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俺と使い魔の学園生活っ!  作者: ぷにこ
序章【出会い】
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08『ロリケモ』


……どうやら私はまた眠ってしまっていたようですね。

この箱の中にいると、不思議な眠気が襲ってくるんです。本当ですよ

それより……ここはどこでしょうか

じっと目を凝らしてみても、箱の中から外の様子は見えません。

けど、匂いは嫌というほど伝わってきます。

綿製品や木の匂い。あの人間の匂いもしますね。

それと、何やら甘い香りがすぐそばに……何でしょうこれ


甘い香りを放つコレはどうやら焼き菓子のようですね。

袋に入っているようですが…確かに焼いた小麦粉らしき匂いがします。

暗くてよく見えませんが、おそらく食べ物でしょう。

微かにあの人間の匂いが付いています。あの人の仕業ですか。

心なしか私の体にも付いているような……うつってしまったのでしょうか?

毛並みも少し乱れてしまってますし……ハタ迷惑にもほどがありますよ。


まったく、仮にも食べ物を私にくれてよこすとは

あの人間、彼は何を考えているのでしょうか。


食べ物のプレゼントは求愛の証。

……動物界の基本ルールです


この『焼き菓子』は、つまりそういうこと。……ですよね?

これを食べてしまえば、求愛を受けるということ。

それすなわち、この身も心も彼に捧げるということなんです。

……考えただけでもなんだか体が火照ってしまいます。

求愛するっていうことは、えぇとつまり……そういうことですよね?


……何ですか、この気持ち……

私の平らな、いえ少し控えめな胸が内側から高鳴っているのが自分でもわかります。

素直な尻尾は千切れんばかりに自己主張しています。


まさか、私は喜んでいるのですか?

……そんな馬鹿な。私は人間なんて大嫌いですっ

けど、彼は一応恩人ですし……むげに断るわけにも……


……どうして彼は、私の困るようなことばかりするのですか。

……本当に憎たらしい人間です……


とにかく……受け取ったからには覚悟を決めなければなりませんね






…暗闇に沈む意識の中、微かに水音が聞こえる。

右腕に感じる柔らかい物。二の腕を伝う冷たい感触。

なんだか気持ちいい…これは、夢だろうか


いや、違うな…右腕を包む冷気が現実であると教えてくれる。


重い瞼をそっと開いてみると、ぼんやりかすむ視界の端に真っ白な毛玉が見えた

白い毛玉は俺の右腕にすがりついて…眠っているのだろうか?

耳を澄ますと規則正しい寝息が聞こえてくる。


よく見てみると、毛玉は真っ白な女の子だ。

まさしく雪のような白く美しい肌と、白銀にきらめく髪。

安らかな寝顔がとても可愛らしい…10歳そこらの美少女だった


真っ白な女の子は俺の右腕を抱きしめるような形で添い寝している状態である。

……何だねこの萌えシチュは。


目が覚めたら見知らぬ美少女が添い寝してたなんて…最高の目覚めじゃないか。

とはいっても、外は暗いが。


まぁそんなことはどうでもいいのだ。

まず、この子は誰なのか。……知らんな。

何故俺の布団で一緒に寝ていたのか。……いや知らん。

とりあえずはこの二つの疑問について考えてみよう。

……考えたところで分からないものは分からないんだがな。


俺の右腕は何故かしっとりと濡れていて、かなり冷たい。

特にこの子が抱き着いている部分は冷えた毛布に包んだようである

体つきが貧相なのは否めないな……ってそんなことを気にしている場合ではない。

俺はロリコンの気があったのか?……違う違う、そこじゃない。

この子は誰なのか。とにかくこれが分からんことにはどうしようもない。


視界もはっきりしてきたので、少しだけ身を起こしてよく見てみると

女の子の頭には三角の獣耳。暁先生の耳と似ているが、少し違う。

そして腰のあたりからはもふっとした尻尾が生えている。いわゆる獣人だ。


白い毛皮のぼろきれを身にまとう、ほとんど起伏のない幼児体型。

細い生足が幼さを醸し出している。この様子だと下着は……言うだけ野暮だな。


そろそろ夕食の時間だろうし、とりあえず起きるか。

っとその前にまずはこの子を起こさないとな……


俺は自由な左手で女の子の頭をそっと撫でてみる

髪はひんやりとしていて、とてもやわらかい。

何だろうこの感じ……どこかで触ったような……

獣耳はふわっとした毛で覆われていて、薄い。……飾りじゃないことは確かだ


俺が綺麗な髪を撫でつつ、女の子の体を軽く揺すると

女の子はゆっくりと目を開き、ふらりと体を起こした。


女の子の瞳は、紅色と呼ぶにふさわしい鮮やかな赤い色

その……どことなく焦点の合ってない瞳は、どこかぼんやりしているようにも見える


真っ赤な瞳は真っ白な肌によく映える……



……


っと、見とれている場合ではない

俺が左手を引っ込めようとすると、女の子は両手できゅっと指を捕まえ


―――ぺろっ

「……っ!? つめて……」



冷たくて、くすぐったい。小さな女の子の舌が俺の左手を伝う。

濡れた舌の這った道筋は空気でより一層冷やされ、

あっという間に冷気が包み込む。


「(何だってんだ……? もしかして寝ぼけてるのか、この子……)」



すると、びみょーな刺激が俺の左手を襲う。

見てみると女の子は舐めるだけでは飽き足らず、あぐあぐと甘噛みを始めていた。

痛くはない。だがなんだろうこの変な感じ……

くすぐったいような、気持ちいいような、絶妙な力加減だ。


それにしてもこの子……心なしか犬っぽいような……

手を舐めたり甘噛みしたり……耳と尻尾もそういえば犬のそれとよく似ている。


とろんとした表情で俺の手に甘えるケモノ娘は素直に可愛いと思う。

……まずい、このままではロリケモに目覚めてしまう。


「なぁ……どこの誰だか知らないけど、そろそろ俺の手を解放してくれないか?」


俺は頼むような口調で語りかけてみる

ぺろぺろされてあぐあぐされて俺の左手はもうぺっとぺと。

言うならば氷水の中に入れたまま放置しているような状況だ


「……うぅ……」


白いケモ娘は悩ましげに唸って、再び俺の左手を捕食し始める。


「おいおい…勘弁してくれよ……」


何かもうそろそろ凍傷になりかねないので

俺はケモ娘から半ば強引に左手を奪還する。抵抗はない。

ただ一つ問題があるとすれば、

糸を引いた冷たい唾液がなんとなくエロかったという事のみ。


それから俺は俺の下腹部あたりでうつらうつらとしているケモ娘を抱き上げてみる。

……予想以上に軽い。そしてやはり冷たい。

ケモ娘の四肢は力なく垂れ下がり、真っ赤な瞳は閉じかけだ。


抱き上げたケモ娘をそのままスペースのあるベッドの右側へずらし

俺はベッドから立ち上がる。


「さて……どうすっかな…」



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