」


襖が開け放たれ、聞きなれた甘い声が俺の心を抉る。


「ユイ……」


「どうしたのですか。何だか様子が変ですよ?」


ユイは不思議そうな顔をして首を傾げ、俺の隣に身を寄せてきた。

ほんの少しだけ心配しているような顔で俺を見つめる、紅い瞳。


俺の頭の中で渦巻く疑問が、喉元で絡まって消えてゆく


「ぁ……え、と……」


気が付くと俺は、ユイの柔らかな髪を撫でていた。


「えっと……怪我、無いか?」


「?」


ユイは少しむっとして俺を見つめ、僅かに尻尾を動かす。

間近で見るとより一層際立つ幼い顔は、未だ穢れを知らない無垢な子供に見えた


あの手帳に書いてあった白い魔物がユイなら、大いなる哀しみを知っているはずだ。


よくよく考えてみたら、俺はユイの笑顔を見たことが無い気がした。


「なんだか退屈です。少し、構ってください」


ユイはもやもやした俺の気持ちを汲んでくれないらしい。

俺がどんな思いでいるかも知らずに俺の手を弄り始めやがった


かといって振り払うわけにもいかない。


「あ、あまり乱暴にしないでくださ……」


こうなったらヤケだ、とことん構っ――




「おう杉原ァ、ちっと頼みたいことが……」












「……すまん。またあとで来るわ」

「違うんですよ先輩ッ! これには訳が!」




♦♦♦♦♦



それから数時間。陽も沈みかけた頃、俺はとても広い部屋の中で夕飯を食べていた。

怖いお兄さん方とユイとスミレ先輩と一緒だ。アサギとノワールは居ない。


暁先生は刀を腰に差した美人とどこかへ行ってしまった。


そんなこんなでうやむやのうちに夕食である。

俺には焼き鮭の定食。スミレ先輩には量を調節した会席膳が出された。

ちなみにユイは懐石料理である。


改めて考えてみてもひどい格差だ。美味いから文句を言うつもりは無いが。

食事を割り振ったのは藤野先輩だというが……幾らなんでも物申したくなってしまう。


「おいてめーら。飯食ったら風呂の準備だ! 今日は女子が居るんだ。気合入れろッ」

「ウィッス」


夕飯にがっつくお兄さん方に怒鳴って回る藤野先輩。

こうしてみると頼りがいがありそうなのだが……たまに出るサドな一面が玉に傷だ


そういや、この屋敷に居るのは男の人ばかりだ……まぁ当然かもしれんが。

というよりノワールとアサギは大丈夫だろうか。

いつも藤野先輩にべったりな静華さんも居ないし……



ふと縁側から外を見ると、淡い三日月が夜空を照らしていた。

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